低コレステロールと死亡率

コレステロールは低ければ低いほど長生きする?


日本動脈硬化学会の定めるLDL-コレステロールの正常値は140未満であり、それ以上で脂質異常症とされています。

同ガイドラインに下限について記載はありませんが、コレステロールは高いより、低すぎる状態のほうが死亡率が上昇するといった記事を目にします。


本当に低コレステロール状態は死亡率を上昇さてしまうといったことがあるのでしょうか?



コレステロールは細胞膜をつくったり、ホルモンをつくったりするのにある程度は必要な物質です。しかし、コレステロールが多すぎると、血管に溜まり、動脈硬化を起こします。

このコレステロールですが、コレステロール値と死亡率を解析すると高コレステロールのほうが、低コレステロール状態の人より死亡率が低いといった結果になることがあります。


しかしこれはあくまでそのように見えるだけであり、実際はコレステロールが高いから死亡率が低いのではなく、低コレステロールになる人は、低コレステロールを引き起こしてしまう他の疾患を合併している場合が多く、その疾患による死亡率増加が、あたかも低コレステロールが死亡率を増加しているように見えてしまっているだけである。




そして、LDLコレステロールの目標値に下限はなく、下げれば下げるほど冠動脈疾患リスクは低下(約0.6-0.9倍)するといった報告もあります。(Horwich TB, et al. Am Heart J. 2008;156:1170-6.)

この論文によると、LDL-コレステロールが50以下の場合でも、コレステロールを下げることで冠動脈疾患リスクの低下がみられ、低コレステロールに伴う有害事象は見られなかったとのこと。

ただし、低コレステロール状態が長期に続いた場合に、有害事象が発生する可能性は否定できず、注意が必要です。

コレステロールが低いほうが長生きするといった考えをもった患者さんがいると、コンプライアンス不良にもつながると思います。



まとめ
低コレステロールだから死亡率が上昇するのではない。
コレステロールに下限値はなく、低いほど冠動脈疾患リスクは低下するという報告がある。



 2017/01/23

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