処方解析 ~パーキンソン病~

高齢者のパーキンソン病 開始薬剤は?

今回はパーキンソン病の患者さんの処方箋。

処方内容

ナウゼリン錠10㎎ 2錠 朝夕食後

シンメトレル錠50㎎ 1錠
アムロジピン5㎎ 1錠 
カベルゴリン1㎎ 2錠 朝食後

マドパー配合所 3錠 毎食後

フォサマック錠35㎎ 1錠 起床時(週1)


患者背景

81歳 女性

・高血圧
・パーキンソン病(10年前より)
・腰椎圧迫骨折


処方解析

注目した点は

・パーキンソン病治療薬の選択
・ナウゼリンのD2遮断によるパーキンソン病への影響

パーキンソン病の治療

パーキンソン病の治療は高齢者・非高齢者で開始薬剤が異なる。

高齢者:L-ドパで開始
非高齢者:ドパミンアゴニストで開始し、効果不十分の場合L-ドパ追加

これらの違いはL-ドパ、ドパミンアゴニストの改善率の違いによる。

L-ドパ VS ドパミンアゴニスト
・運動症状改善作用はL-ドパが勝る(エビデンスレベルⅡ RCTで証明)
・運動合併症(ジスキネジアやwearing off)はL-ドパでの発現率が高い(エビデンスレベルⅠ)

L-ドパは、発症している運動症状を改善する作用がドパミンアゴニストより優れているが、将来運動合併症のリスクがやや高くなるため、治療継続期間が長くなるであろう非高齢者ではドパミンアゴニストから開始するようになっている。※1



L-ドパ製剤について
マドパーはL-ドパ+脱炭酸酵素阻害(ベンセラシド)

パーキンソン症状を改善するには、L-ドパから脱炭酸酵素により作られるドパミンが脳内では必要だが、末梢に存在すると吐き気などの消化器症状がでてしまう。

ベンセラシドは血液脳関門を通らないため、脳内瀬はL-ドパ→ドパミンの反応が起こり、末梢では脱炭酸酵素を阻害し、ドパミンが作られないようになる。


ドパミンアゴニストについて
カベルゴリンが投与されているが、その他の薬剤との力価比較は以下の通り。(その他薬剤との力価はガイドライン参照)
カベルゴリンは心臓弁膜症の発症報告が他の麦角系ドパミンアゴニスト(ペルゴリド、ブロモクリプチン)より多く、注意が必要とされている。
このため第一選択にせず、非麦角系アゴニストで効果不十分の場合に投与を考えるようにとの記載がある。※1

また、CYP3A4により代謝されるため、クラリスロマイシン、イトラコナゾールなどと併用する場合はさらに注意が必要。


シンメトレルについて
シンメトレル(アマンタジン)は多くの症例に有効ではあるものの、改善率はさほど高くないとされている。
特に、進行性パーキンソンでは有効とする十分なエビデンスはない。※1

アマンタジンにはジスキネジア軽減作用があるが、持続は8ヵ月以下である。


パーキンソン病患者に対するナウゼリン投与

吐き気の訴えが多いためナウゼリン(ドンペリドン)が継続投与されているが、D2遮断作用を持つため、パーキンソン病を悪化させる可能性がある。

ただし、ドンペリドンは血液脳関門をほとんど通らないため、ドンペリドンによるパーキンソン症状の悪化・薬剤性パーキソニズムは極めてまれとされている。※1

薬剤性パーキソニズムは90%以上が薬剤投与3か月以内に見られるため、その期間内は要注意。


まとめ

L-ドパで不十分なためドパミンアゴニストが途中で追加された者と思われる。

麦角系ドパミンアゴニスト(カベルゴリン、ペルゴリド、ブロモクリプチン)は心臓弁膜症のリスクがあるため、通常第一選択薬とはならない。

アマンタジンは進行性パーキンソンに対して有効性は低いが、ジスキネジアの軽減目的であれば一定の期間内軽減が見られる可能性がある。

ドンペリドンによるパーキンソン症状は極めてまれであり、問題にはならないと考えられる。


※1 パーキンソン症状治療ガイドライン2011 




 2017/12/18

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