処方解析 ~心房細動・胃瘻患者~

N0.2 心房細動 ペースメーカーなし ワーファリンからイグザレルトへの切り替え


以前ワーファリンからイグザレルトへの切り替えに関してまとめたが、その元になった処方が以下の通り。

処方内容

入院時
メマリーOD10㎎ 2錠
ワーファリン1㎎ 1錠 朝食後

ランソプラゾール15㎎ 1錠 夕食後

ベサコリン散5% 0.4g
塩化ナトリウム 4g
グラマリール25㎎ 2錠 朝夕食後

栄養剤:メイバランス

退院後
ワーファリン→イグザレルト10㎎ 1錠 に変更
メイバランンス→エネーボ750㎎/day に変更

患者背景

88歳 男性

胃瘻増設あり
認知症
BPSD(暴力、徘徊、多弁)
心房細動
糖尿病

処方解析

気になった点は

・心房細動だが抗不整脈がない
・ワーファリンからイグザレルトへ切り替える際の休薬期間
・イグザレルト粉砕の経管投与は問題ないか
・エネーボのナトリウム量

これらの点に注目して解析してみました。

心房細動について

今回も心房細動であるが、塞栓予防としてワーファリン投与されてるのみで、抗不整脈が投与されていない。

心房細動のうち40%は無症候であるとのデータがある。※1

症状がなく、心拍数もあまり問題無い場合(心拍80以下)は抗不整脈が必要ない場合もある。※2

無症候の場合でも、心房細動が存在する場合、抗凝固療法が必要となることが多い。
欧米のガイドラインでも心房細動の洞調律維持か心拍数調節かを選択する前に、抗凝固療法の適応を判断することが重要とされている。※1

特に高齢者(75歳以上)や基礎疾患(高血圧、心不全、糖尿病、脳梗塞既往歴)がある場合は血栓のリクスが高くなるため注意。


ワーファリンからイグザレルトへの切り替え

以前の記事はこちら

理想はPT-INRを測定しながら下限以下になった時点でイグザレルトの投与となるが、実際は測定できていない場合も多い。

この症例ではワーファリンを3日休薬後イグザレルト開始となった。

PT-INTの範囲は2-3(70歳異常では1.6-2.6)


イグザレルトの粉砕

イグザレルト錠の粉砕に関しては、食後投与であれば粉砕経口、粉砕経管投与でも錠剤経口投与時と変わらないとされている。※3

イグザレルトは水に溶けにくいことから、空腹時に投与した際は吸収が低下するが、食後投与した際には吸収が増加しバイオアベイラビリティの改善が認められていることから、食事とともに投与することとされている。※3

なので、胃瘻の場合、イグザレルト投与後ただちに経管栄養剤を入れるようにとなっている。

ちなみにイグザレルトは細粒もあり、錠剤と生物学的に同等とされているため、変更依頼するのもありかもしれない。

イグザレルトの用法は食後となっている理由はこれだったんですね。
(他のDOACは食後の指定なし)

エネーボの塩分量

経管栄養を行っている患者さんではしばしば低ナトリウム血症を起こすことがある。
(栄養剤にNaが少ないという理由だけではない模様)

退院後メイバランンスからエネーボに変わった際に、DrよりエネーボのNa含量について質問があった。

エネーボが1本(250ml)当たりの塩分相当量は0.586gであるので、750㎎では1.7gなので、塩化ナトリウム合わせてトータル5.7g/dayとなっている。

経管栄養時の低ナトリウム血症に対しては栄養剤の塩分含め1日6~7g程度にすることが多い。※4



※1 心房細動ガイドライン
※2 国立研究開発法人国立循環器病研究センター
※3 イグザレルトインタビューフォーム
※4 静脈経腸栄養 Vol24 N03 2009 東京都保健医療公社大久保病院外科・NST

 2017/12/15

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