EBMとは
EBM とは,1)信頼性の高いエビデンス,2)医療者の臨床経験,3)患者1人1人の価値観,4)現在おかれている環境の4つの要素を統合して,その時点での最善の医療を判断するツール・指針。※1EBMの手順
EBMは以下の手順で行う。
① 問題の定式化
② 情報収集
③ 情報の批判的吟味
④ 実際の患者への適応
⑤ ①~④の評価、フィードバック
・論文の背景となる薬物治療の知識
・英語能力、統計解析の基礎知識
・批判的評価をするためのチェックポイントの把握(後述)
が必要。
① 問題の定式化
どのような問題(疑問)を解決したいを明確にする。
「PECO」を用いて整理。
P:patient どんな患者
E:exposure 何をすると
C:comparison 何もしない場合と比べ
O:outcome どうなるか
例)
P:高血糖患者に
E:SU剤を投与すると
C:投与しない場合に比べ
O:死亡率はどうなるのか
これにより、自分が適応しようとしている患者に当てはまるかを評価できる。
これにより、自分が適応しようとしている患者に当てはまるかを評価できる。
② 情報の収集
論文やガイドラインより情報を収集。
③ 情報の批判的吟味
収集した論文等を評価する。
批判的吟味を行う。(批判的吟味の方法は後述)
④ 実際の患者への適応
①~③で検討した治療法を患者に適応する。
⑤ フィードバック
患者に適応した治療を客観的に評価。
解決しない場合や疑問が生じた場合は再度①~④を行う。
批判的吟味の方法
ランダム化比較試験を見る際のチェックポイント
以下は※1にて使用されている簡単なチェックシート。
ポイント①「研究対象者は適切か?」の部分は批判的吟味の前のPICOを用いた問題の定式化に関する部分。目の前の患者に適応できるかを見定める。
ポイント②~⑤で論文がCONSOET声明に沿って書かれているかを評価している。
もっと細かいものもある。
以下は某病院でも用いられていたものを見せてもらったものの一部抜粋・改変
背景部分
・雑誌の信頼レベル、論文審査の有無
・背景に他の関連する選考研究が記載・検討されているか
研究デザインに関する部分
・主要目的がわかりやすく記載されいているか
・主要エンドポイントの数(1つがよい)
・ランダム化、盲検化(無、1重、2重)に問題はないか
・採択基準と除外基準の明確な記載(自分が対照としようとしている患者に当てはまるか)
・研究デザインの妥当性(もっと良いデザインはないか)
対象に関する部分
・対照群が適切に設定されているか(背景の違い、バイアス、交絡因子)
・対照群が治療薬の場合、その治療はガイドライン等でその疾患に対して標準治療か
・結果は主要エンドポイントか代替エンドポイントか(代替の場合、主要エンドポイントとの相関性があるか)
・観察期間(追跡が長く、漏れなく行われているか)
解析部分
・統計処理は適切な手法が用いられているか
・サンプルサイズは研究前に計算されているか
・検出力、優位水準(α)が記載されているか
・ITT解析(全症例解析)か
・アドヒアランス率の記載があるか
・標準偏差、信頼区間・P値の記載があるか
結果・考察部分
・方法で設定したエンドポイント以外の事が結果に記載されていないか
・エンドポイントと関係ないことを結論として述べていないか
・結果で示されていないことを述べていないか
・研究に関する限界について記載されているか
・参考文献が最新のものであるか(それは信頼できる雑誌のものか)
・研究の資金源はどこか、試験結果に利害関係のあるものか
・雑誌の信頼レベル、論文審査の有無
・背景に他の関連する選考研究が記載・検討されているか
研究デザインに関する部分
・主要目的がわかりやすく記載されいているか
・主要エンドポイントの数(1つがよい)
・ランダム化、盲検化(無、1重、2重)に問題はないか
・採択基準と除外基準の明確な記載(自分が対照としようとしている患者に当てはまるか)
・研究デザインの妥当性(もっと良いデザインはないか)
対象に関する部分
・対照群が適切に設定されているか(背景の違い、バイアス、交絡因子)
・対照群が治療薬の場合、その治療はガイドライン等でその疾患に対して標準治療か
・結果は主要エンドポイントか代替エンドポイントか(代替の場合、主要エンドポイントとの相関性があるか)
・観察期間(追跡が長く、漏れなく行われているか)
解析部分
・統計処理は適切な手法が用いられているか
・サンプルサイズは研究前に計算されているか
・検出力、優位水準(α)が記載されているか
・ITT解析(全症例解析)か
・アドヒアランス率の記載があるか
・標準偏差、信頼区間・P値の記載があるか
結果・考察部分
・方法で設定したエンドポイント以外の事が結果に記載されていないか
・エンドポイントと関係ないことを結論として述べていないか
・結果で示されていないことを述べていないか
・研究に関する限界について記載されているか
・参考文献が最新のものであるか(それは信頼できる雑誌のものか)
・研究の資金源はどこか、試験結果に利害関係のあるものか
その他「アプライド ・ セラピューティクス Vol. 10, pp 47-55, 2018」にもチェックリストが載せられている。(無断転記禁止のため原文確認)
上記を全ての論文においてチェックするのは多大な時間を要するため、論文の取り捨てにおいて、以下部分を簡単に要約するのもあり。※2
・背景/研究目的
・研究デザイン
・エンドポント
・結果(2×2の表を作成)
・統計解析手法、有意差、臨床意義
2×2表はリスク比(RRR)、絶対リスク(ARR)を計算するためのもの。
論文ではRRRは計算されていることは多いが、ARRが出ていないことがある。
臨床的意義を考えるうえでもARRは計算したほうがよい。
※1 YAKUGAKU ZASSHI 137(8) 987―998 (2017)薬剤師・薬学生を対象とした実践的 Evidence-based Medicine(EBM)教育の試みとその評価
※2 日常診療にすぐ使える臨床統計学 能登羊洋 羊土社
※2 日常診療にすぐ使える臨床統計学 能登羊洋 羊土社