フレイル、サルコペニアの定義と基準

フレイルとサルコペニアに基準は? 

高齢化に伴い話題となっているフレイルとサルコペニア。

地域包括ケアシステムにおいて、薬局でもこういった患者さんの早期発見・介入が重要になってくると思われる。

それぞれの定義と基準くらいは把握。

フレイルの定義と診断基準

フレイルの定義

Frailty(フレイル)とは、高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態で、筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念である。※1

上記のように定義されており、主に以下の3種類があると言われている。

・身体的フレイル
・社会的フレイル
・認知的フレイル

フレイルは健康な状態と要介護状態の中間的な状態であり、以下の図のイメージ。※2
重要なのは可逆的であること。
適切な介入によって、また自立した状態に改善の可能性があるということ。

※痩せているだけがフレイルでなく、肥満による活動低下もフレイルとなる。



フレイルの基準

身体的フレイルを判断する際、いくつかの基準があるが、日本で有用とされているものに「J-CHS」というものがある。

握力計があれば薬局でも確認できそう。

フレイルのリスクとしては下記の項目があげられているので、これらをベースに持っている患者さんに対して、上記基準を確認することでフレイルの方を抽出できそうです。


フレイルへの介入

フレイルへの介入として効果が確立しているのは「運動療法」「食事療法」

運動は酸素運動よりも筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動がより効果的。
栄養療法に関しては十分な蛋白質摂取(最低でも1.0g/kg/日,できれば1.5g/ kg/日、腎障害がある場合は注意)。ロイシン強化アミノ酸製剤も有効であ ることが報告されている。ビタミンDに 関しても,血中ビタミンDが低下している高齢者に対してビタミンDを補充することは筋力アップにつながることが知られているとのこと。※2,4

運動療法の有効性についてはいくつかのRCT、システマティックレビューにて効果が示されている。※6

サルコペニアの定義と診断基準

サルコペニアの定義

明確な定義はないようだが、筋力の低下を伴う状態。

身体的な障害や生活の質の低下、および死などの有害な転帰のリスクを伴うものであり、進行性および全身性の骨格筋量および骨格筋力の低下を特徴とする症候群とされている。※2

サルコペニアの診断基準

ヨーロッパやアジアの診断基準があるが、日本人なのでアジアのものを記載。
(ヨーロッパの基準だと筋肉量、握力がもう少し高い値に設定される)


薬局で筋肉量を測ってもらうにはそれなりの機器を用意しないと厳しそうですね。


サルコペニアへの介入

フレイル同様、運動療法と食事療法となる。

サルコペニア→フレイル→要介護と進行していくことから、この流れを断ち切るようにする。

よく紹介されているのが※4のフレイルサイクルというもの。
このこのどこかを断ち切れば進行を抑制できる。


フレイル,サルコペニアと死亡率、要介護等のリスク

フレイル該当者と非該当者の予後をおった研究において、フレイル該当者は要介護、死亡率の増加は複数の報告がある。※5,8

サルコペニアに関しては、指輪っかテストという簡易的な筋肉量の測定(両手の親指と人差し指でふくらはぎを囲む)の結果と死亡率を調べたところ、輪っかに隙間が出来る集団(細い)で介護保険の使用率(2倍)及び死亡率(3.4倍)が高かったと報告されている(追跡4年、1904名、前向きコホート)。※7


※1 日本老年医学会 フレイルに関する老年医学会からのステートメント
※2 日本内科学会雑誌 106 巻 3号
※3 公益社団法人地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター 月刊地域医学 Vol.32 No.4 2018
※4 日本サルコペニア・フレイル学会 フレイル診療ガイド
※5 J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2001 Mar;56(3):M146-56.
※6 老年医誌 2015;52:329―335
※7 Geriatr Gerontol Int. 2018 Feb;18(2):224-232. doi: 10.1111/ggi.13163. Epub 2017 Sep 12. 
※8 日本老年医学会雑誌 52巻 4 号(2015:10) 
 2020/01/11

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