新型コロナウイルスに対するオルベスコ(シクレソニド)の有効性

新型コロナウイルスに対してオルベスコ(シクレソニド)が抗ウイルス作用を示す?

日本感染症学会のホームページに、COVID-19感染患者(初期~中期)に対するオルベスコの投与に関する症例報告が投稿された。

通常、ステロイドと言えば免疫抑制作用があるので、免疫力が低下するという発想だが、なぜかオルベスコ(シクレソニド)は抗ウイルス作用を示すことが確認されている。

国立感染症研究所にて2月19日に開かれた「新型コロナウイルス感染症への対応に関する拡大対策会議 」にてin vitro=実験レベルでの抗ウイルス作用が確認されているとのことですが、詳細は見当たらず。


症例報告の内容を簡単にまとめ。

★現時点ではあくまで3症例の報告のみです。オルベスコが絶対効く!というわけではないのでご注意ください。

以下、感染症学会に投稿された症例報告内容(原文はこちら)より

新型コロナウイルスに対するオルベスコ(シクレソニド)の抗ウイルス作用


現在までの知見および考察 
(1)シクレソニドについての知見 
本ウイルスに対し既存の気管支喘息治療用吸入薬シクレソニド(商品名オルベスコ)が、強い抗ウイルス活性を有することが国立感染症研究所村山庁舎のコ ロナウイルス研究室から紹介された。

→オルベスコにおいて、実験レベルで抗ウイルス作用は確認できている。


in vitro ではシクレソニドはロピナビル(抗HIV薬、商品名カレトラ)と同等あるいはそれ以上のウイルス増殖防止効果を示しており、さらに同研究では同一濃度で効果を比較しているが、シクレソニドのエアロゾルが肺胞に到達した場合の組織濃度はその数十倍と考えられ ている。

→抗ウイルス作用は抗HIV薬のカレトラと同等、肺局所での濃度を考えるとそれ以上との推測。



他のステロイド吸入薬の有効性について

” COVID-19 の肺傷害の病理はいまだ明らかになっていないが、MERSやSARSから推定されるところで は、ウイルスが肺胞上皮細胞で増殖し、肺障害を引き起こしながら、同時に肺胞マクロファージ等に感染し 局所の炎症を惹起すると考えられ、シクレソニドの持つ抗ウイルス作用と抗炎症作用が重症化しつつある肺傷害の治療に有効であることが期待されている。シ クレソニド以外の吸入ステロイドには、COVID-19の抗ウイルス作用は現時点では認められない。”

→オルベスコ以外の吸入ステロイドでは抗ウイルス作用が確認できていない。(抗ウイルス作用があるか不明)


ステロイドにより免疫低下はみられないか?

”COVID-19 に対するステロイド治療はウイルス血症を遷延させる可能性や糖尿病等の合併症があり推奨されないと報告されているが、そこで検討されているのはヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、プレドニゾロンによる全身ステロイド投与である。シクレソニドはプロドラッグの吸入薬で 肺の表面にとどまり、血中濃度増加はごく微量である。 投与時期は重症化する前の、感染早期〜中期あるいは 肺炎初期が望ましく、ウイルスの早期陰性化や重症肺炎への進展防止効果が期待される。”

→ステロイドの全身投与(注射、内服)は推奨されないとの報告あり。
→オルベスコ吸入であれば全身作用はほぼないので問題にならないとの推測。


コロナウイルスに使用する場合のオルベスコの用法、用量

”①ウイルスの増幅時間(6-8hr)から頻回投与かつ肺胞に充分量を到達させるため高用量投与を推奨する。②残存ウイルスの再活性化および耐性ウイルスの出現を避けるため、開始後は 14 日程度 以上継続するのが望ましい。③ウイルスは肺胞上皮細胞で増殖しているため、吸入はできるだけ深く行うことが効果を高めると考えられる。 以上の知見より、剤型も考慮すると、現時点では下記 の投与量を標準とすることを提案する。

適応
COVID-19 陽性確定者の肺炎(無症候長期陽性者については、今後の検討が必要と思われる) 

用法用量
① シクレソニド(オルベスコ)200µg インヘラー 1日2回,1回2吸入 14 日分 
② シクレソニド(オルベスコ)200µg インヘラー 1日3回,1回2吸入 約 9 日分 

①を基本とし、重症例、効果不十分例に対し②を 検討。そして感染局所への薬剤の到達を考慮し、 「深く吸入する」、という用量用法が、現状最も reasonable な投与方法であると考える。”

→提案であり、保険適応外



現在、症例集積を進めている状況。
※吸入ステロイドは通常「「有効な抗菌剤の存 在しない感染症、深在性真菌症の患者」に関しては禁忌」となっている。

マスクやトイレットペーパーのように欲しい人が買えるわけではないので、あそこまでの供給不足はないでしょうが、供給不安定にならないかが心配ですね。

※2020.3.4既に卸からの入荷が困難な状況。買占めでしょうか‥
代替品や力価についてはこちらにまとめてあります。

まとめ

オルベスコ(シクレソニド)は実験レベル(in vitro)で抗ウイルス作用が示されている。

他の吸入ステロイドでは抗ウイルス作用が確認できていない。

現在3症例にて有効性が確認できているのみで信頼性は低いが、そもそも安全性が高い薬であるのでやってみる価値はありそう。(必要な人が使用できるように供給体制を徹底してほしい)

参考
・地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立足柄上病院総合診療科 COVID-19 肺炎初期~中期にシクレソニド吸入を使用し改善した 3 例

 2020/03/03

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