ジェネリックのメーカー選択は薬局の自由? 小林化工 イトラコナゾール回収問題
この件に関して、医師でタレントのおおわた史絵氏のブログの内容がyahooニュースでとりあげられており、気になった。
以下、引用
”・・・略・・・お金を払う患者さんにとっては値段は重要ですから、ジェネリックを選ぶ自由はあります。 ただこの自由が問題です。
1つの薬に対してジェネリックは5つも10も存在することがあります。
そのどれを選ぶか?選択権は患者さんにはありません。 実は我々医者にもありません。
選択権を持っているのは薬局です。 どこのメーカーのジェネリックを採用するかは薬局の裁量にかかっています。・・・略・・・薬剤師さん達もそれぞれ情報を吟味しながらジェネリックの採用に踏み切っていることと思いますが、今回のような工場側の不正があると薬局側も大変困惑するでしょう”
引用元:令和2年12月13日 yahoo!ニュース おおたわ史絵氏がジェネリックの死亡事故に言及「医師はこんな事故が起こると不安に思っていた」
「工場側に不正があり、薬局も困惑」はおっしゃっていただいている通りですかね。
一番困惑されているのは服用している患者さん方でしょうけど。
今回の不正内容はもはやジェネリックの評価をして採用している薬局や病院(院内採用)でも、気が付ける内容ではない・・・ひどすぎますね。
個人的には以下の文言が引っかかる。
"選択権は患者さんにはありません。 実は我々医者にもありません。 選択権を持っているのは薬局です。"
ここ、大間違いです。(閲覧しておられる方は薬剤師の方が多いかと思うので言うまでもないかと思いますが・・・)
処方権は医師にあり、後発品のメーカーを指定したり、先発品で処方して変更不可にチェックを入れれば、薬局はその通りにしか調剤できません。
なので、患者さんも希望のメーカーがあればそれで処方してもらうことは医師に相談の上可能かと思う。(処方権は医師なので、患者さんからはなかなか言えないことが多いでしょうけど)
あと、通常、薬局でもメーカーの希望があればその薬剤を新規採用するところが多いのではないでしょうか。
もちろん、患者さんが数多くある後発でどれがいいのかすべてを評価することは困難であるので、薬局等はその辺ちゃんと説明しなければならない。
たしかに「どのジェネリックを採用するか」は薬局の自由ですが、採用しているメーカーで調剤するかは処方せんの指示次第。
(後発品を選んだのはだれで、だれに責任があるかとかそういう話ではなく、制度の話です。責任はどう考えても小林化工、と私は思います)
メーカー指定して変更不可とすることに関して、
平成26年度はメーカー指定の変更不可が40%を超え、前年の2倍増となったことがあり、これに関して、中医協でも以前議論されている。
そのとき、副会長の中川氏(現医師会会長)は以下のように述べている。
”後発品なら何でもよいという訳ではない。医師は信頼できる後発品の銘柄を指定して処方する”
診察でお忙しい先生方の中にも、ジェネリックの選定をしてくださっている先生がたくさんおられるということですね。
ただ最近はメーカー指定も減っており、平成27年度は15%程度になっているので、現状薬局の採用しているジェネリックが調剤されることがほとんどであるのは事実であるが、「患者さんに選択権がなく、薬局に選択権がある」という表現は間違いっていると思うし、これをみて患者さんが自分で選べないと思ってしまわれると問題。
薬局に行った際は、遠慮なく、相談していただければと思います。
(それでちゃんと対応しない薬局でしたら行かなくていいかと思います、薬局いっぱいあると思うので・・・)