透析患者さんへのフロモックス投与

透析患者へのフロモックスの投与量は?


以前透析患者さんへのケフラールの投与量について考察しましたが、今回はそれ以上に処方されている気がするフロモックスについて。

セフェム系をはじめ抗生剤は腎代謝型が多いため、透析患者では基本減量となります。(例外:マクロライド、テトラサイクリン)

また、βラクタム系は基本的に透析で除去されやすいため透析日は透析後の投与がよいとされています。

うちでは1日1~2回で処方がきます。
いろいろ調べると1日1回が主流みたいです。

ということで、フロモックスについて1日1回と2回どっちがいいのか考えてみました。

フロモックス(セフカペンピボキシル)

投与量

健常人 :1日3回 1回100㎎
透析患者:1日1回 1回100㎎ (透析日は透析後)

参考:透析患者パーフェクトガイド第3版、今日の治療薬)

薬物動態

フロモックスは腸管で吸収される際ピボキシル基が加水分解されセフカペンとなります。

セフカペンはほとんど代謝されず腎から排泄されます。
(24時間後の尿中未変化体は経口投与量の40%)

ここで注意しなければならないのはいつものことですが、この40%は経口投与して吸収された分のうちってところです。

決して60%は肝代謝を受けているという訳ではないので注意。
(ラットでの吸収率が40%だったので、人でも同じくらいと仮定すると、吸収されたほぼ100%が腎排泄)

投与量の考察

添付文書を見ると各腎機能ごとのデータが詳しく乗っています。


上記は150㎎単回投与時のデータ。
健常人では半減期1.0h、AUC5.8なので、それぞれ7~15倍、6~10倍近くなります。

中毒域とかのデータがないのでこれでどうって別にわかんないんですけど…

インタビューフォームを見ていると、Cmax,AUCは投与に比例しており線形性を示したとのことなので、仮に健常人が300㎎を1度に飲んだとしてもAUCは18くらいと推測されます。

そう考えると1日1回で健常人1日3回以上の血中濃度は確実に超えているので透析患者には1日1回でいいと思います。

ついでに健常人で1回300㎎投与では特に問題となる副作用はみられなかったとのことなので、透析患者に1日1回100㎎でも問題はないと考えられます。

以上を踏まえ、1日1回100㎎でいいんじゃないでしょうか。


1度だけ1日3回でもきました。疑義照会しましたがそのままでって言われました。腎臓内科からの処方ですが…


 2017年4月25日

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