同一処方せん上の1つの薬剤に対して、先発医薬品と後発医薬品の両方を混合して調剤しても問題はない?
先発から後発に変える際、試しにいくつか後発を試してみたいという患者さんがいらっしゃる。
そのために「分割調剤」というものがあるが、処方入力が複雑かつ、患者さんもわざわざもう一度来局しなければならず手間でほとんど普及していないのが現状。
では、先発名や一般名で処方されている医薬品について、先発と後発を混合して調剤することはいけないのでしょうか?
※例
(般)アムロジピン錠5㎎ 1錠 朝食後 28日分
の処方に対して、
先発のノルバスク錠5㎎ 10日分
後発のアムロジピン錠5㎎「○○」 18日分 で調剤
現場ではなんとなくダメといった印象があるようで、できないと答える人が多い。
ですが、別にルール違反しているわけではない。
そして、後発のメーカー違いの混合(上記の例で「サワイ」を10日分、「ケミファ」を18日分など)は問題ないとのQAが存在する。(参考書で見たのですが、なんだったか探し中)
基本的な変更ルールに関する通知
処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について(医保発0305 第12号 平成24年 3月5日)
第1 銘柄名処方に係る処方薬の保険薬局における調剤の方法について
1 処方薬(銘柄名処方に係るものに限る。)の「変更不可」欄に「✓」又は「×」が記載されていない場合
処方薬に代えて、後発医薬品(含量規格が異なるもの又は類似する別剤形のものを含む。)を調剤することができる。
ただし、処方薬の近傍に「含量規格変更不可」又は「剤形変更不可」の記載等がある場合には、患者に対して説明し同意を得ることを条件に、従来からの取扱いどおり、その指示に従い調剤することができる。
2 処方薬(銘柄名処方に係るものに限る。)の「変更不可」欄に「✓」又は「×」の
記載があり、かつ、「保険医署名」欄に処方医の署名又は記名・押印がある場合
処方薬を後発医薬品(含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む。)
には変更できない。
第2 一般名処方に係る処方薬の保険薬局における調剤の方法について
処方薬と一般的名称が同一である成分を含有する医薬品(含量規格が異なる後発
医薬品又は類似する別剤形の後発医薬品を含む。)を調剤することができる。
ただし、処方薬の近傍に「含量規格変更不可」又は「剤形変更不可」の記載等が
ある場合には、患者に対して説明し同意を得ることを条件に、従来からの取扱いどおり、その指示に従い調剤することができる。
以下略
調剤報酬点数表に関する事項
区分10 2-3-(カ)
一般名処方が行われた医薬品について、原則として後発医薬品が使用されるよう、患者に対し後発医薬品の有効性、安全性や品質について懇切丁寧に説明をした場合であって、後発医薬品を調剤しなかった場合は、その理由を調剤報酬明細書の摘要欄に記載する。
一般名処方が行われた医薬品について、原則として後発医薬品が使用されるよう、患者に対し後発医薬品の有効性、安全性や品質について懇切丁寧に説明をした場合であって、後発医薬品を調剤しなかった場合は、その理由を調剤報酬明細書の摘要欄に記載する。
今更ですが、とりあえず変更不可なければ先発、一般名処方は類似剤型や薬価等の変更ルール範囲内で変更可能。
上記以外にも通知や告示はたくさんありますが、私が目を通した限り先発と後発の混合を不可とするものは見当たらない。
よって、あとは支払側が問題ないのであれば大丈夫そうなので、支払基金に問い合わせ。
一般名、先発名→複数メーカー、先発と後発の混合調剤の可否
支払基金【千葉支部】の回答
質問
・一般名処方や先発処方時に患者さんが先発と後発両方で調剤してほしいといった場合、単一薬剤に対してこのように調剤することは問題ないか。
回答
・ルール上問題ないので、そのように請求がくればそのまま処理する。
・医師にその旨情報提供するように。
先発と後発を混合して調剤していいってことですね。
摘要欄へのコメントは特に指示がありませんでしたが、少なくとも一般名処方で先発を調剤したのなら「患者の意向」「薬局の備蓄」「後発品なし」「その他」はいつも通り必要。
分かりやすく「患者希望にて先発と後発にて調剤」とか書いておけば大丈夫でしょうかね。
後発で調剤した場合はその情報提供は必要なので、特段普段と変わらない。
医保発0305 第12号第3-7 保険薬局において、銘柄名処方に係る処方薬について後発医薬品(含量規格が異 なるもの及び類似する別剤形のものを含む。)への変更調剤を行ったとき又は一般名処方に係る処方薬について調剤を行ったときは、調剤した薬剤の銘柄(含量規格 が異なる後発医薬品を調剤した場合にあっては含量規格を、類似する別剤形の後発 医薬品を調剤した場合にあっては剤形を含む。)等について、当該調剤に係る処方 せんを発行した保険医療機関に情報提供すること。ただし、当該保険医療機関との 間で、調剤した薬剤の銘柄等に係る情報提供の要否、方法、頻度等に関してあらか じめ合意が得られている場合は、当該合意に基づいた方法等により情報提供を行う ことで差し支えない
注:今回はあくまで患者さんが希望した場合の話です。薬局都合(在庫が足りない)で混合する場合はルール上大丈夫かもしれませんが、個人的にはよろしくないと思います。
また、都道府県によっても異なってくるかもしれませんので、返戻事例等ありましたら情報提供していただきたいです。
あと、このやり方をすると1日量の薬剤料の計算が狂ってくることがほとんど(レセコン的に違う日数の薬剤を同じくくりにして1日量の薬剤料計算できないと思われるので…)なので、そこを指摘されてる可能性はあるのでは?と思っておりますが、今のところ何も言われていないです。
まとめ
1枚の処方せんの単一薬剤(先発or一般名処方)の際に、後発品と先発品の混合、後発品のメーカー違いを混合して調剤することは可能。
・変更ルール上の問題はなし
・支払側もそのように請求されても問題ないとの回答。
(地域差はあるかもしれませんのでご注意下さい。)