薬局における自賠責や労災の請求方法

自賠責と労災の処方箋受付~請求までの流れ


小児科や皮膚科などの門前だと滅多に見ない自賠責や労災の処方箋。

たまに流れ弾を受けパニックになってしまうこともあるので簡単にまとめてみました。

自賠責

交通事故による怪我で医療機関に係った場合に使用。

自由診療のため医療保険のように1点=10円と決まっておらず、医療機関・薬局ごとに自由に設定できる。

※一般に薬剤料は1点=10円 技術料・管理料は1点=12円 文書作成料1000~2000円くらいが多い。

受付の流れ(自賠責)

①使用する保険会社、TEL、担当者を患者さんに確認する。(場合によっては患者自身がTEL)

②保険会社の担当者に電話し、
・確認が取れれば患者負担は0割。
・確認が取れない場合は一時的に10割負担してもらい、確認できたら返金。

③入力はレセコンによるが、とりあえず医療保険請求されない保険(「その他」や「自賠」など)を選び、保険会社等必要な情報を入力。

請求の流れ(自賠責)

以下の2点を作成し、保険会社に郵送する。

①以下の内容を記載したものを作成(=請求書)
・薬局名、住所、連絡先、担当者
・請求金額(1点当たりの金額、文書作成料及び合計金額)
・振込先(薬局で使用している口座)

指定の書式はないので、適当に薬局ごとに作る。


②調剤報酬明細書※(用紙は保険会社に頼んで郵送してもらう)
・患者名、薬剤料、技術料、管理料、総額等必要事項を記載する。

保険会社によって調剤報酬明細書ではなく、医療機関で使用する診療報酬明細書が送られてくる場合がある
この場合、送られてきた診療報酬明細書に薬剤料、技術料、管理料をそれっぽく記載して、レセコンで出力できる調剤報酬明細書を添付しておけば問題ない。

また2回目以降②「調剤報酬明細書」が保険会社から郵送されてこない場合もあるので、その場合①+患者名・請求金額(薬剤料・技術料・管理料)を記載した紙+レセコン出力の調剤報酬明細書で請求している。

自賠責は保険会社によって書式も異なり、きっちりしていないのでとりあえず総額と調剤報酬明細書を添付しておけば何とかなる。


記載例(診療報酬明細書の場合)
うちではこのような感じにそれっぽいところに点数を記載し、レセコンで出力できる調剤報酬明細書を添付して問題なく請求できている。

①、②を請求先の保険会社に郵送する。
そのうち支払通知が来る。



労災

労災を薬局で処理するにはあらかじめ労災保険指定薬局の指定を受けていないといけない。

指定を受ける際に振込先等は記載するため、自賠責のように請求時に記載する必要はない。

患者さんが専用の用紙(5号or16号-3用紙)を持ってきていないと処理できない。

労災は自賠責と違い薬局は1点=10円


受付の流れ(労災)

①来局時「療養給付たる療養の給付請求書」のうち、以下のどちらかを持っているか確認
・ 5号用紙(業務上の負傷・疾病の場合)
・16号の3用紙(通勤上の負傷・疾病の場合) 

②用紙に記載漏れがないか確認し、問題なければ患者負担は0割。
 (記載漏れがあったり、用紙自体を持っていない場合は10割負担してもらい、後日持ってきてもらったら返金)

③入力はレセコンによるが、医療保険請求されない保険(「労災」など)を選び、必要事項を入力する。

請求の流れ(労災)

以下の3点を作成し、管轄の労務局に郵送する。

①薬剤費請求書
②5号or16号用紙
③薬剤費請求内訳書


①薬剤費請求書(労働者災害補償保険薬剤請求書:指薬機様式第一号)
以下の項目を記載(写真参照)

・指定薬局番号
・合計金額
・内訳書(③)の枚数
・最初にとじた患者氏名を記載し、その他に合計人数
 例)○○○○様ほか〇名
・提出年月日
・薬局名称、住所、開設者氏名、電話番号
・提出先の労働局名

表紙みたいなもの。

①記載例)岡山労働局労働基準局労災補償課より




②5号or16号用紙

患者さんが持ってきたものをそのまま送ればよい。



③薬剤費請求内訳書(指薬機様式第二号)
※レセコンでレセプトを作成しその内容を転記するか、コピー機に第2号用紙をセットしてうまいこと印刷できる場合もある。

記載事項

・請求回数、指定薬局番号、名称(一番上の段)
・労働者番号、生年月日、病床年月日、事業の名称、事業場の所在地(②から転記)
・投薬期間(その月の最初の調剤日~最後の調剤日を記載)
・合計額(点数×10円)
・患者氏名
・病院(医療機関)の名称、住所、処方医師名
・調剤年月日、処方内容(レセプトをみながらorレセプトを印刷して添付も可)


③記載例)岡山労働局労働基準局労災補償課より



①、③の用紙はダウンロードできないため、労務局から取り寄せる。

2回目以降の請求は①、③を郵送。

①は初回の人(管轄ごと)、2回目以降の人(管轄は無視してOK)をそれぞれまとめて1枚ずつ作成すればよい。

初回の人は各管轄ごとに分けるが、2回目以降はすべて一緒でよい。

例)その月初めて労災で来局した人が2人(A,B)と先月からきている人(C,D,E)が今月も来た場合

Aを管轄するのはX署
Bを管轄するのはY署
C,Dを管轄するのはZ署
Eを管轄するのはX署

初回の人(C,D,E)は2回目以降の人と分け、かつ管轄ごとなので、
・C、Dの2人分まとめて①は1枚、②~③はそれぞれ必要。これらをまとめて綴じる
・Eの人は1人のみで①~③を綴じる

2回目以降の人(A,B)は管轄が異なっても一緒でよいので、まとめて①は1枚、②は2回目なのでなし、③はそれぞれ必要。これらをまとめて綴じる。

よって郵送する際は封筒が3つになる。




提出方法

上記ルールに従って分け、①、②、③、(レセプト印刷を添付する場合は一番最後)の順でまとめ、左端に穴をあけてヒモで綴じる。
毎月10日までに郵送。

 2017年12月10日

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