エディロール、ロカルトロール、アルファロールの違い

活性化ビタミンD3製剤の比較


エディロールは他の2剤よりエビデンスがよく、効果が強いイメージですが、この差はどこからくるのでしょうか。

まずはビタミンD3の作用機序からおさらい。

ビタミンD3の作用機序

ビタミンD3は腎臓で1α位、肝臓で25位が代謝(水酸化)され、活性型ビタミンD3となる。

活性型ビタミンD3はビタミンD受容体に結合し、小腸からのカルシウム吸収促進、腎臓での再吸収促進、骨芽細胞の作用促進作用を示す。

また、血中カルシウム濃度が上昇すること副甲状腺ホルモン(パラソルモン)の分泌も抑制し、それに続き破骨細胞の分化を抑制する。(詳しくは後述)

全ての活性型ビタミンD3製剤は天然型ビタミンD3より骨密度低下抑制、腰椎骨密度上昇効果、骨折抑制効果が優れていると報告されている。



各薬剤の作用機序

カルシトリオール(ロカルトロール)

カルシトリオールはビタミンD3の最終活性化体である1α,25ジヒドロキシビタミンD3。

骨芽細胞に直接作用し、オステオカルシンの合成を促進する作用もある。(ロカルトロールIF)

アルファカルシドール(アルファロール)

1αヒドロキシビタミンD3であり、肝臓で25位が水酸化されてカルシトリオール(活性型ビタミンD3)になる。
つまり、カルシトリオールのプロドラッグ。

プロドラックなので、カルシトリオール同様骨芽細胞に直接作用し、オステオカルシンの合成を促進する。(アルファロールIF)

エルデカルシトール(エディロール)

カルシトリオール(活性型ビタミンD3)2β位にヒドロキシプロピルオキシ基を導入することで、骨代謝調節作用を強化。

ミニモデリングと呼ばれる作用により骨形成を促進する。

薬理試験において濃度依存的に破骨細胞の形成を抑制。(エディロールIF)



破骨細胞分化抑制作用はエディロールにしかないみたいなことが書いてあったのですが、インタビューフォーム等に記載がないだけで理論上は他の2剤にもあると思われる。

次はこの点について。

ビタミンD3製剤と破骨細胞

先ほど述べたようにエディロールは破骨細胞の分化を抑制するとインタビューフォームに記載があるが、以下の理由により他の2剤でも分化抑制作用はあると考えられる。

そもそもビタミンD3はin vitroだと破骨細胞を活性化してしまう

しかし、実際in vivoだと破骨細胞の活動が抑えられる

これは、活性化ビタミンDを介したパラソルモン(PTH)抑制とそれに続くRANKL細胞の発現抑制が関与していると考えている。

活性化ビタミンD製剤→PTH抑制→RANKL抑制→破骨細胞形成抑制

以上より、副甲状腺(パラソルモン分泌)抑制がある3剤全てで破骨細胞による骨吸収は抑制できると考えられる。

ただし、作用の強さ的にはエディロールの骨吸収抑制は他の2剤よりは優れているようです。

※RANKL:破骨細胞分化因子。破骨細胞前駆体に存在するRANK受容体に結合することで破骨細胞の分化を促進する。



薬物動態

今はレグパラが主流なのかもしれませんが、透析患者さんの副甲状腺機能亢進症に対してビタミンD3製剤の処方をよく見るので、その辺メインに動態を考察してみました。

カルシトリオール

透析除去:除去されない。
半減期:16.2h

アルファカルシドール

透析除去:資料なし(ほとんどがリポタンパクと結合しているため除去されないと思われる)
半減期:17.6h

エルデカルシトール

透析除去:資料なし(蛋白結合率95%前後のため除去されないと思われる)
半減期:48.4h

代謝経路はアルファカルシドール、カルシトリオールはCYP、エルデカルシトールはCYP以外の何かにより水酸化される。

3剤とも尿中排泄は少なく、腎機能障害でも血中濃度上昇は見られない。(ただし高カルシウム血症のリスクは上がるため注意)


臨床成績

カルシトリオール、アルファカルシドール

天然型ビタミンDと活性型ビタミンD3製剤の比較試験では椎体骨折抑制作用が認められた。(オッズ比0.64 95%信頼区間0.44-0.92)

カルシトリオールと天然型ビタミンDとの比較において、椎体骨折抑制作用が示せなかった。(オッズ比1.19 95%信頼区間0.7-2.02)

アルファカルシドールとカルシトリオールの比較試験と上記試験を統合するとオッズ比0.51となりカルシトリオールの有効性が確認されたとのこと。

エビデンスレベルは
密度B、椎体骨折B、非椎体骨折B、大腿骨近位部Cとされている。
※A:強く推奨 B推奨 C:明確な根拠なし

エルデカルシトール

アルファカルシドールと比較し、26%の優位な椎体骨折発生抑制、大腿骨近近位・上腕骨、前腕骨の3か所において48%の発生抑制が認められた。

エビデンスレベルは
骨密度A、椎体骨折A、非椎体骨折B、大腿骨近位部Cとされている。


骨折抑制、骨密度といった効果のみをみればエルデカルシトールが圧倒的に勝っているようですが、問題になるのは強さ故の高カルシウム血症のリスクです。

高カルシウム血症の比較

カルシトリオール:記載なし
アルファカルシドール:記載なし
エルデカルシトール:高カルシウム血症1.5%

カルシトリオール、アルファカルシドールの頻度は記載がありませんでしたが、CKDガイドラインでは、高カルシウムによる腎機能障害について、カルシトリオール0.25、アルファカルシドール0.5までは問題にならないとの記載あり。

しかしアルファカルシドール1.0とエルデカルシトール0.75が同等といった報告もある。


うちにくる透析患者さんにはカルシトリオールかアルファカルシドールしか処方されませんね。

エルデカルシトールは高カルシウムのリスクが高いから避けているようです。

添付文書上でもエルデカルシトールのみ腎機能障害に対しては高カルシウム血症のリスクが上昇するため慎重投与となっている。


 2017/05/26

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