エディロール、ロカルトロール、アルファロールの違い

活性化ビタミンD3製剤の比較


R3.7.28追記
エディロールに関して学会から提言。
1) エルデカルシトールをアルファカルシドールに変更することは避ける。 
2) 新規に骨粗鬆症治療を開始する場合は、エルデカルシトールやアルファカルシドールは 避ける。 
3) アルファカルシドールもしくはエルデカルシトールを他の薬剤と併用している場合は、 必要性を検討し、短期間休薬できるようであれば一旦休薬する。 
4) デノスマブと併用の場合は、可能であればエルデカルシトールやアルファカルシドール をデノタスに変更する。
5) エルデカルシトールやアルファカルシドールを単剤で処方の場合は、他の薬剤への変更 を検討する。なお、骨粗鬆症治療は中断しないことが望ましい。
6) ビタミン D 不足・欠乏に対しては、サプリメントとして天然型ビタミン D の補充を考慮 する。 7) アルファカルシドールもしくはエルデカルシトールを処方する場合は、できる限り長期 処方を避ける(30 日処方までとする)。


エディロールは他の2剤より効果が強いイメージですが、この差はどこからくるのでしょうか。

まずは基本情報とビタミンD3の作用機序からおさらい。

基本情報


エディロールだけ妊婦に禁忌。動物にて奇形の報告。(臨床用量の7~27倍の投与量)
ただ、ロカルトロール、アルファロールも動物に奇形の報告はあると記載されている。

エディロールの適応は骨粗鬆症のみなので注意。


ビタミンD3の作用機序

ビタミンD3は腎臓で1α位、肝臓で25位が代謝(水酸化)され、活性型ビタミンD3となる。

活性型ビタミンD3はビタミンD受容体に結合し、小腸からのカルシウム吸収促進、腎臓での再吸収促進、骨芽細胞の作用促進作用を示す。

また、血中カルシウム濃度が上昇することで副甲状腺ホルモン(パラソルモン)の分泌も抑制し、それに続き破骨細胞の分化を抑制する。(詳しくは後述)

全ての活性型ビタミンD3製剤は天然型ビタミンD3より骨密度低下抑制、腰椎骨密度上昇効果、骨折抑制効果が優れていると報告されている。※1



各薬剤の作用機序

カルシトリオール(ロカルトロール)

カルシトリオールはビタミンD3の最終活性化体である1α,25ジヒドロキシビタミンD3。

骨芽細胞に直接作用し、オステオカルシンの合成を促進する作用もある。※2

アルファカルシドール(アルファロール)

1αヒドロキシビタミンD3であり、肝臓で25位が水酸化されてカルシトリオール(活性型ビタミンD3)になる。
つまり、カルシトリオールのプロドラッグ

プロドラックなので、カルシトリオール同様骨芽細胞に直接作用し、オステオカルシンの合成を促進する。※3


エルデカルシトール(エディロール)

カルシトリオール(活性型ビタミンD3)2β位にヒドロキシプロピルオキシ基を導入することで、骨代謝調節作用を強化。

ミニモデリングと呼ばれる作用により骨形成を促進する。

薬理試験において濃度依存的に破骨細胞の形成を抑制。※4



破骨細胞分化抑制作用はエディロールにしかないみたいなことが書いてあったのですが、インタビューフォーム等に記載がないだけで理論上は他の2剤にもあると思われる。

次はこの点について。

ビタミンD3製剤と破骨細胞

先ほど述べたようにエディロールは破骨細胞の分化を抑制するとインタビューフォームに記載があるが、以下の理由により他の2剤でも分化抑制作用はあると考えられる。

そもそもビタミンD3はin vitroだと破骨細胞を活性化してしまう

しかし、実際in vivoだと破骨細胞の活動が抑えられる

これは、活性化ビタミンDを介したパラソルモン(PTH)抑制とそれに続くRANKL細胞の発現抑制が関与していると考えている。

活性化ビタミンD製剤→PTH抑制→RANKL抑制→破骨細胞形成抑制

以上より、副甲状腺(パラソルモン分泌)抑制がある3剤全てで破骨細胞による骨吸収は抑制できると考えられる。

ただし、作用の強さ的にはエディロールの骨吸収抑制は他の2剤よりは優れているようです。※5

※RANKL:破骨細胞分化因子。破骨細胞前駆体に存在するRANK受容体に結合することで破骨細胞の分化を促進する。



薬物動態

透析患者さんの副甲状腺機能亢進症に対してビタミンD3製剤の処方をよく見るので、その辺メインに動態を考察してみました。

カルシトリオール

透析除去:除去されない。
半減期:16.2h

アルファカルシドール

透析除去:資料なし(ほとんどがリポタンパクと結合しているため除去されないと思われる)
半減期:17.6h

エルデカルシトール

透析除去:資料なし(蛋白結合率95%前後のため除去されないと思われる)
半減期:48.4h

代謝経路はアルファカルシドール、カルシトリオールはCYP、エルデカルシトールはCYP以外の何かにより水酸化される。

3剤とも尿中排泄は少なく、腎機能障害でも血中濃度上昇は見られない。(ただし高カルシウム血症のリスクは上がるため注意)


臨床成績

カルシトリオール、アルファカルシドール

天然型ビタミンDと活性型ビタミンD3製剤の比較試験では椎体骨折抑制作用が認められた。(オッズ比0.64 95%信頼区間0.44-0.92)

カルシトリオールと天然型ビタミンDとの比較において、椎体骨折抑制作用が示せなかった。(オッズ比1.19 95%信頼区間0.7-2.02)

アルファカルシドールとカルシトリオールの比較試験と上記試験を統合するとオッズ比0.51となりカルシトリオールの有効性が確認されたとのこと。

エビデンスレベルは
密度B、椎体骨折B、非椎体骨折B、大腿骨近位部Cとされている。
※A:強く推奨 B推奨 C:明確な根拠なし

エルデカルシトールとアルファカルシドールの比較

アルファカルシドールと比較し、26%の優位な椎体骨折発生抑制※4、大腿骨近近位・上腕骨、前腕骨の3か所において48%の発生抑制※1が認められた。(ガイドラインで評価されている試験のうち3試験でエディロール>アルファロール)

国内第3相 ランダム化比較試験


エビデンスレベルは
骨密度A、椎体骨折A、非椎体骨折B、大腿骨近位部Cとされている。

アルファカルシドールとカルシトリオールの比較

カルシトリオールのインタビューフォームには以下の記載。

慢性腎不全、血液透析患者182例を対象にカルシトリオール 0.25μg を 12 週間投与する二重盲検群間比較試験をアルファカルシドール 0.5μg を対照薬として実施したところ、本剤の有用性が確認された。

→原著見つからず。有意と記載がないので同程度?


骨粗鬆症患者 649 例を対象にカルシトリオール 0.5μg1 日 1 回投与群、同 0.25μg1 日 2 回投与 群及びアルファカルシドール 1.0μg1 日 1 回投与群の 3 群による二重盲検群間比較試験を実施したところ、本剤の有用性が確認された。

→中外HPに結果が載っているが、有意差検定などは行われていないよう。見た感じ同程度。


アルファカルシドール1.0μg≒ロカルトロール0.5μg といった感じでしょうか。



力価換算

上記の通り、エディロールとアルファカルシドールの第3相試験では、エディロール0.75μgに対してアルファカルシドール1.0μg。

ただし、前述のようにエディロールで有意に改善しているので、等力価とは言いにくい。

アルファカルシドールとロカルトロールは同程度と思われる。(検定はされていないよう)

エルデカルシトール0.75μg > アルファカルシドール1.0μg

アルファカルシドール1.0μg ≒ カルシトリオール0.5μg


高カルシウム血症の比較

骨折抑制、骨密度といった効果のみをみればエルデカルシトールが圧倒的に勝っているようですが、問題になるのは強さ故の高カルシウム血症のリスクです。

カルシトリオール:記載なし
アルファカルシドール:記載なし
エルデカルシトール:高カルシウム血症1.5%

カルシトリオール、アルファカルシドールの頻度は記載がありませんでしたが、CKDガイドラインでは、高カルシウムによる腎機能障害について、カルシトリオール0.25、アルファカルシドール0.5までは問題にならないとの記載あり。

しかしアルファカルシドール1.0とエルデカルシトール0.75が同等といった報告もある。

透析患者さんにはカルシトリオールかアルファカルシドールが処方されているのはよく見るか、エルデカルシトールはあまりみない。

エルデカルシトールは高カルシウムのリスクが高いから避けているのもあるかもしれませんが、そもそも骨粗鬆症で使用しているのではなく、慢性腎不全に対する低カルシウム血症(2次性副甲状腺機能亢進症の予防)に対して使われる場合が多いので適応の問題。

添付文書上では、エルデカルシトールのみ腎機能障害に対しては高カルシウム血症のリスクが上昇するため慎重投与となっている。

まとめ

骨折予防効果は
エディロール0.75>カルシトリオール0.5(≒)アルファカルシドール1.0

エディロールは骨粗鬆症の適応のみなので注意

エディロールは高カルシウム血症のリスクが高く、腎機能障害患者には要注意

※1 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015
※2 ロカルトロールインタビューフォーム
※3 アルファロールインタビューフォーム
※4 エディロールインタビューフォーム
 2017/05/26

関連記事