スタチン系の強さと使い分け

6つのスタチン系の強さ比較 使い分けすべき特徴はある?


スタチン系薬剤はHMG-CoA還元酵素を阻害することで、LDLコレステロールの合成を阻害する。

現在使われるスタチン系薬剤と最大投与量は以下の通り。

・メバロチン(プラバスタチン) MAX:20㎎
・リポバス(シンバスタチン) MAX:20㎎
・ローコール(フルバスタチン) MAX:60㎎
・リピトール(アトルバスタチン) MAX:20㎎(家族性40㎎)
・リバロ(ピタバスタチン) MAX:4㎎
・クレストール(ロスバスタチン) MAX:20㎎

このうち、リピトール、リバロ、クレストールはストロングスタチンと呼ばれていて、他の3つよりは強いんですけど、強さ以外に何か特徴や使い分けはあるんでしょうか。

ということでとりあえずよく見る強さの比較、根拠と共に。

強さの比較

クレストール5㎎>リピトール10㎎≒リバロ2mg≧リポバス20㎎≒ローコール40㎎>メバロチン20㎎

下記インタビューフォームの情報を集約した結果です。

1.クレストール5㎎>リピトール10㎎≒リポバス20㎎>メバロチン20㎎

各薬剤上記投与量で6週間投与後のLDLコレステロール低下率が順番におよそ46%、36%、35%、25%でした。(クレストールIF)
リピトールはMAX20㎎いけるのでリポバスと最大投与で比較するとリピトール>リポバス

2.ローコール>メバロチン

ラットにおいてローコール及びメバロチン 12.5mg/kg 投与における肝臓でのコレステロール合成阻害率は各々99%、72%。(ローコールIF)


3.リピトール≒リバロ

リバロ2-4mg28~52周投与後のコレステロール低下率は32-37%前後(リバロIF)
試験は違いますがクレストールIFの情報と共に比較するとリピトールと同等。

4.リポバス>ローコール

ローコール20㎎群でLDL低下率17%。
強引ですが、ウサギにおけるLDL変化量は用量依存(比例)なので40㎎で35%前後と推測。
その他各種参考書の順番考慮。


リポバス、ローコールの比較がちょっと無理やりですが、
強さはこんな感じでしょうか。



ただし、これらは直接比較でないのであくまで参考値

ストロングスタチン3剤を比較したPATROL試験ではアトルバスタチン10㎎、ロスバスタチン2.5㎎、ピタバスタチン2㎎のLDL低下作用は群間差なしとなっているので、意外と参考になりそうな値にはなっている気がします。

また、※2にてスタチン系の換算表がPharmacist's letterを基に作成されているものが記載されているが、クレストール2.5㎎≒リピトール10㎎≒リバロ2mg≒リポバス20㎎≒ローコール80㎎≒メバロチン40~80㎎となっており、ローコール以外はだいだい一致している。


次はその他の特徴。

よく聞くのが、クレストールとリポバスが水溶性ってやつですが、水溶性だといいことあるんでしょうか?


水溶性と脂溶性の違い

人間の細胞膜は脂溶性のほうが通過しやすいので、脂溶性のほうがいろいろな細胞に分布しやすい=効果、副作用が出やすいかもしれない。

ただし、副作用発現率を見ると統一性はないから何とも言えない。

水溶性だと腎代謝なのかな~と思いきやそんなこともないんですね。

なんで別にここおぼえなくていいんじゃないでしょうか…なんかありましたらご鞭撻ください。

代謝経路

各薬剤の代謝経路は以下の通り。

メバロチン:腎排泄60% 胆汁排泄 CYP関与なし
リポバス:腎排泄13% CYP3A4
ローコール:腎排泄6% CYP2C9
リピトール:腎排泄2% CYP3A4
リバロ:腎排泄<2% 胆汁排泄 CYP2C9(関与小)
クレストール:腎排泄10% 胆汁排泄 

参考:今日の治療薬

禁忌(過敏症、妊婦以外)

メバロチン:なし
リポバス:重篤な肝障害、CYP3A4関係薬剤(多数)
ローコール:重篤な肝障害
リピトール:肝機能低下、CYP3A4関係薬剤(多数)
リバロ:重篤な肝障害、胆道閉塞、シクロスポリン
クレストール:肝機能低下、シクロスポリン

シクロスポリンの禁忌はCYP関係でなく、トランスポーター(OATP1B1及びBCR)の関係。
リバロ、クレストールのみ禁忌となっているが、作用機序的にはすべて注意が必要であり、日経DIにて特集されていたことがある。※1
この情報によるとシクロスポリン服用時もっとも安全に使えるのはローコールのみとのこと。

肝臓への負担が大きい薬剤は肝機能低下に対しても禁忌。
メバロチンは肝臓への負担は少ない。

副作用

スタチン系の代表的副作用は消化器症状、横紋筋融解症、ミパオチー、肝機能障害。

横紋筋融解症は添付文書上頻度不明だけど、0.02~0.03%と言われている(今日の治療薬)

スタチン系の隔日投与

たまにスタチン系薬剤の隔日投与(1日おきとか)を見る。

コレステロール低下作用は以下の流れにより隔日投与でも継続するそうです。

HMG-CoA還元酵素阻害
肝細胞内コレステロール低下
肝臓のコレステロールを補うため血中LDLを肝臓側に運ぶLDLレセプターが増える
1度細胞内コレステロールが低下すると、薬物濃度に関係なくLDLレセプターの増加が起きるため、半減期に関係なく間欠投与でもLDLは低下する。

とのことです。
何かの雑誌で見たんですが情報元忘れました。


ストロングスタチンと糖尿病の関係

ストロングスタチンの服用が糖尿病発症のリスクになるというメタ解析を含めた報告がある。

プラバスタチンはそのリスクはないとされている。



まとめ

強さ
クレストール5㎎>リピトール10㎎≒リバロ2mg≧リポバス20㎎≒ローコール40㎎>メバロチン20㎎
※各インタビューフォーム等のデータをまとめたものであり、目安程度に


肝障害時の禁忌
肝機能低下:リピトール、クレストール…肝臓への負担大
重篤な肝障害:リバロ、リポバス、ローコール
なし:メバロチン…肝臓に優しい

併用禁忌
シクロスポリン:リバロ、クレストール…OATPの関係(禁忌でない薬剤も注意)
CYP関連薬剤:リポバス、リピトール

※1 日経DI 2016.2.9ネオーラルと併用できるスタチンはどれ? 
※2 フォーミュラリー エビデンスと経済性の基づいた薬剤選択 薬事日報社
 2017/05/12

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