エパデールとロトリガの違い

ロトリガで認知症予防? エパデールとの比較

エパデールはEPA製剤、ロトリガはEPA+DHA製剤です。

エパデールの勉強会ではDHAをとる必要性は別にないと言っていました。(まぁそりゃ自社製品売らなきゃなので)

EPAって代謝されてDHAになるからEPAだけ摂取してればいいのでは?と思っていましたが、そうでもないみたいです。(詳細は後ほど)


先日ロトリガからエパデールに変更になった患者さんがいて、以下のお話しがありました。

Aさん「いやぁ、ずっとロトリガ飲んでいたんだけど、まだ若いからエパデールで十分だって。もうちょい高齢者になったらロトリガがいいよって言っていたよ」

高齢者にはロトリガがいいんですか?
どっかそういうエビデンスがあるのかな~と思い調べてました。

まずは基本的なことから。

EPA・DHAの効果

抗血小板凝集作用

アラキドン酸の代謝により産生されるTXA2,PGI2の産生が産生されると血小板凝集作用が出てしまう。

EPAやDHAはこのアラキドン酸が代謝される酵素と同じ酵素により代謝され、血小板凝集作用のないTXA3,PGI3を産生する。(エパデールIF)

要はアラキドン酸の代謝を阻害してTXA2,PGI2の産生を抑制してくれるわけです。

血管に対する抗炎症作用

EPAは血管や白血球・血小板の細胞膜のなかでは、炎症性サイトカインなどの産生抑制により炎症を抑制する。(エパデールIF)

コレステロール、TG低下作用

EPAは、コレステロール合成を調節している転写因子SREBP-1c(コレステロールの分解を促進する)の活性化と SREBP-1c 自身の遺伝子転写を抑制することで、コレステロール低下作用を示す。(エパデールIF)

また、PPARαの増加、TG合成阻害等によりTG低下作用を示す。(エパデール,ロトリガIF)



EPA・DHAの代謝

ω-3不飽和脂肪酸の代謝

α-リノレン→EPA→DHA

ということで、EPAとっていればDHAなんてとらなくていいんじゃない?と先ほど述べましたが…

調べてみると体内のEPA→DHAの変換はわずか0.5%程度とのこと。

なので、EPA摂取でDHAを補えるわけではない。



含有成分

エパデールS600

1包中、EPA:600㎎ (通常1日1800㎎分3)

ロトリガ

1包2g中、EPA:930㎎ DHA:750mg (通常2g分1)


比較試験

ロトリガIF

ロトリガ2g/dayとエパデール1800㎎/dayにおけるLDL,TG低下率の比較試験

オメガ-3脂肪酸エチル=ロトリガです。
ロトリガ2g/dayとエパデール1800㎎だとTG(左図)、LDL(右図)低下作用はともに同等ですね。


認知機能に関する効果

なぜ高齢者への投与に向いていると先生が言っていたのか?

LDL、TG低下作用等に関してはあまり違いはないようですが、DHA摂取群のほうが認知機能の低下抑制作用が見られるといった報告がありました。(ω3系脂肪酸と認知機能)

一方のEPAは認知機能改善効果は見られていない。

これは先ほど代謝で述べた脳内移行が関与しているようです。

先生がこのことを言っていたのかはわかりませんが、高齢者に進める理由の1つにはなりそうです。


まとめ(個人的)

粒状カプセルを1日3回飲むの大変ならロトリガ(エパデールカプセルでも)。

安いのがいいならエパデール。

LDL、TG低下作用はどっちも変わらない。

ロトリガはもしかしたら認知機能低下抑制が期待できるかも。



 2017年5月13日

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