この透析患者さんの2次性副甲状腺機能亢進症に対しては経口薬としてレグパラがありましたが、2016年12月世界初の注射剤としてパーサビブ静注が発売されました。
パーサビブは透析終了後(週3回)、1回2.5㎎~15㎎を返血時に投与する。
今後レグパラにとって代わっていくのでしょうか。
まずは基本情報の比較から。
パーサビブ(エテルカルセチド)
適応
血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症 のみ。
レグパラには副甲状腺癌、 副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症時の高カルシウム血症の適応もあり。
作用機序
7つのアミノ酸とL-システインとの合成ペプチドであるパーサビブは、カルシウム受容体とジスルフィド結合することで、アロステリック効果によりカルシウム受容体の作用を増強する。
※アロステリック:通常結合する部位とは別の部位に作用することで、その受容体の作用を増強・抑制する効果。
レグパラと違う点は、アロステリックに作用すること、ペプチドであること。
薬物動態
パーサビブ
生体内でL-Cys部分が様々な物質と置き換わるが、活性部位であるD-アミノ酸ペプチド骨格は残っているため薬理作用を示す。
透析で59.6%が除去される。(尿中3.2%、糞中4.5%)
CYPによる代謝は受けない。
レグパラ
尿中未変化体排泄0.001%未満。
透析日と非透析日で血中濃度に差がないこと及び蛋白結合率95%以上という点から透析による除去はされないと考えられる。
また、主にCYP3A4、CYP2D6、CYP1A2により代謝される。
代謝物は主に尿中排泄→透析患者の場合は透析除去?
代謝物の透析除去率は記載なし。(代謝物に活性はないので気にしなくても良いのかも…。)
レグパラはCYP代謝のため併用注意が多いが、パーサビブは代謝関係の併用注意はなし。
副作用
パーサビブ
臨床試験時292例中、血中Ca減少(14.7%)、嘔吐(2.1%)、下痢(1.0%)、味覚異常(1.0%)、低Ca血症(1.0%)
臨床試験時292例中、血中Ca減少(14.7%)、嘔吐(2.1%)、下痢(1.0%)、味覚異常(1.0%)、低Ca血症(1.0%)
レグパラ
臨床試験時573例中、嘔吐・悪心(26.3%)、胃不快(18.7%)、低Ca+Ca低下(14.7%)、食欲不振(9.8%)、QT延長(5.8%)
低カルシウム血症、カルシウム低下のリスクは同じくらい。
レグパラのほうが消化器系の副作用が多い。
臨床試験時573例中、嘔吐・悪心(26.3%)、胃不快(18.7%)、低Ca+Ca低下(14.7%)、食欲不振(9.8%)、QT延長(5.8%)
低カルシウム血症、カルシウム低下のリスクは同じくらい。
レグパラのほうが消化器系の副作用が多い。
有効性の比較
パーサビブ VS レグパラ のランダム化比較試験
PTH濃度の30%以上減少を達成した患者の割合
レグパラ群:198/343(57.7%)
パーサビブ群:232/340(68.2%)
その差は-10.5%でパーサビブ優位(95%信頼区間-17.5%~-3.5% P=0.004)
最も多く見られた有害事象は血中カルシウム低下で、
レグパラ:59.8%
パーサビブ:68.9%
パーサビブのPTH低下作用はレグパラに非劣勢以上と結論づけられています。
どちらの群も低カルシウムの頻度が高いので注意ですね。
うちでは今のところ内服のレグパラが処方されてしますが…今後どうなっていくのか気になることろです。
その他
透析関係の基礎知識、薬剤をざっくり調べるのに使用している本。
薬剤のみならず透析の仕組み、病態、添付文書では禁忌となっているが投与できる薬剤(NSAIDsなど)等も記載されており参考になります。
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