ニトロペンとミオコールスプレーの違い

口渇患者にはミオコールスプレーが効果的? 速効性硝酸薬の比較


ニトロペン、ミオコールスプレーの成分は共にニトログリセリン。

ニトロペンは錠剤を舌下投与、ミオコールスプレーは舌下に噴霧とどちらも舌下投与ですが、何か使い分けはあるのでしょうか。

基本情報

ニトロペン錠0.3㎎
適応:狭心症・心筋梗塞・心臓喘息・アカラジアの一時的緩解
用法:1回1~2錠(0.3~0.6㎎)を舌下投与 5分経過後も効果がない場合は追加で1~2錠 最大3回投与(3錠まで)可能※1
注意:飲み込まないように


ミオコールスプレー0.3㎎
適応:狭心症発作の寛解
用法:1回1噴霧(0.3㎎)を舌下投与 3分経過後も効果ない場合は追加で1噴霧※2
注意:事前に空打ちを済ましておく 噴霧時は呼吸を止める 噴霧時は容器を立てて

※1 ニトロペン指導せんより
※2 ミオコールスプレー指導せんより

指導せんを読むと、ニトロペンは1回の発作に対し最大3回まで投与可能である旨の記載があるが、ミオコールスプレーは2回までとなっている。

ミオコールスプレーは発作時すぐに使用できるように、事前に6~7回空打ちを行っておく。1か月以上使用していなかった場合も薬液が噴霧されるか空打ちで定期的に確認。


血中濃度の比較

ニトロペン4分後に最高血中濃度(1.3ng/ml)に到達する(1錠投与時)※1
持続時間は~10分※3

ミオコール3分後に最高血中濃度(3.08ng/ml)に到達する(1噴霧時)※2
持続時間は~15分※3

※1ニトロペンインタビューフォーム
※2ミオコールスプレーインタビューフォーム
※3Drug Des Devel Ther. 2015 Aug 19;9:4793-805.

欧米では、舌下錠よりスプレーのほうがより迅速な効果が期待できるとして、スプレータイプが汎用されているとのこと。

ミオコールスプレーは3分と記載されているが、実際Tmaxをみると4.1±0.3となっているため、ニトロペンとほぼ変わらないと思われる。が、ガイドラインにはスプレータイプのほうが血中濃度の立ち上がりが早い※1ので効果発現は早い可能性がある。

※1 冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン

ミオコールは1噴霧でニトロペンの2倍以上の血中濃度となっている。
ミオコールスプレーが1回1噴霧までの使用となっていることも納得がいきます。



副作用の比較

ミオコールスプレーは血中濃度がニトロペンの2倍以上になるためその分副作用も多そうですが、どうなんでしょうか。

ニトロペン
頻度不明:頭痛、血圧低下、紅潮
0.1%以下:めまい

ミオコールスプレー
使用成績調査1965例中111件で発生(4.53%)
・舌のしびれ(1.12%)
・頭痛(0.97%)

ニトロペンの発生頻度は記載がないが、0.5㎎投与時の副作用を比較した報告(スプレー:410人、舌下錠:387人)によると、スプレーのほうが頭痛は少なく、味覚異常は舌下錠のほうが少なかったとされている。上記※3

それ以外に関しては、大きな違いは見られなかったとのこと。

指導せんには立ちくらみ、めまい、ほてりなどの注意事項が記載されているが実際の発現率をみるとあまり見られていないようです。

口渇患者にはスプレ―が良い?

ニトロペンは口が乾いてしまっている場合すぐに使用することができない。
唾液が十分でない場合、溶解までに15~90秒かかってしまうとの報告がある。※1

舌下錠とスプレーの効果を比較した試験において、通常の患者では大きな差はなかったものの、口渇患者に対してはスプレーのほうが効果が高かったとする報告もある。※2

高齢者において、スプレー式のほうが有効数、痛み寛解の早さが優れていたとする報告もあり、これは口渇が関連しているようです。※3

※1Drug Des Devel Ther. 2015 Aug 19;9:4793-805.
※2Arzneimittelforschung. 1997 Feb;47(2):128-31.
※3Eur J Clin Pharmacol. 1992;42(3):341-2.



ガイドライン上の記載

先ほど少々記載したが、冠攣縮性狭心症のガイドラインには以下の記載がある。

"発作の解除には,ニトログリセリンや速効性硝酸イソソ ルビドなどの硝酸薬が第一選択薬であり,舌下またはスプレーの口腔内噴霧を行う.とくに,後者は口腔内が乾燥している場合や意識レベルの低下した状況においても投与可能である.硝酸イソソルビドの噴霧投与は,舌下投与に比べて血中濃度の立ち上がりが早いことが報告されている."

立ち上がりはスプレー、口渇患者にもスプレーがよさそうです。


まとめ

口渇患者(高齢者)、意識消失患者にはミオコールスプレーのほうが個人差がなく効果発現も早い

頭痛はミオコールスプレーのほうが少ないが、味覚異常が多い

ニトロペンは1回の発作で3回まで、ミオコールスプレーは2回まで

 2017年12月12日

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