ルネスタとベルソムラの食事の影響

食事で効果が低下? ~ルネスタやベルソムラは注意~

睡眠薬は寝る前に服用するものなのであまり食事に関しては気にしないことが多いが、食事により吸収が変化する薬剤が意外とある。

その1つにルネスタ(エスゾピクロン)やベルソムラ(スボレキサント)がある。

寝る前に何か食べるような習慣がある人や、夕食後すぐに寝るような人の場合は注意が必要。


ルネスタと食事の影響

ルネスタは非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬でアモバン(ゾピクロン)の光学異性体である。

このルネスタは、食後に服用してしまうと吸収が遅くなり、効果発現までの時間が遅くなるため、食直後の服用は避けるようにしなければならない。

臨床データを見ると、
ルネスタ3mgを800kcalの食事摂取後に投与した場合、空腹時と比較してCmaxは30%低下Tmaxは2.5時間遅延したとのこと。(AUCは変化なし)

ルネスタは空腹時服用だと30分~1時間で最大血中濃度になるので、食後に服用してしまうと3時間以上かかってしまう。

入眠で悩んでいる人にとってこの延長は大きな問題となるため注意が必要である。

ベルソムラと食事の影響

ベルソムラ(スボレキサント)もルネスタ同様、食直後に服用すると吸収が遅れ効果発現が遅くなってしまう。

臨床データを見ると、
ベルソムラ40mgを低脂肪食摂取後に投与した場合、空腹時と比較してCmaxは23%増加したが、Tmaxは1時間延長したとのこと。(AUCは変化なし)

他のデータでもTmaxは1~1.5時間程度延長していた。
Cmaxは微増であるが、問題になる値ではない。

ベルソムラは通常空腹時服用だと1~3時間で最大血中濃度になるので、食後に服用してしまうと2時間以上かかってしまう。


食事以外の注意としては、頻繁に処方されるクラリスロマイシン(クラリシッド、クラリス)との併用が禁忌となっている。

併用した場合、Cmaxの変化はほとんどないが、AUCが2倍近くになってしまう。

その他CYP3A阻害作用の強いイトラコナゾールやボリコナゾール、抗ウイルス薬の一部も禁忌になっている。

マイスリーと食事の影響

マイスリー(ゾルピデム)は食後でもTmaxは1.8±1.2となっており、やや延長する人が多いが、Cmax,AUCは変化なくIFでは食事の影響は受けにくいと記載されている。

レンドルミンと食事の影響

レンドルミン(ブロチゾラム)に関しては食事に関するデータなし。 試験データは空腹時服用のため、空腹時が無難。


 2017年4月7日

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