透析患者さんへのNSAIDs投与

重篤な腎機能障害に禁忌であるNSAIDsは、透析患者さんにも禁忌?

NSAIDsは重篤な腎障害のある患者さんに対して禁忌となっている。

透析も重篤な腎機能障害に当たるためNSAIDsは禁忌であるが、実際は投与可能な場合が多い。

腎障害に禁忌となっている場合は、なぜ禁忌なのかによって透析患者さんへの投与の可否が変わってくる。


腎機能と禁忌理由

腎機能障害患者に対して禁忌となっている薬剤の主な理由は以下の2通り。

① 腎排泄が出来ず、血中濃度が上昇してしまう。

② 腎機能障害を悪化させる。


①の理由により腎機能障害者に禁忌となっている薬剤は、透析患者でも当然禁忌となる。

②の理由で腎機能障害に禁忌となっている薬剤は、腎機能がもう残っていない透析患者さんの場合、それ以上悪化することはないため投与可能となる。(腎機能が残っている場合には基本的には禁止)

NSAIDsと腎機能について

NSAIDsの禁忌理由

NSAIDsはプロスタグランジン産生抑制により、抗炎症作用を示すが、このプロスタグランジンは腎血流量を増加させる作用があるため、プロスタグランジン産生が抑制られると腎血流量も低下する。

NSAIDsを重篤な腎機能障害がある患者に投与すると、上記機序にて腎血流量が減少し、腎機能をさらに悪化させてしまう恐れがあるため、重篤な腎機能障害者に対して禁忌となっている。

子の理由は禁忌理由の②に該当するため、腎機能を完全に失っている透析患者さんには投与可能となる。

NSAIDsの代謝

ほとんどのNSAIDsは肝代謝型である。
よって、透析患者さんに使用しても血中濃度が上昇するおそれはない。

尿中未変化体が15%程度のものあるが、尿から排泄されない分は、肝代謝で代償されるため問題ない。

以下に代表的NSAIDsの代謝経路を記載。(IFより)

ロキソニン(ロキソプロフェン)

・CYP、グルクロン酸抱合により代謝される。
・8時間後の尿中未変化体、活性代謝物は共に2%前後。

セレコックス(セレコキシブ)

・CYP2C9により代謝される。
・尿中未変化体は3%未満。
・GFR35-70ml/min(軽度~中度の腎障害)の患者に対して投与した場合の血中濃度は健常人の0.4~0.7倍、AUCは0.4~1.3倍で差なし。

ハイペン(エトドラク)

CYP2C9、グルクロン酸抱合(UGT1A9)により代謝される。
・24時間後の尿中未変化体は15~16%

モービック(メロキシカム)

・主にCYP2C9、一部CYP3A4により代謝される。
・48時間までの尿中未変化体は0~0.8%。
軽度~中等度の腎障害患者(クレアチニンクリアランスが25mL/min以上)で は用量低減の必要はない。



ちなみに、NSAIDsはタンパク結合率が高いため、透析でほとんど除去されない


まとめ

重篤な腎機能障害に禁忌とされている薬剤でも、腎機能がそれ以上悪化することのない状態の場合NSAIDsは投与できる。

ほとんどが肝代謝のため、減量の必要もない

添付文書上禁忌なので、投与する場合は疑義照会をしなければならない


 2017/04/01

関連記事