COPDに対する抗コリン薬とβ刺激薬の比較

COPDには抗コリン薬(LAMA)とβ刺激(LABA)どちらが有効?

COPDは通常気管支拡張剤の単剤~他剤使用から開始となる。
気管支拡張剤のなかでもβ遮断薬ではなく、抗コリン薬の処方をよく見ます。

ですが、COPDのガイドライン第4版(2014年)では第一選択として抗コリンとβ遮断薬は同等の位置づけになっています。

ということで抗コリンでもβ刺激でもいいんですけど、適応はどうなっているんでしょうか。


各薬剤の適応

COPD、気管支喘息の両方に適応を持つ薬剤

β刺激+ステロイド
アドエア(サルメテロール/フルチカゾンプロピオン酸)
シムビコート(ホルモテロール/ブデソニド)
レルベア100※(ビランテロール/フルチカゾンフランカルボン酸)
※レルベア100のみ両方に適応あり

β刺激
セレベント(サルメテロール)

COPDのみに適応を持つ薬剤

β刺激+抗コリン
アノーロ(ビランテロール/ウメクリジニウム)
ウルティブロ(インダカテロール/グリコピロニウム)
スピオルト(オロダテロール/チオトロピウム)

抗コリン
エクリラ(アクリジニウム)
エンクラッセ(ウメクリジニウム)
シーブリ(グリコピロニウム)
スピリーバ(チオトロピウム)

β刺激
オンブレス(インダカテロール)
オーキシス(ホルモテロール)

気管支喘息のみに適応を持つ薬剤

β刺激+ステロイド
フルティフォーム(ホルモテロール/フルチカゾンプロピオン酸)
レルベア200(ビランテロール/フルチカゾンフランカルボン酸)

ステロイド
アズマネックス(モメタゾンフランカルボン酸)
アニュイティ(フルチカゾンフランカルボン酸)
オルベスコ(シクレソニド)
キュバール(ベクロメタゾンプロピオン酸)

抗コリン薬
スピリーバ(チオトロピウム)

気管支喘息のための抗コリン薬はスピリーバのみ。
COPDのためのステロイド単剤はない。

抗コリン薬とβ刺激の有効性比較

抗コリン薬は以下の作用により、β刺激薬よりも効果があると考えられ、以前は臨床試験でも優位とされていた。

・痰の分泌抑制。
・アセチルコリンによる収縮を抑制。
・高齢者はβ刺激薬が効きにくい。

ただし、ガイドラインでは両方とも第一選択薬。
ですが、最近の論文を見るとそうでもないものもあります。

抗コリン薬 vs β刺激

抗コリンとβ遮断を比較したメタアナリシス。
Respirology. 2017 Jun 27. doi:10.1111/resp.13100. 

抗コリンのほうが副作用が少なく、急性憎悪も少なかったとなっている。

抗コリン・β刺激併用 vs 各薬剤の単剤

抗コリン薬とβ刺激薬の併用に関しては、各薬剤単剤より有効とするものがほとんど。
1.nt J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2017 Mar17;12:907-922. doi: 10.2147/COPD.S130482. eCollection 2017.

COPDに対するステロイドの効果

COPDに対してステロイドが使用されるのは重症例と憎悪期のみ。

普段からステロイドを使っても呼吸機能の悪化抑制作用はないとされている。
(日本呼吸器学会 COPDガイドライン第4版)

まとめ

ガイドライン上COPDの第一選択は抗コリン薬、β刺激。

抗コリン薬のほうがβ刺激より有効とするデータも多数。

抗コリン薬とβ刺激の併用は単剤より有効。


 2017年7月17日

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