ロキソニンよりボルタレンのほうが強いというのは本当?
「ボルタレンはロキソニンより効果が強く、その分消化器系の副作用も出やすい」と一般的に言われていますが、そんなに違うんでしょうか。
鎮痛作用の強さ、速効性、副作用発現率の3点について見てみました。
鎮痛作用
ボルタレン(ジクロフェナク)
鎮痛作用:関節炎疼痛(ラット)において、ジクロフェナクナトリウムの鎮痛作用は、
ロキソプロフェンナトリウムよりも強い。インドメタシンとは同等。
ロキソプロフェンナトリウムよりも強い。インドメタシンとは同等。
解熱作用:ジクロフェナクナトリウムは酵母による発熱(ラット)を低用量で抑制し、その作用はフェニルブタゾンより明らかに強く、インドメタシンよりやや強い。
(ボルタレンインタビューフォーム)
(ボルタレンインタビューフォーム)
ロキソニン(ロキソプロフェン)
鎮痛作用:関節炎(ラット)において、インドメタシンの3~5倍以上の鎮痛作用を示した。
解熱作用:イーストによる発熱試験(ラット経口)において ID50 値が1.29mg/kgであり、ケトプロフェン、ナプロキセンとほぼ同等、インドメタシンの約3倍の解熱作用を示す。
(ロキソプロフェンインタビューフォーム)
ボルタレンのロキソプロフェンより強いという文章をそのまま信じていいものか…
各種疾患に対する有効率をみるとロキソニンのほうがよいものも結構あります。(各添付文書参照)
ボルタレンのロキソプロフェンより強いという文章をそのまま信じていいものか…
各種疾患に対する有効率をみるとロキソニンのほうがよいものも結構あります。(各添付文書参照)
インドメタシンとの比較を見るとロキソニンのほうが強そうですが。
直接比較している文献を探してみましたが良いものが見つけられませんでした。
そもそもですが、慢性疼痛ガイドラインではNSAIDs間での鎮痛作用の違いは見いだせないとされている。(変形性膝関節症にはジクロフェナクが有効とされているが、ロキソプロフェンとの比較はされていない)
そもそもですが、慢性疼痛ガイドラインではNSAIDs間での鎮痛作用の違いは見いだせないとされている。(変形性膝関節症にはジクロフェナクが有効とされているが、ロキソプロフェンとの比較はされていない)
速効性
Tmaxを比較すると以下の通り。
ボルタレン:2.7h
ロキソニン:0.45h(活性代謝物0.79h)
ロキソニン:0.45h(活性代謝物0.79h)
ロキソニンはプロドラッグなので活性化が必要。
それでもボルタレンより全然早そうです。
さらにロキソニンのインタビューフォームには以下の記載がある。
強い痛み刺激が継続すると中枢神経細胞にc-Fos蛋白が発現することが分かっている。
このc-Fos 蛋白発現の有無を指標としたロキソプロフェンナトリウム水和物、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウムの鎮痛効果の速効性を動物実験により比較した結果、痛み刺激(IL-1β)と同時に投与した群では3剤とも末梢でのプロスタグランジン産生を抑制したため、c-Fos蛋白は発現しなかった。しかし、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウムについては、痛み刺激15 分後投与群でc-Fos 蛋白が発現した。つまり炎症部位に移行するまでに時間を要し、プロスタグランジン産生を抑制できなかったため、c-Fos 蛋白が発現した。
一方、ロキソプロフェンナトリウム水和物投与群では、痛み刺激15 分後そして30分後も c-Fos 蛋白の発現は見られなかった。即ち、ロキソプロフェンナトリウム水和物の方がインドメタシン、ジクロフェナクナトリウムより速やかに炎症部位に移行し、プロスタグランジン産生を抑制し、鎮痛効果を発揮した。
頓服で使うならロキソニンがよさそうです。
副作用発現率
ボルタレン
承認以降(承認時臨床試験以外)の35653例中
消化器系6.63%
(胃不快感3.24%、食欲不振1.97%、胃痛1.56%、悪心・吐き気1.22%)
ロキソニン
承認以降(承認時臨床試験以外)の11511例中
消化器系1.36%
(胃不快感0.3%、食欲不振0.04%、胃痛0.25%、悪心・吐き気0.15%)
上記の通り、消化器系副作用はボルタレンのほうが高頻度に見られそうです。
ただし、胃潰瘍などの重篤な副作用をみると大きな差はない。
まとめ
鎮痛・解熱作用はボルタレンのほうが強いといわれているが、個人的には疑問。
(NSIADs間の鎮痛効果の差を明確に示すエビデンスはあまりない)
速効性はロキソニン。
消化器系副作用が少ないのはロキソニン。
鎮痛剤の強さ比較一覧はこちら
(NSIADs間の鎮痛効果の差を明確に示すエビデンスはあまりない)
速効性はロキソニン。
消化器系副作用が少ないのはロキソニン。
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