メリスロン、セファドール、トリノシン、イソソルビドの違い

回転性めまい(メニエール)に処方される薬剤の使い分けは?


めまい(回転性めまい)を訴える患者に処方されている薬剤でよく見る薬剤にメリスロン、セファドール、トリノシン、硝酸イソソルビドなどがある。

これらの薬剤はどのように使い分けされているのでしょうか。
また、あまり劇的に聞いてる患者さんと遭遇しないのですが、有効性はどうでしょうか。


めまいの基礎知識

めまいの種類

良性発作性頭位めまい症(31%)、メニエール病(18%)、その他内耳性めまい(42%)といった割合。※1


主なめまいの原因

・脳血管障害:脳出血や脳梗塞
・脳腫:脳腫瘍でもめまいは起こる。
・良性発作性頭位めまい症:内耳のかけらが半規管に入る
・メニエール病:内リンパ液の過剰(明確には原因不明)
・前庭神経炎:前庭神経の炎症


良性発作性頭位めまい
耳石器の障害(耳石が変なところにある)により起こる。頭を動かした際に生じる。耳鳴り、難聴は生じない※2

メニエール病
原因は諸説あり明確ではないが、内リンパ水腫(リンパ液の流れが悪く内圧があがっている状態)がみられる。その他血流障害、ストレスなども原因と考えられている。耳鳴り、難聴も見られることがある※2

良性~、メニエール病、前庭神経炎は末梢性のめまい。
めまいの原因は様々であり、その原因によっても治療法が異なる。

脳血管障害や脳腫などの中枢性めまいが疑われるような場合は、緊急を要する。
緊急性の高いめまいを鑑別することが重要。



めまいの治療

原因により治療法は様々であるので、一概には言えない。

メニエール病に対しては内リンパ水腫の改善、血流改善作用のある薬剤を投与することになる。(ただし、原因は明確にわかっていない)

または前庭神経からの異常な伝達自体を阻害したり、前庭神経修復作用のある薬剤も使用される。



それでは4剤について比較していきます。

基本情報

今回とりあげている4剤はどれもメニエール病(内耳障害)に対する薬剤。

メリスロン
適応:メニエール病、メニエール症候群、めまい症

セファドール
適応:内耳障害に基づくめまい

トリノシン
適応:メニエール病、内耳障害に基づくめまい

イソソルビド内用液
適応:メニエール病


各薬剤の作用

作用別に分けると以下の通り。

血液循環改善:メリスロン(末梢)、トリノシン(末梢、脳)、セファドール(脳)
内リンパ圧低下:メリスロン、イソソルビド
神経遮断作用:セファドール

その他神経修復にはメコバラミン、自律神経調整には抗不安薬が用いられる。

メリスロン(ベタヒスチン)※3

毛細血管前括約筋弛緩作用による内耳血管系の血流増加→H1作用

内耳毛細血管の透過性を調整による内リンパ水腫を除去。

内頸動脈の血流量を増加し、脳循環をも改善。

弱いH3作用もあり、前庭神経核の左右差を減少させ、前庭代償を促進する作用もあるといわれている。※10




セファドール(ジフェニドール)※4

血管攣縮を緩解により血流を増加させ、左右の血流(脳内)のアンバランスを是正。
→左右前庭系の興奮性の不均衡に由来するめまいを改善

前庭系の異常なインパルスを前庭神経核および視床下部のレベルで遮断。

嘔吐中枢抑制による制吐作用もあるといわれている。※10



トリノシン(アデノシン三リン酸)

ATP製剤であり、各組織の血流循環を改善する。

イソソルビド製剤

浸透圧を利用して組織中の水分量減らす。
→内リンパ圧降下作用が観測されている。※5


作用機序的には上記のような微妙な違い。
メリスロン、メリスロン+セファドール、メリスロン+トリノシンなど様々な併用がみられる。

原因がわかっていないので、作用機序なんてどうでもいいのかもしれませんね。(内リンパ水種が関与しているであろうから上記のような作用機序なんでしょうが)

では、有効性についてみてみます。


各薬剤の有効性

メリスロン(ベタヒスチン)

・4つのメタ解析が存在するようで、それらの結果ではベタヒスチンは若干の症状改善作用はあるかもしれないが、エビデンスレベルは低い重大な副作用はほぼみられない、とまとめられている。※6

・メニエール病、回転性めまい患者を対象にした12の二重盲ランダム化比較試験(対プラセボ)についてのメタ解析では、12つの試験のうち4つはで統計的に有意にベタヒスチン群で改善がみられており、オッズ比は2.58(1.67-3.99)。※7
ただし、エンドポイントは患者の意見。(客観的指標がないのでしょうがない?)


セファドール

・総症例657例について実施された一般臨床試験で、本剤は内耳障害にもとづくめまいに対して有用性が認められている。 また、二重盲検比較試験においても、めまいに対する本剤の有用性が認められている。 ※4

詳細は記載なし


トリノシン

かなり古い報告だが、メニエール病に対してトリノシン300㎎/dayはベタヒスチン36㎎/dayより効果がみられたとの報告がある。※8
ただし、この結論は主治医によりされているよう。


イソソルビド内用液

メニエール病に対する利尿剤についてのメタ解析によると、19試験(4つのRCT,2つの症例対象研究、12の後ろ向きコホート、1つの症例報告)のうちイソソルビドについては6件。
全試験のうち42.1%でヒアリングによる症状改善がみられ、79%でめまいの改善、52.6%は副作用なし。
エビデンスレベルは低いが、効果はあるかもしれないと結論づけられている。※9


Full Textは有料だったのイソソルビドはどの程度なのか見れていませんが、ある程度は改善がみられそう。


どれもエビデンスとしては低いが、重大な副作用もなく、改善がみられる場合もあるので、とりあえず使ってみるといった感じでしょうか。


まとめ

4剤それぞれについて有効性を比較している試験はなさそう。

エビデンスレベルは低いが、各薬剤ある程度の改善はみられており、副作用はほぼ問題ないならない。



※1 エーザイHP 埼玉医科大学神経耳科 1998.4.1~2008.3.31
※2 日本神経治療学会 標準的神経治療:めまい
※3 ベタヒスチンインタビューフォーム
※4 セファドールインタビューフォーム
※5 イソソルビド内用液70%「CEO」
※6 Medwave. 2017 Oct 31;17(8):e7068. 
※7 Eur Arch Otorhinolaryngol. 2014 May;271(5):887-97. 
※8 Am J Otol. 1988 Sep;9(5):418-22. 
※9 Otolaryngol Head Neck Surg. 2016 May;154(5):824-34.  
※10 耳鼻 59:115-121 2013

 2017/11/05

関連記事