ビスホスホネート製剤の鎮痛作用

ビスホスホネート製剤の骨粗鬆症の疼痛抑制の強さは? 薬剤間の違いは?


骨粗鬆症の際に生じる痛みには以下の2種類がある。

・骨折に由来する疼痛
・脊柱変形によル疼痛

骨折に由来する疼痛はさらに骨折による急性疼痛、治癒が長引き痛みが続く慢性疼痛に分けられる。

カルシトニン製剤はメタアナリシスで急性疼痛に効果がある※1とされている(慢性疼痛にはエビデンス不十分)が、ビスホスホネート製剤はどうなのでしょうか。

※1 Osteoporos Int. 2005 Oct;16(10):1281-90. Epub 2004 Dec 22.



ビスホスホネート製剤の疼痛抑制作用

ガイドラインを見ると、ビスホスホネート製剤による疼痛抑制作用はありとされている。

フォサマック(アレンドロン)
フォサマックはエルカトニンより除痛効果が優れていたとの報告がある。※2
除痛効果はどちらの製剤にも見られたが、6か月間の期間中常にフォサマックが優れていた。


リクラスト(ゾレドロン)
ゾレドロン(年1回製剤)はプラセボと比較し、腰痛を感じた日数、腰痛により安静にしていなければならない日が優位に減少した。※3


アクトネル(リセドロン)
リセドロンはフォルテオ(テリパラチド)との比較ではどちらも除痛効果がみられ、両群に差はなかった※4



ビスホスホネート製剤はどれも疼痛抑制があり、その作用はカルシトニン製剤以上との報告もあるようです。
(慢性、急性の区別はなし) 

PTH製剤のテリパラチドはメタナナリシスで急性・慢性どちらに対しても有効とされている。

ビスホスホネート間の疼痛抑制作用比較

アクトネルVSボンビバ
リセドロンとミノドロンの比較では、最終的な疼痛抑制作用は同等であったが、ミノドロンのほうが早期に抑制作用がみられた。※5

リクラストVSフォサマック
ゾレドロンとアレンドロの比較では、骨折の既往歴がある群ではドレゾロンが優勢、既往歴のない患者においては差がなかった。※6



ガイドラインでは、すべての製剤間での差を決めるのに十分なエビデンスは未だないと記載されている。

まとめ

多くのビスホスホネート製剤はランダム比較試験で疼痛抑制作用が認められており、その強さはカルシトニン製剤以上との報告もあり。

どのビスホスホネート製剤が良いかはデータ不十分。

カルシトニンはメタナナリシスで疼痛抑制作用が認められている部分ではビスホスホネートよりエビデンスレベルが高い。


 2017年11月9日

関連記事