循環器疾患(狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈)に対する薬物療法(降圧薬、抗血小板薬、抗凝固薬など)のエビデンスまとめ
主にガイドラインやその他臨床試験の結果まとめ。随時更新
毎回ガイドラインから探してくるのが大変なので・・・
薬効分類 | アウトカム | CQ | A | 概要 | 試験デザイン | 文献 |
---|---|---|---|---|---|---|
ACE/ARB | 血管浮腫 | ACEとARBの血管浮腫発生率の比較 |
ARBはACEの1/2 プラセボと差なし |
対象:ACEI/ARB/直接レニン阻害剤を8州以上投与されている患者 7件の試験での直接比較では、ACE阻害薬による血管浮腫のリスクはARBよりも2.2倍(95%CI 1.5〜3.3)。心不全患者で高い。 果汁発生率はARBとプラセボで有意差なし |
メタアナリシス(RCT) | Am J Cardiol. 2012 Aug 1;110(3):383-91. doi: 10.1016/j.amjcard.2012.03.034. Epub 2012 Apr 20. |
ACE/ARB | 心不全 | 心不全にACE,ARBはプラセボより有効か、併用は有効か | 入院、死亡の改善なし |
対象:心不全LVEF≦40%の患者17,900名(平均2.2年) ACE,ARBはプラセボと比較して死亡率、入院率を改善しない。ARBはACEより副作用による中止が少ない。ACEとARBの併用は副作用による中止が増加し、死亡、入院は減らない |
メタアナリシス(RCT) | CochraneDatabaseSystRev. 2012Apr18;(4):CD003040.doi\:10.1002/14651858.CD003040.pub2. |
ACE/ARB Ca拮抗薬 |
浮腫(末梢) | Ca拮抗薬の浮腫をARB/ACEで軽減 | 併用群が38%浮腫減少 |
対象:Ca単剤又はACE/ARB併用患者17206名 平均9.2週間投与 減少効果はACE>ARBのようだが、直接比較ではない |
メタアナリシス(’RCT) | Am J Med. 2011 Feb;124(2):128-35. doi: 10.1016/j.amjmed.2010.08.007. |
ARB Ca拮抗薬 |
脳卒中 | 脳卒中既往高血圧患者において,降圧レベルが同様であればAII受容体拮抗薬eprosartanの脳心血管合併症および死亡抑制効果はCa拮抗薬nitrendipineどちらが有効か | ARB群で全死亡+全脳心血管は優位に低下 |
対象:1405例 高血圧 過去24か月に脳血管イベント発症例 除外:内頸動脈閉塞あるいは>70%の狭窄;顕性心不全(NYHAIII~IV度);脳血管イベント発症時に>85歳;不整脈治療のための抗凝固薬投与例;不安定狭心症など 降圧は同程度。3か月後に<140/90mmHgを達成した例はeprosartan群75.5%,nitrendipine群77.7%。 主要評価項目(全死亡+全脳心血管):eprortan群206例(13.3/100名/年),nitrendipine群255例(16.7例/100人/年) p=0.014 心血管イベントは178例でeprosartan群77例,nitrendipine群101例(IDR 0.75,p=0.06)。脳血管イベントは236例で102例 vs 134例(IDR 0.75,p=0.03)。 有害イベントは両群間に差なし |
RTC(非盲検) MOSES試験 |
高血圧ガイドライン |
Ca拮抗薬 | 心筋梗塞 | 冠攣縮の関与が明らかでない心筋梗塞例にCa拮抗薬は有効か | 不明 | Ca拮抗薬においては,ニフェジピンを中心とした短時間作用型のジヒドロピリジン(DHP)系Ca拮抗薬が,急激な血圧低下と反射性頻脈を起こし,心筋梗塞のリスクを増大し予後を悪化させると報告され(SPRINT 2[4]),大論争となり,その後,急性期・慢性期共にCa拮抗薬の有用性に関しては否定的な報告が多数であり,スパズムの関与が明らかでない場合は,短時間作用型のDHP系Ca拮抗薬は使用すべきでないと結論できる。しかし,長時間作用型DHP系Ca拮抗薬および心拍数低下型Ca拮抗薬に関しては,相反する報告(INSIGHT[5], PREVENT[6], INTERCEPT[7])がなされており,有用性・予後改善効果においていまだ結論が出ていない。 | 循環器トライアルデータベース | 循環器トライアルデータベース |
Ca拮抗薬 | 浮腫(末梢) | Ca拮抗薬による末梢浮腫のリスク | Ca群10.7%vsプラセボ群3.2% |
対象:Ca拮抗薬4週間以上投与患者 Ca群10.7%vsプラセボ群3.2% 6ヶ月以上継続で徐々に出やすくなる 中止はCa群2.1%vsプラセボ0.5% DHPは12.3%vs非DHP3.1% |
メタアナリシス(RCT) | J Hypertens. 2011 Jul;29(7):1270-80. doi: 10.1097/HJH.0b013e3283472643. |
DOAC | 心房細動 | 重度腎機能障害患者にDOACはワーファリンより有効、安全に使用できるか | DOACは出血リスクが少なく、有効性も勝る |
対象:21733名 CHA2DS2-VASc スコア≥2 ワルファリンと比較して、DOACは、死亡リスク低下 …eGFR>60でHR:0.76 95%CI 0.70-0.84、eGFR> 30~60でHR 0.74 95%CI 0.68-0.81、eGFR≤30or透析でHR 0.76 95%CI 0.63-0.92 出血もDOACグループで少なく、eGFR> 60HR 0.93 95%CI 0.82~1.04、 eGFR> 30〜60でHR 0.83 95%CI 0.74から0.94、eGFR≤30の患者または透析でHR 0.69 95%CI 0.50〜0.93 |
後ろ向き | Am J Cardiol. 2019 Nov 1. pii: S0002-9149(19)31191-9. doi: 10.1016/j.amjcard.2019.10.033. [Epub ahead of print] |
DOAC | 心房細動(非弁膜症性) | 重度腎機能障害患者にDOACは安全に使用できるか |
ステージ3,4,5で有効性に差はなし 出血は4,5でやや増えたが有意差なし |
対象:ステージ3~5のCKD 心房細動 152名(平均CCr38.8ml/min) 主要評価項目:脳卒中、塞栓症、大出血 |
後ろ向き | Am J Cardiol. 2019 Nov 1. pii: S0002-9149(19)31191-9. doi: 10.1016/j.amjcard.2019.10.033. [Epub ahead of print] |
DOAC | 心房細動(非弁膜症性) | 重度腎機能障害患者にDOACはワーファリンより有効、安全に使用できるか |
脳卒中、死亡、心筋梗塞は有意差なし 大出血はDOACで少ない(有意差あり) |
対象:ワーファリン1008名、DOAC552名(アピキサバン302、ダビガトラン80、リバーロキサバン170) 除外:弁膜症性心房細動、透析患者、エドキサバン服用患者(少数であったため) eGFRはCKD-EPI方程式を使用して計算、SCrデータがないため比較可能データベースを作成し、推測。 eGFR<59 1.2m2="" br="" min="" ml=""> eGFR<29 mL / min / 1.73m2が52.3%と集計された 追跡期間:死亡or薬剤変更/中止orNOAC1年投与 主要評価項目:大出血、脳卒中、塞栓症、心筋梗塞、死亡 59> |
後ろ向きコホート | Thromb J. 2019 Nov 12;17:21. doi: 10.1186/s12959-019-0211-y. eCollection 2019. |
DOAC ワーファリン |
脳梗塞(心原性) 心房細動 |
心房細動患者の脳梗塞リスクは? | CHADs2スコアにて |
非弁膜症性心房細動患者における年間脳梗塞発症率 通常2点以上で抗凝固 0点:1.9% 1点:2.8% 2点:4.0 3点:5.9% 4点:8.5% 5点:12.5% 6点:18.2% |
CHADSsスコア | JAMA. 2001 Jun 13;285(22):2864-70. |
DOAC ワーファリン |
脳卒中 | DOACはワーファリンより有効、安全か | DOACで脳卒中、全身血栓、出血リスク有意に減少 |
ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバンに関する 3 試 験(RE-LY、ROCKET AF、ARISTOTLE) 14,527症例を対象とし、脳卒中やTIAの既往を有する症例をメタアナリシスした結果、ワルファリンと比較して非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(Non-vitamin K antagonist oral anticoagulant:NOAC)は脳卒中と全身塞栓症、大出血、出血性脳卒中、および頭蓋内出血を有意に減少させた |
メタ解析 ガイドライン |
Stroke. 2012 Dec;43(12):3298-304. |
DOAC(リバーロキサバン)+アスピリン | 心房細動+安定狭心症 | 心房細動合併の安定狭心症患者にバイアスピリンにリバーロキサバンを併用すべきか |
併用にて出血リスク増加 主要評価項目は非劣勢 総死亡は併用で増加、途中で試験中止 |
AFIRE研究では最終的に2,215例(1,107例単独療法vs. 1,108例併用療法; アスピリン併用70.2%)が研究解析対象となり、平均年齢74歳、男性79%、PCI施行70.6%、CABG施行11.4%でした。約2年間の観察期間において、有効性主要評価(脳卒中、全身性塞栓症、心筋梗塞、血行再建術を必要とする不安定狭心症、総死亡の複合エンドポイント)では、リバーロキサバン単剤療法群の併用療法群に対する非劣性が証明されるとともに、事後解析にてリバーロキサバン単剤療法群の優越性も示されました。さらに安全性主要評価(ISTH*基準による重大な出血性合併症)においても、リバーロキサバン単剤療法群の併用療法群に対する優越性が証明 併用療法群の死亡率が上昇したため、試験は早期に中止されました。リバロキサバン単剤療法は、主要有効性エンドポイントの併用療法に劣らず、イベント率は患者ごとにそれぞれ4.14%および5.75%(ハザード比、0.72; 95%信頼区間[CI]、0.55〜0.95、P <0 .001="" 0.01="" 95="" td=""> 0> |
メタアナリシス (RCT 4試験) |
N Engl J Med. 2019 Sep 19;381(12):1103-1113. doi: 10. |
DOAC,ワーファリン+抗血小板薬 | 心房細動+PCI | AF患者のPCI後に抗凝固薬+抗血小板薬2剤併用すべきか | 3剤で出血リスク増加 有効性は2剤と差なし |
5,317例(2剤併用=DAT群3,039例,3剤併用=TAT群2,278例)。 患者背景:平均年齢はDAT群70.9歳,TAT群71.1歳。それぞれの女性25%,23%。当該イベント:急性冠症候群(ACS)47%,45%,非ACS 53%,55%。ステントの種類:薬剤溶出性ステント79%,79%,ベアメタルステント19%,19%。OACの適応病態:心房細動96%,95%,機械弁1%,2%,その他3%,3%。CHA2DS2-VAScスコア2点超75%,82%。HAS-BLED出血リスクスコア3点超66%,71%。平均追跡期間は9~14ヵ月であった。いずれの試験も出版バイアスは低値であった。 ・TIMI大/小出血(TIMI:出血基準) TIMI大/小出血はDAT群4.3%で,TAT群9.0%より少なかった(HR 0.53,95%CI 0.36-0.85)。研究間に中等度の不均一性がみられた(I2=42.9%)。 ・MACE(心血管イベント) MACEはDAT群10.4%で,TAT群10.0%と同程度であった(HR 0.85,0.48-1.29)。研究間に高い不均一性がみられた(I2=58.4%)。 |
メタアナリシス (RCT 4試験) |
Eur Heart J. 2018 May 14;39(19):1726-1735a. doi: 10.1093/eurheartj/ehy162. |
β遮断 | 心房細動(レートコントロール) | 心房細動のレートコントロール時の脈拍数は? |
80と110で予後差はなし ※自覚症状、心疾患合併なし 130以上は心不全リスク |
RACE-Ⅱ試験にて安静時心拍数毎分80回未満の厳格なコントロール群と毎分110回未満の緩やかなコントロール群の2群において、総死亡、心不全入院、脳卒中の発症において両群で有意差はなく、緩やかなコントロール群の方がイベントの発症が低い傾向。 ただし、RACE-Ⅱ試験では心機能低下例の割合は15%程度。心不全患者は要注意。 心房細動薬物治療ガイドライン:レートコントロールの目標心拍数は毎分110回未満で開始し、自覚症状や心機能の改善が認められない場合は毎分80回未満へより厳格なコントロールへ。心房細動中に 130 拍 /min 以上の心拍数が持続すると,左室拡張不全が生じうっ血性心不全を惹起する.器質的心疾患がなくても,高頻度の心拍数の心房細動が持続すると心不全となる.これを予防するために心房細動中の心拍数を 130 拍 /min 以 上 に し な い こ と が 重 要 で あ る |
RACEⅡ試験 ガイドライン |
心房細動診療ガイドライン2013 |
β遮断薬 | 肥大型心筋症 | 肥大型心筋症にβ遮断薬は予後改善効果があるか |
エビデンスなし ただし、過収縮が左室内圧較差の増加に関連しているHOCM患者への β遮断薬の使用は非常に有効であり今日でも第一選択薬として問題はない |
β遮断薬はHCMの自覚症状を改善する対症療法と考えられるが確立したエビデンスは多くない321).少なくともβ遮断薬の使用によりHCM患者の左室心筋障害を抑制(拡張相肥大型心筋症への移行)することはできず,生命予後の延長に結びつくエビデンスはない 過収縮気味で頻拍気味の患者に対する効果が著しい.頻拍を呈するHCM患者では心筋虚血の改善にもつながる. β遮断薬が失神やめまいなどの症状を改善するとの報告はあるが,突然死を減少させるとのエビデンスはない.また,不整脈に対して有効であったとする報告,無効であったとする報告があり一定ではない |
ガイドライン | 肥大型心筋症の診断に関するガイドライン |
β遮断薬(カルベジロール) | 心不全 | 末期心不全患者(EF<25 td=""> 25> | 死亡率、入院、悪化減少 |
2289例。安静時あるいは軽度の労作時に症状を有するもの,EF<25%。 除外基準:集中治療室の患者,有意な体液貯留,血管拡張薬あるいは陽性変力作用薬静注例。 arvedilolの生存率に対する有意な有効性により,データ安全監視委員会の勧告を受け試験は予定より早く終了した。 死亡数はcarvedilol群130例,プラセボ群190例で,carvedilol群で死亡リスクが35%有意に低下した(95%信頼区間 19-48%,p=0.0014)。 死亡+入院はcarvedilol群で425例,プラセボ群で507例とcarvedilol群でリスクが24%低下した。このcarvedilolの有効性は検討した全サブグループで同様に認められた。 有害事象あるいはその他の理由による脱落率はcarvedilol群の方が低かった。 |
COPERNICUS試験 | |
β遮断薬(カルベジロール、ビソプロロール) | 徐脈 | 心不全に対して使用する際、カルベジロールとビソプロロールどちらで徐脈が起こりやすいか | ビソプロロールで起こりやすい |
対象:65歳以上の心不全患者(NYHA≧Ⅱ,LVEF≦45%) カルベジロールorビソプロロール 評価項目:12週間投与後のガイドライン推奨量までの達成を忍容性として評価(2週間ごとに倍量に増量、2回以上増量失敗又は維持量からの減量は脱落とする) 全体的な忍容性は同等だが、徐脈はビソプロロールで起こりやすく、努力肺活量の低下がカルベジロールで起こりやすかった。 |
RCT (CIBIS-ELD試験) |
Eur J Heart Fail. 2011 Jun;13(6):670-80. doi: 10.1093/eurjhf/hfr020. Epub 2011 Mar 23. |
β遮断薬(カルベジロール、ビソプロロール) | 慢性心不全 | 慢性心不全に対してβ遮断薬は有効か | 各種試験で有効性あり |
CIBISII:ビソプロロール 心不全患者の死亡リスク低下 MERIT-HF:メトプロロール 心不全患者の死亡リスク低下 CAPRICORN:カルベジロール 全死亡+心血管疾患による入院に 明確な差はないが、死亡単独では有意に減少 COPERNICUS カルベジロール 心不全患者の死亡リスクを低下 COMET カルベジロールvsメトプロロール 全死亡はメトプロロール群に比較して、カルベジロール群で有意に低下 MUCHA カルベジロール 慢性心不全の全般的改善率上昇 ※記載がないものはプラセボ比較 |
各種試験 | 慢性心不全ガイドライン |
アスピリン | 狭心症(安定労作) | 安定労作狭心症に対してアスピリンは有効か | 心筋梗塞及び突然死の複合アウトカム改善 |
クラスⅠ 1.アスピリン81~162mg/日の投与. 2.発作性および慢性心房細動,肺動脈血栓塞栓症を合併する症例,人工弁の症例に対するワルファリンの併用 2002年の報告においてSwedish Angina Pectoris Aspirin Trial で得られた2,035症例の安定狭心症患者に対するアスピリン75mg/日の効果の結果が追加されたことにより「抗血小板療法は心筋梗塞または脳卒中の既往にかかわらず安定狭心症の血管イベントを有意に抑制する」という結論が初めて明らかになった. |
ガイドライン | 循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン |
アスピリン | 狭心症(冠攣縮) | 冠攣縮性狭心症に対してアスピリンは有効か | 不明 |
冠攣縮性狭心症における抗血小板療法は,冠攣縮発作 後の血小板活性化や,凝固能亢進に起因する冠動脈内血栓に対して予防効果が期待できる可能性はあるが,現時点でその有効性は確立されていない.2008年に発刊された「冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン」においても治療薬としての抗血小板剤の記載はないが,有意な器質的狭窄を合併した冠攣縮性狭心症においては,安定労作狭心症における抗血小板療法に準じて治療がなされるべきである. |
ガイドライン | 循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン |
アスピリン | 虚血性心疾患 | アスピリンは虚血性心疾患一次予防に有効か |
ハイリスク群では有効 通常予防効果<副作用 |
2年以上の治療を行った6つの大規模臨床試験が解析された. アスピリン投与により動脈硬化性疾患の発症が12%抑制されたが,年間の非致死性心筋梗塞の発症率低下は0.23%から0.18%と軽度の抑制効果.これに対し上部消化管出血および頭蓋外出血は0.07%から0.10%へ有意に増加し,アスピリンの一次予防効果は限局的 糖尿病患者でリスク因子がある場合は投与有効(ただしJPAD研究およびPOPADAD研究により,アスピリン投与による一次予防効果が認められないことが報告) |
ガイドライン |
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2012_shimamoto_h.pdf 虚血性心疾患の一次予防ガイドライン |
アスピリン | 虚血性心疾患 | アスピリンは虚血性心疾患の一次予防に有効か |
ハイリスク群では有効 通常予防効果<副作用 |
2009年にAntithrombotic Trialists’(ATT)Collaborationからアスピリンの動脈硬化疾患に対する一次予防および 二次予防に関するメタ解析が発表された一次予防に関しては少なくとも1,000名以上の非糖尿病患者をエ ントリーしており,2年以上の治療を行った6つの大規模臨床試験が解析された、アスピリン投与により動脈硬化性疾患の発症が12%抑制されたが,年間の非致死性心筋梗塞の発症率低下は0.23%から0.18%と軽度の抑制効果であった.これに対し上部消化管出血および頭蓋外出血は0.07%から0.10%へ有意に増加し,アスピリンの一次予防効果は限局的とされた.これを受け2009年のUSPSTFのアスピリン使用に関する勧告では45~79歳の男性および55~79歳の女性に対し,心筋梗塞の抑制効果が上部消化管出血のリスクを上回るときに,アスピリン投与が推奨されると改定された.我が国のガイドラインでは,複数の冠危険因子を持つ高齢者に対するアスピリン投与はクラスIIの推奨とされた |
ガイドライン | 循環器病の診断と治療に関するガイドライン |
アスピリン | 頸動脈狭窄症(無症候性) | 無症候性頸動脈狭窄患者の脳梗塞一次予防として抗血小板薬は有効か | 中等度(50%)以上の狭窄の場合、合併症などを総合的に評価し、必要があれば抗血小板を考慮(グレードC1) |
無症候性頸部血管狭窄の症例の脳梗塞一次予防に対し、抗血小板薬が有効とするエビデンスは示されていない1)。無症候性頸部血管閉塞ならびに脳内血管の狭窄・閉塞症例に対する脳梗塞一次予防には抗血栓療法の効果について検討されていない。無症候性頸動脈狭窄例を対象とした観察研究では、抗血小板薬の服用は多変量解析で虚血性脳血管障害や心血管死などの発症率低下に関連していた2)。Intima-media thickness(IMT)についてのメタアナリシスおよび報告によると、降圧薬3)やスタチン4)(Ⅰa)、および経口血糖降下薬のピオグリタゾン5)(Ⅰb)はその後のIMT肥厚の進行を遅らせる効果があるといわれており、頸部・脳内血管病変の進行やそれに伴う脳梗塞予防に有効であるかもしれないが、それを示すエビデンスがない。 動脈硬化のリスクファクター(脂質異常、糖尿病)の管理を行う グレードB |
ガイドライン | 脳卒中治療ガイドライン2015 追補2019 |
アスピリン | 歯科治療時 | アスピリンは歯科治療時中止すべきか | 中止しないことを推奨 |
アスピリン服用患者では,アスピリンを継続して抜歯を行っても,重篤な出血性合併症を発症する危険性は少ない(エビデンスレベルⅡ).また,十分に局所止血処置を行うことが推奨される(エビデンスレベルⅥ). アスピリン 100mg/日服用患者 39 名の抜歯に際し,無作為に 19 名の継続群と 20 名の中断群に割り付けて比較すると,継続群では出血時間は正常範囲内で延長するものの,両群ともに術後出血は発生しなかった アスピリンの投与を中断すると,脳梗塞の発症リスクが 3.4 倍高くなる 70)[Ⅳ b]ことから,アスピリン継続下の抜歯が推奨される→観察研究 |
ガイドライン |
科学的根拠に基づく抗血栓療法患者の抜歯に関する ガイドライン 2015年改訂版 |
アスピリン | 心筋梗塞後 | アスピリン81㎎隔日投与でも有効か | 162㎎連日と同等 | 急性心筋梗塞発症後にアスピリン1日162mgと81mg隔日投与で心事故発生率には差がないことが示されており,出血性リスクの高い症例では81mg隔日投与も考慮可能である | ガイドライン | 循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン |
アスピリン | 心血管イベント | アスピリンは糖尿病患者の動脈硬化疾患の一次予防に有効か | アスピリンで20%低いが有意差なし |
対象:2,539例。30~85歳の2型糖尿病。 除外基準:心電図上のST低下,ST上昇,Q波;血管造影で確認された冠動脈疾患の既往;脳梗塞,脳出血,くも膜下出血,TIAの既往;治療が必要な動脈硬化性疾患の既往など。 主要エンドポイント:致命的または非致命的な虚血性心疾患、致命的または非致命的な脳卒中、および末梢動脈疾患を含むアテローム性動脈硬化イベント アスピリン群68(1000人年あたり13.6)および非アスピリン群86(1000人年あたり17.0)(ハザード比[HR]、0.80; 95%CI、0.58-1.10 副作用:出血も有意差はなし ※65歳以上の高齢者のサブ解析では32%のリスク低下で有意差あり |
RCT(非盲検) JPAD試験 |
JAMA. 2008 Nov 12;300(18):2134-41. doi: 10.1001/jama.2008.623. Epub 2008 Nov 9. |
アスピリン | 心血管イベント | アスピリンは虚血性心疾患一次予防に有効か |
有意差なし(追跡5年) 非致死的MIは減少 |
対象:60歳から85歳の14,464名、高血圧、脂質異常症、糖尿病患者 5年間の累積プライマリアウトカムイベント率は、グループ間で有意差はありませんでした(アスピリンでは2.77%[95%CI、2.40%-3.20%]、アスピリンなしでは2.96%[95%CI、2.58%-3.40%] |
RCT(非盲検) JPPP試験 |
JAMA. 2014 Dec 17;312(23):2510-20. doi: 10.1001/jama.2014.15690. |
アスピリン | 心血管イベント | アスピリンは心血管イベント又は非血管イベントの一次予防に有効か | CVD10%減少(主にMI) 死亡は有意差なし |
対象:10万人以上 心血管疾患(CVD)、非血管アウトカム、または死亡を報告する、それぞれ少なくとも1000人の参加者による9つのランダム化プラセボ対照試験を解析 CVD10%減少(OR、0.90; 95%CI0.85-0.96;NNT120 ) 非致命的MI減少(OR、0.80; 95%CI、0.67-0.96;NNT162) CVD死亡(OR、0.99; 95%CI、0.85-1.15)癌死亡率(OR、0.93; 95%CI、0.84-1.03) 出血は増加OR1.31 |
メタ解析 | Arch Intern Med. 2012 Feb 13;172(3):209-16. doi: 10.1001/archinternmed.2011.628. Epub 2012 Jan 9. |
アスピリン | 脳梗塞(非心原性) | アスピリン服用による脳梗塞再発予防の効果はどの程度か | 慢性期においてアスピリンは再発を優位に抑制 |
アスピリン3年間のNNTは26~28→降圧薬とほぼ同等の値でそこまで優れている値ではない ATTではアスピリンの心血管イベント抑制効果は22% ATT試験の結果 43,000人・年の追跡で重篤な血管イベント3306例発症。(対象は対象患者:1000例以上の非糖尿病患者で,治療予定期間が>2年の試験。 除外患者:動脈硬化,血栓性疾患の既往。二次予防16試験(心筋梗塞[MI]既往例が対象のもの6試験,脳卒中あるいは一過性脳虚血発作[TIA]10試験)) aspirin群6.69%/年 vs 対照群8.19%/年とaspirin群で抑制された:0.81(0.75-0.87,P<0.0001)。脳出血の有意な増加は認められず,全脳卒中および冠イベントの抑制が認められた。 |
ガイドライン | 脳卒中治療ガイドライン2015 |
アスピリン | 不安定狭心症 | 不安定狭心症に対してアスピリンは有効か | 予後改善 |
クラスⅠ 1.可及的速やかなアスピリン162~330mg/日の投与,およびその後の81~162mg/日の長期継続投与. 2.アスピリンの使用が困難な場合のチクロピジンあるいはクロピドグレルの投与. 3.ステント治療時のアスピリンとクロピドグレル(あるいはチクロピジン)の併用. 4.中等度以上のリスクを有する症例における抗血小板薬に加えたヘパリン静脈内投与 ATT(Antithrombotic Trialists’ Collaboration)のメタ解析データによれば,不安定狭心症12試験が検討され,抗血小板薬による予後の改善が示されている |
ガイドライン VA Cooperative Study RISC試験 |
循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン |
アスピリン | 不安定狭心症 | 不安定狭心症にアスピリンを投与 | クラスⅠ |
VA Cooperative Studyでは1,266例の不安定狭心症を対象としてアスピリン324mgを使用し,対照群に比べ1年後の死亡率,梗塞発症ともに51%の減少が報告された.不安定狭心症や非Q波梗塞例を対象としたRISC試験では,アスピリン75mgを使用し、対象群に比し3か月後の心筋梗塞再発と死亡率が半減し,日間のヘパリン静注を併用することで入院初期の心事故が抑制された ※冠攣縮性狭心症に対してはアスピリンの有効性不明と思われる。 |
ガイドライン | 循環器病の診断と治療に関するガイドライン |
アスピリン シロスタゾール |
末梢動脈疾患(PAD) | 末梢動脈疾患にアスピリン又はシロスタゾールは有効か | 有効 |
クラスⅠ 1 慢性末梢動脈疾患に対するアスピリン 75~150 mgの投与. 2 間欠性跛行などの虚血症状のある症例に対するシロスタゾールの投与 |
ガイドライン | 循環器病の診断と治療に関するガイドライン |
アスピリン+クロピドグレル | 脳卒中 | 長期管理において、アスピリンとクロピドグレルの併用はクロピドグレル単剤より有効か | 有意差なし 併用で出血リスク増加 |
対象:7599例。40歳以上。3か月以内に脳梗塞あるいはTIA発症歴があり,3年以内に次のリスク因子を1つ以上有する例:脳梗塞,MI,狭心症,糖尿病,症候性の末梢血管疾患 追跡は18か月 結果:一次エンドポイントはaspirin+clopidogrel群596例(15.7%)vs clopidogrel単独群636例(16.7%)で両群間に有意差はなし |
ガイドライン RTC (MATCH試験) |
脳卒中治療ガイドライン2015 |
アスピリン+クロピドグレル | 脳卒中 | 発症後3カ月以内においてアスピリンとクロピドグレルの併用はクロピドグレル単剤より有効か |
脳卒中再発は有意に低下 出血リスクは増加しなかった |
発症 3 か月以内のアスピリンとクロピドグレルの 2 剤併用療法と単剤療法(アスピリンまたはクロピドグレル)を比較したMATCHとCHARISMAを含む 8 つのランダム化比較試験(20,728例)のサブ解析の結果、単剤に比較して併用療 法では、脳卒中再発率は有意に減少したが(相対リスク0.69、95%信頼区間0.59~0.81)、出血性脳卒中(相対リスク 1.23、95%信頼区間0.50~3.04)や重篤な出血性合併症(相対リスク2.17、95%信頼区間0.18~25.71)は増加しなかった |
メタ解析 ガイドライン |
Cerebrovasc Dis. 2015;39(1):13-22. |
アスピリン+クロピドグレル | 脳卒中(急性期) | 軽度脳梗塞orTIA急性期~亜急性期に対してアスピリンとクロピドグレルの併用は単剤より有効か | 3カ月後の脳卒中再発リスクを優位に低下 | 発症24時間以内の2剤併用(継続は21日でやられているものが多い)は3カ月後の脳卒中再発リスク低下がメタ解析にて報告されている。出血リスク増加は見られなかった。 |
ガイドライン (CHANCE試験) |
脳卒中治療ガイドライン2015 |
アスピリン+ヘパリン | 不安定狭心症 | 不安定狭心症に対してアスピリンにヘパリン併用はアスピリン単独と比べて有効か | 有効 注射しかないので現実的には困難 | 不安定狭心症患者に対して両者の併用とアスピリン単独の効果を比較検討した6 報告のメタ解析では,両者を併用した場合に心筋梗塞や死亡発生率が単独群に比べ33%低率であった | ガイドライン | 循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン |
アスピリンVSエフィエント | 狭心症(DAPT例) | DAPT後のアスピリン単剤とエフィエント単剤の有効性比較 | 有意差なし(ただしエフィエントはDAPT後1カ月、クロピトグレルは12か月投与されている。 | ticagrelor+aspirinを1ヵ月併用後のticagrelor 23ヵ月単独投与は,標準的抗血小板療法(抗血小板薬2剤併用療法[DAPT]12ヵ月後aspirin 12ヵ月単独投与)にくらべ,冠インターベンション(PCI)施行後2年間の全死亡またはQ波心筋梗塞(MI)予防の優越性を示さなかった。 | ||
アスピリンVSクロピトグレル | 狭心症(安定労作) |
クラスⅡa 1.アスピリン禁忌例でのクロピドグレルの投与. |
ガイドライン | 循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン | ||
インダパミド(+ペリンドプリル) | 脳卒中 | 収縮期血圧160以上の高齢者(80歳以上)に対する降圧薬(インダパミド1.5㎎or+ペリンドプリル2-4㎎)は脳卒中、死亡を減らすか | 脳卒中及び全死亡を優位に減少 |
対象;80歳以上 収縮期血圧160以上 3845名 除外:SCr>1.7、6ヶ月以内の脳出血既往、降圧薬が必要な心不全、K<3.5、K>5.5 治療群で血圧ー15.0 / 6.1 mm Hg 致命的または非致死的脳卒中率の30%減少(95%信頼区間[CI]、-1から51; P = 0.06) 脳卒中による死亡率39%減少(95%CI、1〜62; P = 0.05) 全死亡率21%減少(95%CI、4〜35; P = 0.02) 心血管系の原因による死亡率23%減少(95%CI、-1〜40; P = 0.06) 心不全率の64%減少(95%CI、42〜78; P <0 .001="" br=""> 積極的治療群では重篤な有害事象の報告が少なかった 0> |
RCT (HYVET試験) |
N Engl J Med. 2008 May 1;358(18):1887-98. doi: 10.1056/NEJMoa0801369. Epub 2008 Mar 31. |
エドキサバン | 心房細動 | 心原性心房細動にリクシアナ15㎎/日は有効か | 患者背景により減量しても有効 | クレアチニン・クリアランスが30~50mL/分、体重が60kg以下、またはP糖タンパク質の相互作用のある併用薬を服用している人については、エドキサバン投与量を半減(減量しない群は死亡率が高かった。) | RCTの事後解析 | Lancet. 2015 Jun 6;385(9984):2288-95. doi: 10.1016/S0140-6736(14)61943-7. Epub 2015 Mar 11. |
クロピトグレル | 狭心症(不安定) | 不安定狭心症に対してアスピリンの代わりにクロピトグレル単剤 | クラスⅠ アスピリン禁忌例でのクロピドグレルの投与. | ガイドライン | 循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン | |
クロピトグレル | 心筋梗塞(非急性期) | アスピリンの代わりにクロピトグレル単剤 | ASO,脳梗塞があればクラスⅡa それ以外は記載なし アスピリン金綺麗にはトラピジル300㎎/日 | ガイドライン | 循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン | |
クロピトグレル | 不安定狭心症(非PCI例) | PCIの対象とならない不安定狭心症に対してバイアスピリンの代わりにクロピトグレルは有効か | 有効 | クラス1:アスピリンの使用が困難な場合のチクロピジンあるいはクロピドグレルの投与. | ガイドライン | 循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン |
クロピドグレル+アスピリン | 虚血性心疾患 | ハイリスク群においてクロピドグレルとアスピリンの併用は虚血性心疾患の一次予防に有効か | 併用による有効性なし 推奨されない |
治療中止率はclopidogrel+aspirin群20.4%,aspirin群18.2%(p<0.001)。うち有害イベントによる中止例は4.8% vs 4.9%。 一次エンドポイントはclopidogrel+aspirin群6.8%,aspirin群7.3%で両群間に有意差は認められなかった |
ガイドライン (CHARISMA試験) |
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2012_shimamoto_h.pdf 虚血性心疾患の一次予防ガイドライン |
降圧薬 | 脳卒中 | 高齢者(80歳以上)に降圧薬は有効か |
脳卒中は低下 全死亡は差なし |
対象:80歳以上 1670人 脳卒中の34%(95%CI 8-52)、心血管イベントと22%、心不全39%減少 心血管死6%(95% CI -5〜18) |
メタ解析(RTC) | Lancet. 1999 Mar 6;353(9155):793-6. |
抗凝固薬 | 肥大型心筋症の心房細動 | 心房細動を合併した肥大型心筋症に対する抗凝固薬及び抗不整脈薬の有効性 |
抗凝固薬は禁忌でない限り使用すべきである クラスⅠ β遮断薬,ベラパミル,ジルチアゼム,Ⅰa群,Ⅰc群の抗不整脈薬,アミオダロン心房細動例ではワーファリンの投与 |
肥大型心筋症では,心房細動を合併すると脳梗塞のリスクが8倍になると報告されている159).発作性,持続性あるいは永続性の心房細動を伴う肥大型心筋症患者には,経口抗凝固薬を禁忌でない限り使用すべきである | ガイドライン | 肥大型心筋症の診断に関するガイドライン |
ジゴキシン | 心房細動 | 心房細動にジゴキシン投与は死亡率を悪化させるか | 全ての死亡を増加 |
対象:6時間以上続く心房細動患者、脳卒中や死亡リスクあり等(AFFIRM試験) 全死亡:推定ハザード比(EHR)1.41 95%CI1.19-1.67 心血管死亡率:EHR 1.35、95%CI 1.06-1.71 不整脈死亡率(EHR 1.61、95%CI 1.12-2.30 心不全の有無にかかわらず患者のジゴキシンにより全死因死亡率が増加:EHR 1.37、95%CI 1.05-1.79、およびEHR 1.41、95%CI 1.09-1.8) |
AFFIRM試験の事後解析 | Eur Heart J. 2013 May;34(20):1481-8. doi: 10.1093/eurheartj/ehs348. Epub 2012 Nov 27. |
ジゴキシン | 心房細動 | 心房細動にジゴキシン投与は死亡率を悪化させるか | 死亡率増加 |
対象:新規診断非弁膜症性AF患者で,診断から90日以内に外来を受診し,薬剤を処方されたもの。 除外基準:AFの既往,弁膜症性疾患・弁修復術・弁置換術の既往,甲状腺疾患,腎移植,心臓外科手術から30日以内 累積死亡率はdigoxin処方例が非処方例よりも高かった(95 vs 67/1,000人・年,p<0.001)。 多変量解析において,digoxinの使用は死亡と有意に関連した(全例:調整ハザード比1.26;95%信頼区間1.23~1.29, propensity matchingコホート:1.21;1.17~1.25;ともにp<0.001)。 アドヒアランスで調整後も結果は変わらなかった(それぞれ1.31;1.27~1.36, 1.18;1.10~1.27;ともにp<0.001) |
後ろ向きコホート (TREAT-AFより) |
J Am Coll Cardiol. 2014 Aug 19;64(7):660-8. doi: 10.1016/j.jacc.2014.03.060. |
ジゴキシン | 心房細動 | 心房細動にジゴキシン投与は死亡率を悪化させるか | 死亡率増加 |
対象:心不全既往歴のない患者 死亡率:71%上昇h (RR 1.71 95% CI 1.52-1.93 入院増加 |
後ろ向きコホート (ATRIA-CVRNより) |
Circ Arrhythm Electrophysiol. 2015 Feb;8(1):49-58. doi: 10.1161/CIRCEP.114.002292. Epub 2014 Nov 20. |
ジゴキシン | 心房細動 | 心房細動にジゴキシン投与は死亡率を悪化させるか | 悪化なし 改善なし |
対象:ジゴキシンを対象としたすべての試験 ジゴキシン投与群は心不全が多く、EFも低く、利尿剤、糖尿病治療薬の使用もおおかった。 RCTのみをメタ解析すると死亡に有意差はなし(RR0.99 95% CI 0.93-1.05 ジゴキシン群で入院はわずかに減少 |
観察研究およびRCTのメタ解析 | Eur Heart J. 2015 Jul 21;36(28):1831-8. doi: 10.1093/eurheartj/ehv143. Epub 2015 May 4. |
スタチン系 | 大動脈弁狭窄症 | 大動脈弁狭窄症の進行予防にスタチン系は有効か |
抑制効果は見られた試験はあるが非無作為化、非盲検 無作為、二重盲検では抑制効果なし |
n=12 非無作為化,非盲検化試験 その他のスタチン系(アトルバスタチン:SALTIRE試験,シンバスタチン:SEAS試験,ロスバスタチン:ASTRONOMER試験は無作為化,二重盲検試験であったが,いずれもASの進行の抑制は認められていない) |
RAAVE試験 | |
全般 | 心筋梗塞 | 心筋梗塞2次予防エビデンス |
抗血小板薬:アスピリン50~162mgこれが禁忌の場合トラピジル300mg投与 抗凝血薬:心房細動,左室瘤合併例でのワルファリン β遮断断薬:低リスク群以外の心筋梗塞梗塞後狭心症,高血圧を合併するもの急性期に心不全のあったものや梗塞範囲の大きいもの 脂質代謝異常改善薬:高LDLコレステロール血症にスタチン投与 硝酸薬:梗塞後狭心症や新たな心筋虚血に硝酸薬屯用又は短期間投与ニコランジル安定狭心症を伴う心筋梗塞にニコランジル投与[Ⅱa] カルシウム拮抗薬:β遮断薬が使用できず,心不全,房室ブロックのない症例で心筋梗塞後の心筋虚血の軽減,または頻脈性心房細動の脈拍コントロール目的でベラパミルまたはジルチアゼム投与[Ⅱa] ACEI,ARB:ハイリスク患者(広範囲梗塞,左心不全)の発症早期に低用量から増量してACEI投与.中等度以上の左心機能低下例(EF<40%)にACE阻害薬投与.急性期からアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬投与 抗不整脈療法:心房細動に対する心拍数コントロール. 心室期外収縮,非持続性心室頻拍,持続性心室頻拍,心室細動に対するβ遮断薬(禁忌例を除いて積極的に)[Ⅱa]. 症候性の心室期外収縮(≧10個/時間)および非持続性心室頻拍(LVEF≧40%)に対するアミオダロン[Ⅱa]. 安定した血行動態の持続性心室頻拍に対するアミオダロンあるいはdl-ソタロール[Ⅱa].植込み型除細動器が使用できない例で心室細動あるいは血行動態の破綻を来す持続性心室頻拍に対するアミオダロン[Ⅱa] |
ガイドライン | 心筋梗塞二次予防に関するガイドライン | |
テルミサルタン | 脳卒中 | ARBは血圧に関係なく脳卒中を予防できるか | プラセボと有意差なし |
対象:20,332例。55歳以上,24時間以上症状が持続した比較的最近発症した(発症90日以内)脳梗塞,症状の持続が24時間以内であってもCT,MRIにて脳梗塞が確認された症例,降圧治療:平均血圧144.1/83.8mmHg 結果:telmisartan群880例(8.7%) vs プラセボ群934例(9.2%):HR 0.95;0.86~1.04(p=0.23)。どの病型でも両群間に有意差は認められなかった 追跡は2.5年と短期 |
ガイドライン RCT (PRoFESS試験) |
脳卒中治療ガイドライン2015 |
ニコランジル | 狭心症(安定) | ニコランジルは安定狭心症患者の冠動脈イベントを抑制するか | ニコランジルで優位に低下 |
対象:標準治療に加えニコランジル40㎎/日分2vsプラセボ 5126名 評価項目:複合エンドポイント(冠状動脈性心疾患死、非致命的心筋梗塞、胸痛による入院) ニコランジルで優位に低下:13.1%vs15.5% RR 0.83、95%Cl 0.72–0.97 p = 0・014 |
RCT (IONA試験) |
Lancet. 2002 Apr 13;359(9314):1269-75. |
ニコランジル | 虚血性心疾患 | ニコランジルは虚血性心疾患による死亡、入院を減らすか | ニコランジルにより心血管イベントによる入院は減少、(全)死亡は差なし |
対象:ニコランジル投与群と非投与群 ニコランジルでCVD入院減少:13.83% versus 18.01%; RR, 0.77; 95% CI, 0.69 to 0.86 死亡は差なし13.06% versus 13.54%; RR, 0.95; 95% CI, 0.70 to 1.29 |
メタ解析(RCT) | Int J Cardiol. 2014 Oct 20;176(3):661-9. doi: 10.1016/j.ijcard.2014.07.007. Epub 2014 Aug 19. |
バイアスピリン+シロスタゾール | 脳卒中 | ハイリスク群、長期管理においてバイアスピリンとシロスタゾールの併用は脳梗塞2次予防に有効か |
再発が有意に減少 出血リスク増加なし |
対象:発症後8~180 日の非心原性脳梗塞で、頸部または頭蓋内の動脈に50%以上の狭窄を認めるか、2つ以上の動脈硬化危険因子を有するかの条件を満たす1879例 介入:アスピリンorクロピドグレル群 VS +シロスタゾール 追跡1.4年 |
Lancet Neurol. 2019 Jun;18(6):539-548. doi: 10.1016/S1474-4422(19)30148-6. | |
ベラパミル | 肥大型心筋症 | 肥大型心筋症にベラパミルは有効か | は徐拍化による拡張機能の改善を目的として,β遮断薬により症状の改善がみられない例においても有用 | 慢性心房細動を合併している場合、心拍数のコントロールや頻拍性不整脈に対してベラパミルは有効である. | ガイドライン | 肥大型心筋症の診断に関するガイドライン |
ペリンドプリル(+インダパミド) | 脳卒中 | 一過性脳虚血発作(TIA)あるいは脳卒中の既往患者において,ACE阻害薬単独あるいは利尿薬追加が,脳卒中を予防できるか |
ペリンドプリル+インダパミド群で優位に減少 非高血圧患者でもリスク減少 |
対象:過去5年間にTIAおよび脳卒中の既往のある例6105名(脳梗塞71%,一過性脳虚血発作22%,脳出血11%) 主要評価項目:致死性or非致死性脳卒中 脳卒中の発症は実薬群307例(10%),プラセボ群420例(14%)と実薬群で相対リスク(RR)が28%低下[95%CI17~38%, p<0.0001] 主要な血管イベントも実薬群の方がプラセボ群に比べ26%低下: 95%CI 16~34% 高血圧群,非高血圧群の脳卒中のリスク低下率は同様(いずれもp<0.01) perindopril+indapamide群の脳卒中のRRは43%低下した(95%CI 30~54%)が,perindopril単独群では脳卒中のリスク低下は認められなかった サブ解析では120㎜Hg以下でさらにリスク減少 ARB単剤では脳卒中予防効果は示せていない:PRoFESS試験 |
RTC(非盲検) PROGRESS試験 |
Lancet. 2001 Sep 29;358(9287):1033-41. |
ワーファリン | 虚血性心疾患 | 虚血性心疾患(IHD)の高リスクへの低用量ワーファリンとアスピリンの単独および併用投与による一次予防効果 |
アスピリン単独は非致死性IHD,ワーファリン単独は致死性イベントの抑制に有効 併用投与は単独に比しさらなる予防効果 INR=1.5を目標 |
虚血イベントは410例(致死性142,非致死性268)。 warfarin投与群では,IHDが21%,致死性イベントが39%,全死亡が17%減少 aspirin投与群では,IHDが20%,非致死性IHDが32%減少。 IHDの絶対リスク減少は,warfarin群2.6/1,000人/年,aspirin群2.3/1,000人/年。 併用群はP群に比しIHDが34%抑制 W群およびA群におけるIHD発生率は同等。 WA群ではP群に比し脳卒中の発症率が高く,出血性脳卒中はwarfarinおよびaspirin投与群で多かった。致死性脳卒中は併用群で有意に多くみられ,warfarin投与群とaspirin投与群間に有意差なし |
ガイドライン (Thrombosis Prevention Trial) |
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2012_shimamoto_h.pdf 虚血性心疾患の一次予防ガイドライン |