ピロリ菌の除菌率とアドヒアランスの影響

 ピロリ菌除菌中、薬剤を飲み忘れるとどのくらい除菌率が低下する?

日本ではピロリ菌除菌は7日間。

海外では10日~14日の治療が一般的。

コクランのシステマティックレビューにて、7日間の治療より14日間の治療のほうが除菌率が優れていた(72.9%vs81.9%)との報告※1がある。
ただし、タケキャブは試験に含まれていないため不明。

7日間朝夕薬剤を飲まなければならないわけですが、飲み忘れる人も結構いると思う。
アドヒアランス不良は除菌率にどの程度影響するのでしょうか。

ガイドラインには時に記載がなかったので、該当しそうな文献を検索。


アドヒアランスと除菌率

過去に行われた3つのRTCを分析したコホート研究※2では、以下のようになっている。
対象:21~65歳
デザイン:過去のRCTのコホート研究
治療レジメン:ランソプラゾール30mg、アモキシシリン1000mg、クラリスロマイシン500mgを14日間投与する3剤併用療法 or ランソプラゾール30mg、アモキシシリン1000mgを5日間服用後、ランソプラゾール30mg、クラリスロマイシン500mg、メトロニダゾール500mgを5日間投与する連続療法 or ランソプラゾール30 mg、アモキシシリン1000 mg、クラリスロマイシン500 mg、メトロニダゾール500 mgを5日間併用.

もともとは1年後のピロリ菌再発率を主要評価としてみている論文ですが、アドヒアランス良好、不良群における初回除菌率、1年後再発率も記載されている。

多変量ロジスティック回帰分析では年齢、性別、試験センターが調整。
喫煙、アルコール、衛生状態、水源、慢性消化器疾患は結果に影響していなかったとして説明変数として導入されていない。



一番下がアドヒアランスに関する比較。
アドヒアランス不良群(薬剤の20%を超えて服用していない)の除菌率:47.6%
アドヒアランス良好群(薬剤の80%以上を服用している)の除菌率:82.3
※調整済オッズ比0.23

と除菌率が半分以下になっている。


1年追跡後の再発率もアドヒアランス良好群11%に対して不良群は25.6%。(調整済オッズ比2.94)

ただし、アドヒアランス不良は全体の6.7%のみ。
また、アルコール、喫煙は除菌率に影響する※1とされているため、強制的に調整するべき?と思ったのですが、調整されていない。

変数選択の際、有意とされた年齢、性別、試験センター、アドヒアランスのうち、アドヒアランスだけが変数から除外されている・・・なぜでしょう。




小児に対するピロリ菌除菌率とアドヒアランスの関係

小児を対象とした試験も報告されている。※3

対象:2~17歳 145人
デザイン:コホート研究
治療:10日間のクラリスロマイシンorメトロニダゾールのトリプルレジメン。
結果:アドヒアランス90%以上(109名)では除菌率89.9%、アドヒアランス不良(19名、うち11名は<50%)は除菌率36.9%。

こちらもアドヒアランス不良で半分以下まで落ちている。
50%未満が相当いるので、これだけ飲んでいなければ納得でしょうか。


まとめ

アドヒアランス不良(80%未満)で除菌率は50%以下になる可能性。

患者背景が十分に調整されていないので何とも言えない部分もある。



※1Cochrane Database Syst Rev . 2013 Dec 11;(12).
※2JAMA. 2013 Feb 13; 309(6): 578–586.
※3Helicobacter . 2017 Aug;22(4). doi: 10.1111/hel.12383. 

 2020/10/24

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