生理食塩液(生食注)のアンプル開封後の衛生性について

生理食塩水のアンプル 開封後の安定性、衛生的な問題は? インタール吸入液の代わりにメプチン吸収液の希釈に用いて問題ないか?

インタール吸入液及びクロモグリク酸Na吸入液の自主回収があり、クロモクリク酸の供給が間に合っていない。(2025.9.12)

インタールの薬効がなくてもそこまで困らない気もするが、インタール吸入液はメプチン吸入液の希釈用として処方されていたりする。

これは、ネブライザーの最小液量がメプチン吸入液(ユニット:0.3ml)だけでは足りなかったりすることがあるから。

インタール吸入液は1本2mlでちょうどよい感じだが、生理食塩水は1アンプル20mlはある。
生理食塩水の添付文書上は「残液は使用しないこと」となっている。
メプチンの吸入回数に合わせて2mlしか使わない生理食塩水を何十個も処方するのもどうかと思う。

生理食塩水は開封後、衛生的に使用は可能なんでしょうか。
今回はこの辺を調べてみました。


メプチン吸入の希釈について

メプチン吸入液はそもそも希釈しなくても使用は可能である。
ただし、冒頭のように、ネブライザーのほうが希釈しないと最小量以下となってしまい、使用できないことがある。

水道水での希釈は不可となっているので、何かしらの対応が必要。
メーカーとしては、生理食塩水での希釈を推奨しているが、生食は1本20mlもあるため、配合変化が問題とならない(メプチン インタビューフォームより判断)ため、インタールが処方されることがある。


"本剤のみをネブライザーで使用することは可能です。 ただし、使用するネブライザーの機器・型によっては最低霧化可能薬剤量(必要最小薬液量)を満たさない場合があります。 使用するネブライザーに応じて液量増加を目的とした生理食塩液での希釈をお勧めします。 なお、本剤以外に他の薬剤を混合する場合は、配合変化に問題がなく、総薬液量が最低霧化可能薬剤量を満たしていれば希釈を必要としない場合もあります。 なお、水道水での希釈は塩素の影響により有効成分のプロカテロール含量が低下します。水道水での希釈は避けてください。"(引用:大塚製薬 https://www.otsuka-elibrary.jp/product/di/mi3/index.html)




生理食塩水のアンプル開封後の安定性、衛生性

製剤としてある生理食塩水には保存剤は含まれていない。

細菌が落下すれば繁殖するリスクがあるわけですが、20mlアンプルを開封して、蓋をしておけば継続的に使用は可能なのか。


安定性について

生理食塩水なので・・・大丈夫なんでしょうけど、一応。

インタビューフォームには「有効成分の各種条件下における安定性光、熱に対して安定である。」と記載あり。

希釈に使用されている生理食塩水が安定していなかったらほぼすべての注射液が安定性なくなるので・・・


衛生性について

本題はこちら。

インタビューフォームを見ても「残液を使用しない」以外の情報はない。

メーカーに問い合わせると、開封後のデータはなく、基本的には添付文書通り破棄としている、とのこと。
まぁ、そうですよね。

では、論文報告はないでしょうか。
生理食塩水の開封後の衛生性に関する検討を行っている論文を探すと以下の報告がある。






























(引用元:院内製剤における吸入液の微生物汚染と対策 https://redcross.repo.nii.ac.jp/record/2985/files/trchmj1601_144-148.pdf)

 "当院では吸入液の使用期限を以下のように統一して いる.試料Aは調製後室温保存で7日間,試料B,C は調製後冷所保存で14日間,試料D,Eは薬剤部の調製用材料のため冷所で7日間である.X病棟の試料 A,C,薬剤部の試料D,Eの使用期限日の残液を回収 した.試料Bは個人使用で処方日数が短く使用期限日の残液を回収できなかったため調査できなかった"

病院によってはこのように規定してつかっているんですね。
そして7日間であれば、冷所保存で菌検出はなし


もちろん薬剤部で対応しているので、衛生的に使っているのでしょうか、一般の方が使う状況とはまた異なりますが、気を付けてもらえばなんとかなりそう。


衛生面を考えると、シリンジタイプを使ってもらうのもありな気がする。



まとめ


生理食塩水の製剤開封後の衛生性について、衛生的に使用すれば冷所で7日間は菌の検出がないとの報告あり。

薬剤部によっては、開封後の残液を使用している。


 2025年9月24日

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