地域支援体制加算は途中で辞退届が必要か?

管理薬剤師の変更等で、地域支援体制の要件を満たさなくなった場合、途中で辞退届が必要か?

調剤基本料は途中で要件に合わなくなっても、決められた期間(当年6月1日から翌年5月末日まで所定点数を算定する。)は途中で区分変更は不要。(注:新規指定時や医療資源~は途中で区分変更が生じることはある:こちらの記事参照)


では、地域支援体制はどうでしょうか。
地域支援体制は施設基準が(1)の実績関係と、(2)~(12)の恒常的な要件の2つがあり、分かりにくい。

「特掲診療科の手続きの取り扱いについて」を見ると、「地域支援体制加算の施設基準に係る届出は、別添2の様式 87 の3及び様式 87 の3の2 を用いること。ただし、当年6月1日から翌年5月末日までの間に、新たに施設基準に適合した場合は、届出を行うことができ、届出のあった月の末日までに要件審査を終え、届出を受理した場合は、翌月の1日から翌年の5月末日まで所定点数を算定することができるものとする。」と書かれている。

なので、途中で要件を満たさなくなっても5月末までは算定できる?と勘違いしそうになるのですが、これは誤り。

この辺について、詳しく見ていきます。



調剤基本料について

調剤基本料については、疑義解釈がでており、途中で原則区分変更はされない。

疑義解釈(疑義解釈資料の送付について(その1) 厚生労働省 平成28年3月31日)
(問3)既に指定を受けている保険薬局がある薬局グループに新たに属することにな り、その結果、調剤基本料3の施設基準の要件に該当することになった場合は、 年度の途中であっても調剤基本料の区分を変更するための施設基準を改めて届 け出る必要があるか。 (答)既に指定を受けている保険薬局としては、調剤基本料は4月1日から翌年3月末日まで適用されているので、同一グループに新たに所属したことをもって改めて届 け出ることは不要であり、所属する前の調剤基本料が算定可能である。なお、次年度の調剤基本料の区分は、当年3月1日から翌年2月末日までの実績に基づき判断し、現在の区分を変更する必要がある場合は翌年3月中に調剤基本料の区分変更の届出を行うこと。

今とは集計期間は2カ月(今は6月1日~5月末日まで算定)異なるが、同様の考え方で問題ないと思われる。



地域支援体制について

冒頭の通り、「届出のあった月の末日までに要件審査を終え、届出を受理した場合は、翌月の1日から翌年の5月末日まで所定点数を算定することができるものとする」とあるのですが、これは新規に届出をした後は、~6月末まで(変更等なければ)算定できるよ、という意味のよう。

毎年継続して算定する場合、(1)の実績の集計期間は指定されているが、毎年届出が必要なわけではない。

要件を満たさなくなったら辞退だし、満たしていれば継続算定ということ。




同通知の「届出受理後の措置等」には以下の記載がある。


第3 届出受理後の措置等

 1 届出を受理した後において、届出の内容と異なった事情が生じ、当該施設基準を満たさなく なった場合又は当該施設基準の届出区分が変更となった場合には、保険医療機関又は保険薬局 の開設者は届出の内容と異なった事情が生じた日の属する月の翌月に変更の届出を行うもので あること。ただし、神経学的検査、精密触覚機能検査、画像診断管理加算1、2、3及び4、 歯科画像診断管理加算1及び2、麻酔管理料(Ⅰ)、歯科麻酔管理料、歯科矯正診断料並びに 顎口腔機能診断料について届け出ている医師に変更があった場合にはその都度届出を行い、届 出にあたり使用する機器を届け出ている施設基準については、当該機器に変更があった場合に は、その都度届出を行うこと。また、CT撮影及びMRI撮影について届け出ている撮影に使 用する機器に変更があった場合にはその都度届出を行うこと。その場合においては、変更の届 出を行った日の属する月の翌月(変更の届出について、月の最初の開庁日に要件審査を終え、 届出を受理された場合には当該月の1日)から変更後の特掲診療料を算定すること。ただし、 面積要件や常勤職員の配置要件のみの変更の場合など月単位で算出する数値を用いた要件を含 まない施設基準の場合には、当該施設基準を満たさなくなった日の属する月に速やかに変更の 届出を行い、当該変更の届出を行った日の属する月の翌月から変更後の特掲診療料を算定すること。

→ということで、地域支援体制加算に限らず、要件を満たさなくなったら変更・辞退は必要。

地域支援体制加算は(1)の実績要件の集計期間が1年間であり、その実績部分は「6月1日~5月末日」までという文言があるせいで分かりにくい。

(1)は毎年6月1日~5月末日で集計し、満たしていなければ6月に辞退届、7月から算定なし。
(2)~(12)の要件は満たさなくなった時点でその翌月に辞退届。


(辞退するときは該当した翌月に届け出して、翌々月から辞退でよいので、1カ月くらい先延ばしできるので有効活用を)


まとめ

地域支援体制加算の(1)の実績要件は集計期間(6月1日~5月末日)があるため、年に1回集計し、満たしていない場合は辞退届。

(2)~(12) の要件は、満たさなくなった時点で辞退が必要。(届出は該当しなくなった翌月でOK)


 2025年9月22日

関連記事