尿酸値を下げすぎるとどうなるのか? 腎機能に悪影響?
高尿酸血症の定義は尿酸値7.0mg/dlを超える場合。
ただ、合併症や痛風発作の有無によって、治療開始の対象となるのは7.0、8.0、9.0と幅広い。
治療開始となった場合の目標値は6.0。
尿酸値が高いだけで合併症がなければ9.0を超えなければガイドライン上では治療対象とはならない。
これは、尿酸値を下げても何に良いのかというエビデンスが意外と少なく、あるのは痛風発作の予防になることと、腎機能低下を防げるかも程度であるから。
予め尿酸値を下げれば腎機能保護できる?ような気もするのですが、実はそんなことはないようで、下げすぎもよくないよう。
尿酸値を下げすぎるとどうなるのか、気になったので調べてみました。
尿酸値と腎機能
尿酸といえば腎機能を低下させるというイメージですが、尿酸値を下げると腎機能低下を防げるというえエビデンスはあまりない。
むしろ関係ないという報告もある。
尿酸低下と腎機能に関するメタ解析
CKD患者を対象とした12個のRTCを対象としたメタ解析※1では、尿酸値の低下と腎保護作用は関係がみられなかったと報告している。
治療によって尿酸値は−2.72となっており、尿酸値はしっかり下がっている。
しかし、eGFRはプラセボ群と比較して差がなかったとなっている。
高尿酸血症患者のみを対象にしたサブ解析でも差はなし。
尿酸値とeGFRの関係性に関する報告
尿酸値とeGFRの関係性を調べたコホート研究でが、尿酸値とeGFRの間にはUカーブ(下げすぎても、上がりすぎてもよくない)という結果がある。※2
こちらは健常者を対象としているので、もともと尿酸が高い人や低い人はeGFRが良くないかもしれないというもの。
尿酸低下治療と腎機能の関係
こちらは尿酸値を低下する治療を受けて下げた場合のコホート研究の報告※3。
この報告では、尿酸降下療法を開始した患者は、治療を開始しなかった患者と比較して、eGFRが60 mL/min/1.73 m2未満になるリスクが増加してしまっている(サブハザード比 [SHR] 1.15)。
対象は約27万(うち、尿酸治療患者は3万)、ベースラインの尿酸値8.0となっている。
追跡期間中の平均血清尿酸値は、治療群が6.4 mg/dL(標準偏差1.6 mg/dL)であったのに対し、非治療群は7.0 mg/dL(標準偏差1.4 mg/dL)。
今回は尿酸値と腎機能があまり関係ないという論文を取り上げましたが、尿酸値が高いと腎機能の低下するという報告も多数ある。
結局、どっちなんでしょう・・・
まとめ
尿酸値が低いと、腎機能が悪くなるかもしれないという報告がある。
治療により尿酸値を下げても、腎機能低下を防げなかったという報告がある。
ただ、尿酸値が高いと腎機能が低下するという報告も多数ある。
※1 Front Pharmacol
. 2022 Mar 17:13:798150.
※2 Am J Physiol Renal Physiol 312: F992–F997, 2017.First published March 1, 2017
※3JAMA Netw Open
. 2022 Jun 1;5(6):e2215878.