医薬品の譲渡・譲受記録 分割販売時の容器に記載すべき事項

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令について

H29.12.28更新

以下は厚労省HPより、H29.1.31施行の改正省令(厚労省 別添1:概要 別添2:案文)

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」について



【省令改正の内容(ポイント)】 

(1)薬局開設者等に課される医薬品の譲受・譲渡時の記録事項として相手方の身元確認の方法、ロット番号、使用期限等を追加する。 

(2)同一の薬局開設者等が開設する複数の薬局間における医薬品の譲受・譲渡に係る取引について、業許可を受けた場所ごとに、取引に係る記録(品名、数量、ロット番号、使用期限等)及びその保存を行うことを明確化する。

(3)製造販売業者により医薬品に施された封を開封して販売・授与する場合(調剤の場合を除く。)について、開封した者(薬局等)を明確にするため、その名称、住所等の表示を新たに求める。 

(4)薬局、店舗販売業者の店舗、卸売販売業者の営業所の構造設備の基準として、貯蔵設備を設ける区域が他の区域から明確に区別されていることを追加する。 

(5)薬局並びに店舗販売業及び卸売販売業の店舗における医薬品等の販売又は授与を行う体制の基準について、医薬品の貯蔵設備を設ける区域へ立ち入ることができる者を特定することを追加する。

【公布日及び施行日

公布日:平成29年10月5日
施行日:平成30年1月31日 ただし、(1)及び(2)のうちロット番号及び使用期限に関する部分については、平成30年7月31日。



まとめ

医薬品を購入、譲受、及び薬局開設者、医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者、病院、診療所、飼育動物診療施設の開設者に販売、又は授与したとき
(=卸、グループ外の近隣薬局等からの購入)

① 品名 
② ロット番号(ロットを構成しない医薬品については製造番号又は製造記号) 
③ 使用の期限 
④ 数量 
⑤ 購入若しくは譲受け又は販売若しくは授与(以下「購入等」という。)の年月日 
⑥ 購入者等の氏名又は名称、住所又は所在地、及び電話番号その他の連絡先
⑦ ⑥の事項を確認するために提示を受けた資料
⑧ 医薬品の取引の任に当たる自然人が、購入者等と雇用関係にあること又は購入者等から取引の指示を受けたことを表す資料
を確認、記載事項は書面に残し3年間保存。
※⑥の住所・連絡先、⑦は常時取引がある場合は省略可(近隣薬局も常時取引があるとみなされる。⑦について1度は確認し、記録を残しておく)
⑧については、購入者等が自然人であり、かつ、購入者等自らが医薬品の取引の任に当たる場合は省略可

常時取引の定義は解釈が出されているが、月に1回以降or年に数回でも長年にわたって取引があればOKとなっており、曖昧。





複数の事業所について許可を受けている事業者における医薬品の移転した場合、次の内容を書面に記載し、記載した日から3年間保存する
(=同一グループ内での店舗間移動)
① 品名 
② ロット番号(ロットを構成しない医薬品については製造番号又は製造記号) 
③ 使用の期限 
④ 数量 
⑤ 移転先及び移転元の場所並びに移転の年月日
を確認、記載事項は書面に残し3年間保存。

(薬生発1005第1号より抜粋)


分割販売時の医薬品への記載事項

上記は譲渡・譲受の記録として何が必要かということ。
医薬品はその容器に記載すべき内容が法第50条で決められているため、通常分割販売でもこの記載が必要なわけですが、分割販売の場合は、買う側の薬局で本来医薬品の被包や容器に記載すべき内容(法第50条、216条)が確認できる文章等および添付文書があれば以下の3つの記載で譲渡・譲受可能

① 「調剤専用」の文字 
② 分割販売を行う者の氏名 
③ 分割販売を行う薬局、所在地
※ない場合は法第50条の記載(特例として一部省略可能:216条)

法第50条
(直接の容器等の記載事項)
第50条 医薬品は、その直接の容器又は直接の被包に、次に掲げる事項が記載されていなければならない。ただし、厚生労働省令で別段の定めをしたときは、この限りでない。  
(1) 製造販売業者の氏名又は名称及び住所  
(2) 名称(日本薬局方に収められている医薬品ににあつては日本薬局方において定められた名称、その他の医薬品で一般的名称があるものにあつては、その一般的名称)  
(3) 製造番号又は製造記号  
(4) 重量、容量又は個数等の内容量  
(5) 日本薬局方に収められている医薬品にあつては、「日本薬局方」の文字及び日本薬局方において直接の容器又は直接の被包に記載するように定められた事項  
(6) 要指導医薬品にあつては、厚生労働省令で定める事項  
(7) 一般用医薬品にあつては、第36条の7第1項に規定する区分ごとに、厚生労働省令で定める事項  
(8) 第41条第3項の規定によりその基準が定められた体外診断用医薬品にあつては、その基準において直接の容器又は直接の被包に記載するように定められた事項  
(9) 第42条第1項の規定によりその基準が定められた医薬品にあつては、貯法、有効期間その他その基準において直接の容器又は直接の被包に記載するように定められた事項  
(10) 日本薬局方に収められていない医薬品にあつては、その有効成分の名称(一般的名称があるものにあつては、その一般的名称)及びその分量(有効成分が不明のものにあつては、その本質及び製造方法の要旨)  
(11) 習慣性があるものとして厚生労働大臣の指定する医薬品にあつては、「注意―習慣性あり」の文字  
(12) 前条第1項の規定により厚生労働大臣の指定する医薬品にあつては、「注意―医師等の処方箋により使用すること」の文字  
(13) 厚生労働大臣が指定する医薬品にあつては、「注意-人体に使用しないこと」の文字
(14) 厚生労働大臣の指定する医薬品にあつては、その使用の期限
(15) 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

施行規則210条
(医薬品の直接の容器等の記載事項)
第210条 法第50条第(15)号の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。  (1) 専ら他の医薬品の製造の用に供されることを目的として医薬品の製造販売業者又は製造業者に販売し、又は授与される医薬品(以下「製造専用医薬品」という。)にあつては、「製造専用」の文字  
(2) 法第19条の2第1項の承認を受けた医薬品にあつては、外国製造医薬品等特例承認取得者の氏名及びその住所地の国名並びに選任外国製造医薬品等製造販売業者の氏名及び住所
 (3) 法第23条の2の17第1項の承認を受けた体外診断用医薬品にあつては、外国製造医療機器等特例承認取得者の氏名及びその住所地の国名並びに選任外国製造医療機器等製造販売業者の氏名及び住所  
(4) 基準適合性認証を受けた指定高度管理医療機器等(体外診断用医薬品に限る。)であつて本邦に輸出されるものにあつては、外国製造医療機器等特例認証取得者の氏名及びその住所地の国名並びに選任外国製造指定高度管理医療機器等製造販売業者の氏名及び住所  
(5) 法第31条に規定する厚生労働大臣の定める基準に適合するもの以外の一般用医薬品にあつては、「店舗専用」の文字  
(6) 指定第2類医薬品にあつては、枠の中に「2」の数字  
(7) 分割販売される医薬品にあつては、分割販売を行う者の氏名又は名称並びに分割販売を行う薬局、店舗又は営業所の名称及び所在地

第216条 薬局において調剤の用に供するため当該薬局の開設者に、薬局開設者又は卸売販売業者が、その直接の容器又は直接の被包を開き、分割販売する医薬品であつて、当該分割販売される医薬品の直接の容器又は直接の被包に次に掲げる事項(=(1)
)の記載のあるものについては、当該医薬品の販売時において当該医薬品の分割販売の相手方たる薬局開設者が当該医薬品に関する次の表の上欄に掲げる法の規定による同表の中欄に掲げる事項が記載された文書又は容器若しくは被包を所持している場合に限り、同表の上欄に掲げる法の規定によつて定められた同表の中欄に掲げる事項の記載は、それぞれ同表の下欄に定めるところにより、同欄に掲げる事項の記載をもつてこれに代え、又は当該事項の記載を省略することができる  
(1) 「調剤専用」の文字  
(2) 第210条第(7)号に掲げる事項


薬局間における医療用医薬品の譲受・譲渡に関するガイドライン
3) 譲り渡す医薬品が、直接の容器・ 被包を開いた分割販売によるものであり、法第 50 条に規定する事項を記載した文書及び第52条に規定する添付文書が添付されていない場合は、

① 「調剤専用」の文字
② 分割販売を行う者の氏名
③ 分割販売を行う薬局、所在地

が記載されていることを確認する。
その上で、購入・受領する薬局が法第50条に規定する事項を記載した文書等(直接の容器又は直接の被包)を所持している場合には、以下 の④~⑬の記載が確認できればよい
④ 製造販売業者、住所(→ 製造 販売業者の略号でも可)
⑤ 医薬品名、規格、数量
⑥ 製造番号・記号
⑦ 使用期限(有効期間)
⑧ 「日本薬局方」の文字(→「日 局」又は「J・P」でも可)
⑨ 法第 41 条第 3 項の規定により 定められた体外診断用医薬品 の基準において、直接の容器・ 被包に記載するよう定められ た事項
⑩ 「注意―習慣性あり」の文字 (→「習慣性」でも可)
⑪ 「注意―医師等の処方箋によ り使用すること」の文字(→ 「要処方」でも可)
⑫ その他厚生労働省令(または 法もしくは麻薬及び向精神薬 取締法)で定める事項
⑬ 添付文書に記載する事項
ただし、上記①~③が記載されている場合であって、購入・受領する薬局が、法第 52 条に規定する添付文書を所持している場合は、⑬は省略することが認められている。




省令改定に関するQ&A

H30.1.10厚労省より出されたQ&A抜粋 身分証の具体的な内容等回答がある。
(原文はこちら)


問1:購入者を確認するための資料、雇用関係を示す資料とは?
答1:購入者確認資料としては許可書・届出書の写し・保健指定通知の写し、雇用関係を示す資料としては社員証・配達伝票。名刺は不可

問2:問1の確認資料をどのように記録として残せばよいのか?
答2:記録方法としては、確認に用いた資料の種類を記録すること。また、配達伝票で確認した場合は、当該配達伝票を保管することでも差し支えない。なお、購入者等を確認するための資料については、確認した許可期限や許可番号等を併せて記録すること。

問5:現在常時取引がある者に対しても身分証の確認が必要か?
答5:1度は確認・記録が必要。

問8:常時取引の常時とはどの程度か?
答8:月に1回以上、年に数回でも長年にわたって取引があれば可

問9:「医薬品の取引の任に当たる自然人」とは、どのような者を意味しているのか
答9:営業所や薬局などの事業者ではなく、薬局等を実際に訪れる購入者等の従業員や配達の委託を受けた者又はその従業員などの個人を意味している。

問10:使用期限やLOTがないものは?
答10:記載しなくてよい。

問17:納品書等の住所・所在地、電話番号は常時取引がある場合は省略できるのか。
答17:省略して差支えない。

 2017年12月28日

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