インスリン1単位増量が血糖値に与える影響
HbA1c及び自己測定している血糖測定値が高く、インスリン製剤が増量となった患者さんが来局しました。
処方は以下の通り。
処方は以下の通り。
前回
トレシーバ注フレックスタッチ 1日1回 寝る前 4単位
ノボラピット注フレックスタッチ 1日3回 毎食直前10-10-10単位
今回
トレシーバ注フレックスタッチ 1日1回 寝る前 6単位
ノボラピット注フレックスタッチ 1日3回 毎食直前10-10-10単位
前回の血液検査:HbA1c 9.0
食前の血糖値:250前後
体重:65㎏
患者さんは増量となり、低血糖を心配しておりました。
トレシーバに関わらず、インスリン1単位変わってどの程度変わるのでしょうか。
結論から・・・
患者さんの状態、状況及び各インスリン製剤によって変わってくるため一概に述べることはできないようです。
ただし、目安として使っている式があるようなので紹介。
本来はカーボカウント療法を行う際にもっと細かく計算する式があるのですが、ここでは大まかな目安として使える式を2つ。
1単位の血糖降下作用
①1500ルール
血糖降下値=1500÷1日インスリン総量
※速効型インスリンの使用時に用いる式
②1800ルール
血糖降下値=1800÷1日インスリン総量
※超速効型インスリンの使用時に用いる式
血糖降下値=1500÷1日インスリン総量
※速効型インスリンの使用時に用いる式
②1800ルール
血糖降下値=1800÷1日インスリン総量
※超速効型インスリンの使用時に用いる式
今回のような持続型はわからないんですね笑
そもそも上記式は、経験から求められた式とのことですので、持続型、混合型等も経験的にどのくらい増量すればどのくらい下がるか何となくわかるんですかね。
1日速効型を30単位(10-10-10)打っていると、
速効型:1500÷30=50
超速効型:1800÷30=60
インスリン1単位で血糖値が50、60(㎎/dl)も下がるんですね。
早見表が日薬資料に記載されている。
ついでに、インスリン製剤ってどのように投与量を決めているか?
気になったのでついでにしらべてみました。もちろんHbA1cなどの検査値で決めているんでしょうけど、以下の式がありました。
インスリン投与量の決め方
1日インスリン総量(単位)=(空腹時血糖-20)÷10
※初回に投与するインスリンの1日総量の目安を求める式
※上記式で算出されたインスリン総量の上限は20単位とする
②基礎インスリン量の計算式
基礎インスリン量(単位)=患者の体重(kg)÷5
上記①式より、1日に必要なインスリンの総量を求め、その総量-②で求めた値を2‐3分割すれば、食前分が求まるという感じです。
③ガイドラインの記載
開始時の1日インスリン投与量=0.1~0.2単位/kg
これが一番わかりやすい。
体重70㎏なら7~14単位くらいから始めるということですね。
まとめ
個々の患者さん、インスリン製剤によって違うため一概にいえない。 ただし目安になる計算式はある。
参考
日本薬剤師会 インスリン製剤の基礎知識
糖尿病診療ガイドライン