カロナールによる肝機能障害の頻度は?
カロナールの主成分はアセトアミノフェンです。
カロナールのほか、アセトアミノフェンを含む成分は数多くあり、アセトアミノフェンの過剰投与は中毒性の肝機能障害を起こす可能性があることはよく知られていますが、実際どの程度肝機能障害のリスクが増すのでしょうか。
先日某Drが
「カロナールとカフコデ処方したらある薬局から電話がかかってきて、”こんなにアセトアミノフェン飲んだら肝機能障害になりますよ!”ってすごい勢いで電話が来たんだけ、このくらい問題ないよねぇー」
っとおっしゃっていました。このときの処方は以下の通り。
カロナール200㎎ 6T
カフコデ配合錠 6T 7日分
カフコデ1錠あたりアセトアミノフェン100㎎なので、Total 1800mg/day です。
添付文書の警告
カロナールの添付文書では、”警告
本剤により重篤な肝障害が発現するおそれがあるこ とに注意し,1日総量1500mgを超す高用量で長期投与 する場合には,定期的に肝機能等を確認するなど慎 重に投与すること。
本剤とアセトアミノフェンを含む他の薬剤(一般用医 薬品を含む)との併用により,アセトアミノフェンの 過量投与による重篤な肝障害が発現するおそれがあ ることから,これらの薬剤との併用を避けること。”
となっております。
以前は1日最大1500㎎でしたが、2011年の改正で1日最大4000㎎となり、それに合わせ上記警告も追記されました。
1500㎎は超えていますが、長期ではない、ですがアセトアミノフェンを含む他剤との併用はさけることとなっているので、薬局としては問い合わせするべきところでしょうか。
ですが、そもそもアセトアミノフェンによってどれほど肝機能障害のリスクが増すのでしょうか。
添付文書には発現頻度の記載なし。
肝機能障害リスク
メーカーさんの使用成績調査によると、ALTが基準の3倍になった患者さんは、2400mg~3000mg:586例中17例(3%)
3000mg~3600mg:85例中3例(4%)
3600mg~4000mg:32 例中2例(6%)
対症は年齢64歳未満40%、65歳以上60%、4週間以上継続投与されている患者さんです。
3600㎎超えで微増だが、明確な傾向はなかったと結論づけられていました。
また、アフェトアミノフェン含有の多剤併用時でも発症リスクに差は見らず、高齢者に多いわけでもなかった。(アセトアミノフェン使用成績調査)
カロナールとカフコデが併用されていたくらいで問い合わせるのは敏感すぎでしょうか。
2400㎎以上で3%もの患者さんが検査値に異常がみられていると思うとスルーできないものかと思います。
ただし、アセトアミノフェンとの因果関係が否定できないものになると1%程度とのこと。
急性肝毒性
アセトアミノフェンは用量が多くなればなるほど肝臓に負担が関わるわけですが、急性毒性はどのくらいの量で示されるかご存じでしょうか?
1回で150㎎~250mg/㎏を摂取すると肝毒性が起こると報告されております。
通常小児では15㎎/kgとかなので10倍以上の投与で起こる可能性があるんですね。