メコバラミン(ビタミンB12)は神経痛に有効か

メコバラミンは神経痛に効果があるのか?


メコバラミン(ビタミンB12)は神経修復作用があるとして、脊柱管狭窄症によるしびれ糖尿病による末梢神経障害などに処方されます。

通常の痛みとは違い、神経痛はなかなか良くならず長期的にメコバラミンを内服している患者さんをよく見ます。

正直メコバラミンで改善したという人にあったことがないので、今回はメコバラミンのエビデンスについて調べてみました。

ちなみに、添付文書では本剤投与で効果が認められない場合、月余にわたって漫然と使用すべきでないとなっており、たまに薬歴に入れないと指導で叩かれるので注意。


メチコバールのインタービューフォーム
"末性神経障害に対して、メコバラミンとして1日1,500 及び1日120(低用量群)を3回に分けて4週間反復経口 投与し、二重盲検比較試験を行った。慢性期及び固定期の症例に対して、本剤の改善率は改善以上で1,500が17.6% (6/34)、120が9.7%(3/31)、やや改善以上で1,500 が64.7%(22/34)、120が41.9%(13/31)であり、1,500 /日投与の有用性が認められた。 末性神経障害に対して本剤1日1,500、コバマミド1日1,500及びプラセボを4週間反復経口投与し、二重盲検比較試験を行った。全般改善度は中等度改善以上で、本剤投与群38.6%(17/44)、コバマミド投与群22.2%(10/45)、 プラセボ投与群26.7%(12/45)であり、本剤の有用性が認められた。"

プラセボと比較するとやや効果はありそうですが、n数が少なく、何とも言えません。



メコバラミン「YD」のインタービューフォーム

"メコバラミン錠 250μg「YD」あるいはメコバラミン錠 500μg「YD」をメコバラミンと して 1,500μg を 3 分割経口投与した。 評価方法効果に関しては明らかに自他覚所見の改善されたものを著効、自覚症状の改善と腱反射、 関節可動域、運動スピード、握力のうち 1 項目でも改善されたものを有効、自覚的にも改善のみられなかったものを無効と判定した。
変形疾患に伴う神経障害:有効率:60.5% 末梢神経炎:72.7% 外傷後末梢神経障害93.3% (それぞれn=43,11,15)


比較試験でもなく、自覚症状1つ改善されただけで有効となっています



論文検索J Med Assoc Thai. 2000 Aug;83(8):825-31)
"To find out the clinical effects of methylcobalamin on the conservative treatment of degenerative lumbar spinal stenosis※1 the study was carried out as a control single blind trial※2lwith 2 year follow-up in 152 patients… Most of the patients in both groups showed improvement but there was no significant difference between the 2 groups…

※1:脊柱管狭窄症 ※2単純盲検試験(被験者側のみ何の薬か知らない状態)

文献を探してみましたがあまり質のよいものが見つかりませんでした。
上記はメコバラミン群、プラセボ群ともに改善がみられ、改善に差はなかったとのこと。

サンプル数は152,被験者のみブラインド。



上記及び日頃の服薬指導より、個人的にはあまり効果はないのではないかと思います。というより、今まで処方された人で飲んで改善しましたという方にあったことがない。

なんとなく・・・という方はたまにいますが。

神経痛に効果がある薬は少なく、リリカでは眠気やめまいが出てしまう人や、何かしら薬がないと不安になってしまう患者さんがメコバラミンで安心できるのなら必要なのではないかと思います。


 2017年2月2日

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