タンパク結合率と遊離型薬物濃度

タンパク質濃度が減少しても遊離型薬物濃度への影響はあまりない?
薬物はタンパク質(主にアルブミン)と結合している「結合型」結合していない「遊離型」のどちらかの状態で血中に存在します。

薬効を示すのは遊離型薬物のため、タンパク結合の取り合い(競合)や体内のタンパク質濃度減少(低アルブミン血症等)により薬効が強くでてしまう可能性があると考えられています。

タンパク結合率が高い薬物は、遊離型が少し増えただけで血中遊離型濃度が急激に増加することが予想されます。

たとえば、タンパク結合率が約90%のイグザレルトが結合率10%低下し、80%になっただけで遊離型濃度は2倍になってしまいます。

しかし、タンパク結合率50%の薬物は40%になっても遊離型濃度は1.2倍(50%から60%)になるだけです。

しかし、実際は上記のような遊離薬物濃度の上昇はほとんどみられません。

血中タンパク質濃度の低下またはタンパク結合の競合が起こった際、遊離型薬物は一瞬増えたとしても、すぐに細胞と血中との間で平衡状態になるため遊離型濃度の上昇は見られないことが多いとのこと。(薬物動態学10の鉄則)

実際タンパク結合率が高いペルサンチン(92-95%)、インデラル(85-95%)、イグザレルト(92-95%)の添付文書を見てもタンパク結合に関する相互作用の記載はありません。

もちろん、バイアスピリンのように相互作用がみられている薬物もあるため、注意は必要です。


まとめ
タンパク質濃度の低下やタンパク結合の取り合いが起こっても、基本的に遊離型薬物濃度に大きな影響はでない。



 2017年2月3日

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