タクロリムスを成分とする2剤の違いは?
グラセプターとプログラフは共にタクロリムスを成分とする免疫抑制剤ですが、グラセプターはプログラフの徐放製剤です。
臓器移植時、コンプライアンス不良は臓器移植機能廃絶リスクを7倍にしていしまうとの海外のメタ解析の報告もあり1日1回で済むように開発されたとのこと。(グラセプターIF)
以下に臓器移植後に使用する場合の違いを記載。
適応 (赤字は共通している部分)
プログラフ
1.下記の臓器移植における拒絶反応の抑制 腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植
2.骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病の抑制
3.重症筋無力症
4.関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)
5.ループス腎炎(ステロイド剤の投与が効果不十分、又は副作 用により困難な場合)
6.難治性(ステロイド抵抗性、ステロイド依存性)の活動期潰 瘍性大腸炎(中等症~重症に限る)
7.多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎
※5㎎カプセルは1.2.6のみ
グラセプター
1.下記の臓器移植における拒絶反応の抑制 腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植
2.骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病の抑制
用法
プログラフ:1日2回 朝夕経口投与
グラセプター:1日1回 朝経口投与
用量
プログラフ:臓器ごとに違うため添付文書参照
グラセプター:腎移植は0.15㎎~0.2㎎/kg、肝移植は0.1㎎~0.15㎎/kg
その他の臓器は、「腎移植及び肝移植以外の新規臓器移植患者に対する 有効性及び安全性は確立されていない。」とのことで用量の記載なし。
インタビューフォームを見ると、臨床試験は基本的にプログラフからの切り替え例のためこのような記載になっていると思われる。
規格
プログラフ:0.5㎎、1.0㎎、5㎎グラセプター:0.5㎎、1.0㎎、5㎎
薬物動態(グラセプター添付文書より)
タクロリムスは吸収に個人差があるため投与量に幅があり、わかりにくいが、トラフ値、AUCともにグラセプターのほうがやや低い傾向にあるとのことだが、インタビューフォームを見ると、切り替えた場合でも有効性・安全性に差はない。
切り替え
プログラフからグラセプターに切り替える際、1日投与量は変更する必要なし。薬価
プログラフ0.5㎎:424.7円 グラセプター0.5㎎:524.1円プログラフ1㎎:750.3円 グラセプター1㎎:929.3円
プログラフ5㎎:2858.3円 グラセプター5㎎:3434.0円
共通注意点
吸収に個人差があり、かつ食事の影響もあるため、用法は経口投与となっているが患者ごとに一定にする。
赤血球分画に分布するため濃度測定は全血で行う。
朝・夕で吸収が変わるため服用時点を勝手に変えないようにする。(下図参考添付、グラセプター添付文書より)