ビクトーザ、トルリシティ、バイエッタ、ビデュリオンの比較

GLP-1製剤のHbA1c低下、体重減少、低血糖リクスの比較

GLP-1製剤

現在使用されているGLP-1製剤には以下の5種類がある。

・ビクトーザ(リラグルチド)
・バイエッタ(エキセナチド)
・リキスミア(リキシセナチド)
・ビデュリオン(持続性エキセナチド)
・トルリシティ(デュラグルチド)

ビクトーザ、トルリシティ、ビデュリオンは長時間作用、バイエッタ、リキスミアは短時間作用型に分類される。

用法・用量

・ビクトーザ:1日1回 朝or夕 0.3㎎~0.9㎎
・バイエッタ:1日2回 朝夕食前 1回 5ug or 10ug
・リキスミア:1日1回 朝食前 1回10~20ug
・ビデュリオン:1週間に1回 2mg
・トルリシティ:1週間に1回 0.75mg

GLP-1は消化管ホルモンの1つで、食事により小腸から分泌され、膵β細胞のGLP-1受容体を刺激することでインスリン分泌を促進します。

これらの作用は食事(血糖)に依存して起こるため、低血糖になりにくいと言われています。




GLP-1製剤はこのGLP-1のアナログ製剤です。
GLP-1は血糖降下作用のほか、インスリン抵抗性改善、グルカゴン分泌抑制、体重減少作用があると言われています。


今回は11の無造作比較試験に対して行われたメタ解析の結果をもとに、上記4薬剤のHbA1c低下作用、体重減少作用、低血糖のリスクについて比較してみました。
参考論文:Diabetes Obes Metab. 2017 Feb;19(2):228-238. doi: 10.1111/dom.12805. Epub 2016 Dec 5


・HbA1c低下作用

・ビクトーザ:0.06%(95%信頼区間:-0.06~0.18%)
・バイエッタ:0.01%(95%信頼区間:-0.11~0.13%)
・ビデュリオン:-0.31%(95%信頼区間:-0.42~ -0.19%)
・トルリシティ:-0.39%(95%信頼区間:-0.49~-0.29%)

※海外ではビクトーザの最大量が1.8㎎

ウィークリー製剤のビデュリオン、トルリシティにおいては顕著な低下がみられたが、ビクトーザ、バイエッタはHbA1c低下作用が見られなかった


・体重減少作用

・ビクトーザ1.8mg:-4.65kg(95%信頼区間:-5.08~-4.22kg)
・バイエッタ10ug:-4.31kg(95%信頼区間:-4.73~-3.90kg)
・ビデュリオン2mg:-2.85kg(95%信頼区間:-3.20~ -2.49kg)
・トルリシティ0.75mg:-1.98kg(95%信頼区間:-2.32~1.64kg)

※(ただし全てI2>50%のためばらつき大)

4薬剤全てで体重減少作用がみられているが、ばらつきが大きいため、どの薬剤が最も減少しているかの判断は困難。

また、GLP-1製剤は消化器系の副作用が大きいため、吐き気、食欲不振などによる体重減少も考えられる。

・低血糖リスク

  インスリングラルギン(ランタス)と比較した際のオッズ比

・ビクトーザ1,8mg:0.40(95%信頼区間:0.32~0.51 I2=96%
・バイエッタ10ug:0.87(95%信頼区間:0.84~0.89)
・ビデュリオン2mg:0.32(95%信頼区間:0.22~0.47 I2=33.2%
・トルリシティ0.75mg:0.54(95%信頼区間:0.49~0.60)


※海外ではビクトーザの最大量が1.8㎎

インスリングラルギンと比較すると、ビクトーザ、ビデュリオンで低血糖リスクが顕著に減少。

その他

・ビクトーザは通常のインスリンのように空打ちが必要。空打ち用の目盛りに合わせると0.12㎎消費されるため、日数計算するときは注意。

・ビデュリオンはペンタイプとシリンジタイプがある。共に操作はやや煩雑。(メーカーのパンフレット参照)

・トルリシティはキャップを外し、ロックを解除するだけなので操作はわかりやすい。使用後は自動で針も収納される。


以下は日経メディカルに記載されていた特徴

短時間作用型(バイエッタ、リキスミア)は食後血糖の降下作用が強く、強い体重減少効果が期待できる一方で、消化器症状(悪心など)の副作用が強い。

長時間作用型(ビクトーザ、トルリシティ)は空腹時血糖の降下作用が強く、体重減少効果は弱いが、消化器症状は比較的少ない

・ビクトーザで有意な心血管イベント抑制効果の報告あり

体重減少に関して上記の文献とは異なる部分もあるので参考までに。

まとめ

全てのGLP-1製剤で体重減少作用が確認できる。

低血糖リスクは通常のインスリン治療より低い。

HbA1c低下作用はウィークリー製剤のみで確認できた。

短時間型は食後血糖を、長時間は空腹時血糖をそれぞれ強く抑える。


参考:(日経メディカル2017.12.21 GLP-1受容体作動薬を選択すべき患者とは?)
 2017年2月5日

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