透析患者さんへのケフラール投与

ケフラールを透析患者さんに投与する際の用法・用量は?


透析患者さんに投与されている薬剤のうち、当薬局でよく目にし、健常人とは全く違う用法・用量になるものの1つに抗生剤のケフラールがある。


今回はケフラールについて考察するが、その前に全薬剤に共通して押さえておくべき点について簡単にまとめ。

透析患者さんに投与する薬物で押さえておく点

①代謝経路
 腎代謝型:吸収された薬剤のうち未変化体or活性代謝物30%以上が腎から排泄。
 肝代謝型:吸収された薬剤のうち未変化体or活性代謝物30%未満が腎から排泄。
 肝・腎代謝型:上記以外。
 ※注:この30%は目安であり、腎・肝代謝を明確に区別する基準はない。
 
透析患者さんに投与する際、腎代謝型であれば減量・投与間隔の延長が必要。
また、肝代謝を受け活性体となりその活性代謝物が腎排泄の場合もあるため注意。

尿中排泄率(未変化体or活性代謝物の腎からの排泄率)は、一度体循環(吸収されたもの)に入った量から求めたもので判断するように。(以前の記事参照


②タンパク結合率
 透析を行うと血液中の遊離型薬物は除去されるが、タンパク結合している薬物(結合型)は除去されない。
 タンパク結合率が90%以上だと透析で除去されにくいといわれいる。
 
③分布容積
 分布容積が2L/kg以上の薬物(組織移行性が大きい)は透析で除去されにくい。


上記内容を踏まえ、実際の処方を解析。


ケフラールカプセル250㎎(セファクロル)


 健常人 :1日3Cap(750㎎)を分3
 透析患者:1日2Cap(500㎎)を分1or分2(透析日は透析後) 
 透析除去率:33%
 代謝経路:90%以上腎代謝(動物にてBA:77-89%,尿中排泄70%より)
 タンパク結合率:23%

添付文書には重度の腎機能障害患者に対しては投与量を減らすor投与間隔をあけるとしか記載がない。上記用法はメーカーが臨床成績より推奨しているもの。

90%以上腎代謝のため、仮に透析をしなければ除去されないと考えると血中濃度推移は下記図のようになる。(矢印部分は各用量を投与した際のCmax)

服用は分1でも分2でもよいとのことだが、個人的には点線が有効血中濃度だとすると分1のほうが効くのではないかと思う。(もし250㎎で有効濃度にいくのなら1日1Capでいいと思う。)





抗生剤は腎排泄型(肝代謝なのはマクロライド、テトラサイクリン)が多いためどれも注意が必要です。

次回は同じセフェム系のフロモックス(セフカペンピボキシル)について考察予定。

 2017年1月25日

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