ワーファリンからイグザレルト、
イグザレルトからワーファリンへ変更時の注意
抗凝固薬は主に心房細動による塞栓症の予防及び深部静脈血栓の発症予防に用いられます。
臨床試験において直接トロンビン阻害薬(DOAC)の効果は、ワーファリンと同等かそれ以上、出血リスクは同等かそれ以下、頭蓋内出血が大幅に低下するとなっています。(心房細動治療ガイドライン2013)
ワーファリンはPT-INRでの管理が必要なため、患者さんの負担になります。
また、ワーファリン服用中はビタミンKを含む飲食物も制限されてしまいます。
上記より、ワーファリンからDOACへ切り替えが行われることがありますが、切り替える際は、休薬期間が必要なため、服薬指導の際は注意が必要です。
DOACには以下の薬剤があります。
DOACの種類
・イグザレルト(ロバーロキサン)
・リクシアナ(エドキサバン)
・エリキュース(アピキサバン)
・プラザキサ(ダビガトラン)
ワーファリンからDOACへ切り替える際は、休薬期間が必要なため、服薬指導の際は注意が必要です。
添付文書上では、全てのDOACにおいてワーファリンから切り替える際はPT-INRを測定し、下限以下になってからDOACを投与することなっていますが、実際の投与を見るとPT-INRを確認せず切り替えが行われている場合もあります。
このような場合、どの程度休薬期間をとるべきか、今回はイグザレルトについて調べました。
ワーファリン→イグザレルト
休薬期間:以下のデータより2-3日(メーカー回答)
ワーファリンの半減期は投与量(1~5㎎)により55~133時間と幅があるが、
抗凝固効果は投与後12~24時間目に発現し、十分な効果は 36~48 時間後に得られ、その効果はその後48~72 時間持続する。(インタビューフォーム)
※PT-INRの目標値は2-3(年齢・適応により異なるため要確認)
もちろん本来はPT-INR測定により判断すべきことなので、メーカーとしては推奨はできないとのことでした。
また、ワーファリン服用中にPT-INRがコントロール不良の場合、上記より休薬期間が延びたり、逆にすぐ服用開始となる場合もあるため注意。
イグザレルト→ワーファリン
ワーファリンとイグザレルトを併用後、PT-INRが目標範囲に入ってからイグザレルトを中止。(添付文書)
PT-INRの測定がされないと思われる場合は2日間併用後、ワーファリンを中止。(上記効果発現時間より判断)
参考
薬価に関してはワーファリンが圧倒的に安いため、患者さんによってはワーファリンを希望される方もいます。
ワーファリン1.0㎎錠:9.6円
イグザレルト10㎎:383円(1日1回)
リクシアナ30㎎:538.4円(1日1回)
プラザキサ75㎎:136.4円(1日2回)
エリキュース2.5㎎:149円(1日2回)