副鼻腔炎に使用する抗生剤

副鼻腔炎の原因菌と抗生剤


急性鼻副鼻腔炎はウイルス感染が発端となることが多いが、数日後には細菌感染に移行する事が多い。

主な原因菌は肺炎球菌、インフルエンザ菌となっている。


副鼻腔炎の原因菌と割合

・肺炎球菌 20-30%
・インフルエンザ菌 20-30%
・黄色ブドウ球菌 10%
・モラキセタ・カタラーリス 10-20%

※1997年、小児急性鼻副鼻腔炎の上顎洞穿刺により得られた上顎洞貯留液 131 株中、肺炎球菌 40.4%、インフ ルエンザ菌 42.7%、黄色ブドウ球菌 8.6%、モラクセラ・カタラーリス 3.8%、溶連菌 2.2% (日鼻誌 53 (2),2014)

原因菌の特徴は以下の通り。

肺炎球菌

・グラム陽性球菌。
第一選択薬はアモキシシリン
40-50%がペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)
・PRSPによる副鼻腔炎にはオーグメンチン、高用量ペニシリン、第3セフェム。
・多剤耐性菌も確認されている。
・マクロライド耐性(MRSP)は85%。

インフルエンザ菌

・グラム陰性球桿菌。
第一選択薬はアモキシシリン
・アモキシシリンの耐性化は進行。
・βラクタマーゼ産生アンピシリン耐性(BLPAR)に対してはオーグメンチンor第3セフェムが有効。
・βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性(BLNAR)に対しては第3セフェムが有効。

BLNARの割合は20-40%程度

もちろんキロノン系は肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、モラキセラすべてに対して有効。

耐性菌について

肺炎球菌の薬剤感受性はアメリカ臨床検査標準委会(NCCLS)の基準により、ペニシリンGの最小発育阻止濃度(MIC)に基づき定義されている。

肺炎球菌はペニシリンGの感受性に基づき以下のように分類されている。

PSSP(感受性):MIC 0.06mg/mL 以下
PISP(中等度):MIC 0.125~1.0mg/mL
PRSP(抵抗性):MIC 2mg/mL 以上

このように定義されているため、あとに記載するように、ペニシリン耐性菌でも高用量にすることで効果がみられる場合がある。



 2017年3月1日

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