ロイコボリンとユーゼルの違い

ホリナートを主成分とする2剤の違い


ロイコボリン

成分:ホリナートカルシウム(LV)
規格:5㎎、25㎎
適応:5㎎…葉酸代謝拮抗薬の毒性軽減
   25㎎…結腸・直腸癌に対するテガフール・ウラシル(UFT)の抗腫瘍効果増強
薬価:814.5円/5mg 2229.8円/25mg(H28年改定時)


ユーゼル

成分:ホリナートカルシウム(LV)
規格:25㎎
適応25㎎…結腸・直腸癌に対するテガフール・ウラシル(UFT)の抗腫瘍効果増強
薬価:2264.5円/25mg(H28年改定時)


ロイコボリン、ユーゼルは共にホリナートカルシウム(別名ロイコボリンカルシウム)を主成分とする薬剤。

25㎎錠に関しては適応は同じで、抗がん剤の作用増強目的で使用される(UFT/LV療法)。薬価が微妙に違う。

ロイコボリンの5㎎はメトトレキサート等の副作用軽減に使用される。


ホリナートの作用機序

抗がん剤の作用増強過程


テガフールは5-FUのプロドラッグであり、生体内で5-FUとなる。

その後、5-FUはFdUMPとなり、チミジル酸合成酵素(TS)に結合することでDNA合成を阻害(=抗がん作用)する。

FdUMPがTSに結合するにはホリナートの代謝物である5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10-CH2-THF)が必要であるため、5-FUとホリナートを併用することでUdUMPがTSと結合しやすくなり、DNA合成阻害作用が増強される。



メトトレキサートの副作用軽減


メトトレキサートはジヒドロ葉酸レダクターゼを阻害することで、最終的に葉酸が活性体(THF)になるのを抑制する。

THFはDNA合成に必要な成分であるため、THFの産生が抑制されることでDNA合成が阻害される。

ロイコボリンはジヒドロ葉酸レダクターゼには関与せず、細胞の葉酸プールに取り込まれ、THFとは別の活性体(5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸)となり、細胞の核酸合成を再開させる。



メトトレキサートの副作用予防に適応があるのはロイコボリンだが、通常フォリアミンが使用されることが多い。(薬価が安く、有効性も示されているため)

フォリアミンは葉酸であり、メトトレキサートの副作用を軽減する薬剤。

メトトレキサートが過剰となっている場合葉酸では効果がみられない場合があるため、このような場合は別ルートで葉酸活性体を補充できるロイコボリンが効果的。

ガイドラインでは通常は葉酸、重篤な副作用発現時はロイコボリンを使用するように記載されている。

フォリアミンは薬価9.6円/5mgとホリナートより各段に安価。


 2017年3月13日

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