休薬期間の意味と必要のない薬剤
女性ホルモン
卵胞刺激ホルモン(FSH)
・下垂体より分泌される。
・卵胞を成熟させる。
・成熟した卵胞より卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌されるようになる。
・排卵後も分泌され、黄体形成を促進する。
黄体形成ホルモン(LH)
・排卵を起こす。
・排卵後も分泌され、黄体形成を促進する。
※LH,FSH合わせてGn(ゴナドトロピン)と呼ばれ、Gn-LHはLH-RHとFSH-RHのこと。
卵胞ホルモン(エストロゲン)
・卵胞より分泌される。
・乳腺の成熟、子宮内膜の増殖。
・黄体ホルモンが働くための準備。
・エストロゲンが減少すると更年期障害症状がみられる。
・少量存在するとネガティブフィードバックによりGn-RH(ゴナドトロピン放出ホルモン)の分泌を抑制→Gn分泌抑制。
・過剰に存在するとポジティブフィードバックによりLH-RHを分泌→LHサージ→排卵となる。
黄体ホルモン(プロゲステロン)
・黄体から分泌される。
・未成熟な卵胞の成熟を阻止。
・子宮粘膜に作用し粘液分泌増加。
・子宮内膜の増殖。
・未成熟な卵胞の成熟を阻止。
・子宮粘膜に作用し粘液分泌増加。
・子宮内膜の増殖。
・排卵を抑え、子宮筋の運動を抑制して子宮を安静化する。
月経周期
ホルモン製剤
卵胞ホルモン(エストリール、プレマリン etc)
・卵胞ホルモン減少に伴う更年期障害等に使用。
・単剤では子宮体癌や子宮内膜過形成の恐れがあるため、通常黄体ホルモンと共に服用する。
・子宮がない場合は単剤で問題ない。
黄体ホルモン(プロゲストン、ヒスロン、ディナゲスト etc)
・性周期の安定化、高用量で乳がん・子宮体がん治療、卵胞ホルモン投与時の子宮体癌等の予防として投与する。
・投与方法は卵胞ホルモン毎日+黄体ホルモン10-14日間→2週間休薬、又は両方連日投与といった方法がある。
・前述の服用方法の場合、黄体ホルモンを飲み終えるころに出血が起こる。
卵胞ホルモン+黄体ホルモン(ルナベルLD/ULD、ヤーズ/ヤーズフレックス etc)
・少量の卵胞ホルモン+黄体ホルモン。
・原則として月経第1~5日目に服用を開始。
・ルナベルは21日投与後7日間休薬。(ヤーズは28錠中白色錠剤4日分はプラセボ)
・低用量の卵胞ホルオン、黄体ホルモン(薬剤由来)の存在によりエストロゲン、プロゲステロン、FSH、LHが抑制され、子宮内膜の増殖や卵胞の成熟、排卵が抑制される。
※ルナベルULDは卵胞ホルオンに当たるエチニルエストラジオールをルナベルLDよりさらに減らし、血栓等のリスクを軽減したもの。
※ヤーズにはヤーズフレックスという薬剤がある。
成分は全く同一だが1シート28錠中、ヤーズは4錠はプラセボ(休薬期間)、フレックスはプラセボなしで最長120日連続で服用可能。
月経痛について
月経時、経血排出のためには子宮収縮が必要であり、そのためにプロスタグランジンが増加することで痛みが生じる。経血≒子宮内膜が剥がれ落ちるたものなので、ホルモン製剤服用により子宮内膜増殖を抑制できればプロスタグランジン類の産生も抑えられ、痛みを抑制できる。
月経痛にはプロスタグランジン抑制作用のあるNSAIDsを用いたり、ホルモン製剤により月経を軽くする。
黄体ホルモンだけで月経痛を改善できるが、卵胞ホルオンは黄体ホルモン受容体を誘導する効果があるため、少量配合することで黄体ホルモンの効果を増強する。
作用機序と休薬期間
ルナベルやヤーズ内服中は、通常のエストロゲン、プロゲステロンの増加が抑えられ、点線のような状態になる。
これにより子宮内膜増殖抑制(月経痛の緩和)、排卵抑制が起こる。
休薬するとエストロゲン、プロゲステロンは正常値に戻り、通常の月経が起こる。
休薬期間をとることで月経を起こし、通常の体に近い状態にすることができる。
エストロゲン含有製剤の場合、血栓のリスクにもなるためなるべく服用量は少ないほうが良いと考えられている。
これにより子宮内膜増殖抑制(月経痛の緩和)、排卵抑制が起こる。
休薬するとエストロゲン、プロゲステロンは正常値に戻り、通常の月経が起こる。
休薬期間をとることで月経を起こし、通常の体に近い状態にすることができる。
エストロゲン含有製剤の場合、血栓のリスクにもなるためなるべく服用量は少ないほうが良いと考えられている。
休薬が絶対必要というわけではない。(ヤーズフレックスは120日=3サイクル連日服用できるし、ディナゲストやプロゲストンは連日投与できる)
参考
ルナベルLDインタビューフォーム
ヤーズインタビューフォーム
参考
ルナベルLDインタビューフォーム
ヤーズインタビューフォーム