半減期何回で体内から消失? 定常状態までは?

半減期と投与間隔から定常状態の有無、定常状態到達時間を計算

定常状態とは

大体の薬の効果は血中濃度により推測できる。

ただし、組織移行性が大きかったり、血中から消失後も効果を示す薬剤もあるため全てに言えるわけではない。(ex:スタチン系、ビスホスホネート製剤など)

例外を除き、安定して効果を持続させるためには常に一定量血中に存在しなければならない

この一定量安定して存在している状態を定常状態という。

定常状態になる薬とならない薬

Ritchel理論

① 投与間隔/半減期 ≦ 3  ➡ 定常状態になる

② 投与間隔/半減期 ≧ 4 ➡ 定常状態にならない

(半減期の5倍の時間にわたって連続して投与する場合を前提とする。)

ex1) T1/2=8.0hのリピトールを1日1回投与した場合。

投与間隔=24h となるので

投与間隔/半減期 = 24/8 = 3 となり、①に該当するため定常状態になる

ex2) T1/2=2.0hのカロナールを1日3回投与した場合。

理想的に分3で服用すると 投与間隔=8.0h となるので

投与間隔/半減期 = 8/2 = 4 となり、②に該当するため定常状態にならない。

※わかりやすくカロナールの半減期を2hにしたが、実際は2.5h前後のため分3で定常状態になる。

アムロジピンはT1/2=35hなので1日1回でも24/35=0.7と余裕で定常状態になる。

1日1回の薬剤は半減期が8時間以上で定常状態になる。
1日2回の薬剤は半減期が4時間以上で定常状態になる。
1日3回の薬剤は半減期が2.7時間以上で定常状態になる。


体内からの完全消失

通常、半減期の4~5倍の時間を経過すると体内からほぼ消失したと考える。

半減期を5回繰り返すと、(0.5)5=0.03125 であるため、投与量の3%近くまで低下する。


定常状態までの所要時間

通常、半減期の4~5倍の時間で定常状態に達すると言われている。

高野原中央病院DIニュース2016年11月号より
初回投与後、1半減期を経過したときには、血中濃度は最高血中濃度の半分に低下しているので、体内薬物量も半分になる。2回目の投与後、2半減期を経過したときには、 初回投与と2回目投与の分の残りがあるので、最高血中濃度の薬75%が残っている。このように、3半減期経過では87.5%、4半減期経過で最高血中濃度の約94%に達し、5半減期目の投与でほぼ100%定常状態になる

例)ちょうど半減期ごとに追加投与した場合
1回目投与:50mg/ml (Cmax)
1回目半減期:25mg/ml

2回目投与:25+50=75mg/ml
2回目半減期:75÷2=37.5mg/ml

3回目投与:37.5+50=87.5mg/ml
3回目半減期:87.5÷2=43.75mg/ml

4回目投与:43.75+50≒93.8mg/ml
4回目半減期:93.75÷2≒46.9mg/ml

5回目投与:46.875+50≒96.9mg/ml
5回目半減期:96.875÷2≒48.4mg/ml

・・・

4~5回目でほぼ値は安定して、定常状態となる。


血中濃度半減期より短い投与間隔で投与したとすると、高い血中濃度で定常状態に達するだけで、定常状態到達時間は半減期の4~5倍であることに変わりない。 

血中濃度半減期より長い投与間隔で投与した場合は、半減期の4倍以内であれば定常状態が達成されるが、定常状態到達時間は延長する。


まとめ


・投与間隔/半減期 ≦ 3  ➡ 定常状態になる
・投与間隔/半減期 ≧ 4 ➡ 定常状態にならない
・半減期×4~5 = 定常状態到達までの所要時間
 2017年3月21日

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