動脈硬化や心疾患に関わるFGF-23に対するリオナの効果
FGF-23について
FGF-23とは
FGF-23(Fibroblast Growth Factor-23)とは骨細胞から分泌されるリン抗利尿ホルモンであり、腎臓においてリン排泄促進や活性型ビタミンD抑制に関与している。
リンの値が高くなると、リン排泄を促進するためにFGF-23が分泌されるが、透析患者ではリン排泄ができないため、さらにリン排泄を促進させようとFGF-23が過剰に分泌される。
上記機序によりFGF-23が上昇すると、高リン血症、副甲状腺機能亢進を引き起こし、動脈硬化、感染症、心肥大、肝炎症等のリスクとなる。
上記機序によりFGF-23が上昇すると、高リン血症、副甲状腺機能亢進を引き起こし、動脈硬化、感染症、心肥大、肝炎症等のリスクとなる。
ある臨床試験では腎障害患者において、FGF-23を50%以上低下させると総死亡率が優位に改善したとの報告がある(EVOLVE研究)
FGF-23を下げる方法
FGF-23はP×Ca濃度と相関性がある。
リン濃度を下げるだけでなく、血中カルシウム濃度を下げることでFGF-23値を下げることができる。
よって、高リン血症治療薬として沈降炭酸カルシウムを使うより、リオナのほうがカルシウム負荷を軽減できるためFGF-23値を効率よく改善できる。
リオナに関しては、リン濃度・カルシウム濃度の変化に関係なくFGF-23値の低下がみられた試験もある。
リオナとFGF-23
リオナによるFGF-23低下作用
リオナによるFGF-23低下作用は、リン濃度低下作用に起因するものだけでない。
リオナとセベラマー(ともに非Ca含有製剤)を比較した試験において、リン濃度の変化が同程度の場合でもリオナ群において優位にFGF-23が低下した。(Iguchi,Nephron 131:161.2015)
この結果はリオナによる鉄の補充が関与していると考えられている。
FGF-23は鉄欠乏状態でも上昇することが知られている。
鉄剤とFGF-23の関係
鉄欠乏において上昇してしまうFGF-23だが、フェジンやフェロミアで鉄を補充しただけではFGF-23の優位な低下はみられない。
フェジンなどの鉄剤はFGF-23の産生を抑制するだけでなく、分解も抑制してしまう。
一方リオナは分解を抑制しないためFGF-23低下作用が大きいと考えられている。
Ca含有量製剤 VS 非Ca含有製剤
あるメタ解析では、非Ca含有製剤はCa含有製剤と比較し、石灰化・総死亡率ともに優位に低かった。
FGF-23に関しては、リオナではFGF-23値が40%低下したが、酢酸カルシウムにおいては全く改善がみられなかった。(clim J Am Soc Nephron)