エピペンは冷所(冷蔵庫)にいれちゃダメ? 添付文書とIFに注意
海外で注射針が出ない不具合が見つかり、回収騒動が起きているエピペン。そんなエピペンの保存方法をご存知でしょうか?
結論から言いますと、冷所は禁止、15-30℃で保存。
そんなこと言われなくても知っていると思う方もいらっしゃると思いますが、添付文書やインタビューフォームを見るとこの答えにたどり着きません。
上記はいろいろ調べメーカーに最終確認をした結果です。
以下保存方法で混乱した経緯と各種資料の記載内容。
患者さん用パンフレット
エピペンにはファイザーさんが作成した患者さん用パンフレットがあります。(エピペンガイドブック)こちらを確認すると、保管方法は15-30℃、冷蔵庫には入れないようにとなっている。
患者さんにこれをしっかり渡していれば問題はなさそう。
添付文書の保存方法
添付文書を見ると「貯蔵:室温、遮光」と記載があります。室温は1~30℃です。
室温で遮光となると冷所(冷蔵庫)も可能だと思うのですが…
添付文書を読み進めていくと、使用上の注意の(5)に以下の記載が…
⑸本剤は15℃~30℃で保存することが望ましいので、冷所または日光のあたる高温下等に放置しないこと。
冷所に放置しないこと???
貯蔵:室温 なのに???
と、矛盾している。
インタビューフォーム
記載がどうであれ、とりあえず冷所(うちの冷所は4℃)でも安定ならいいんじゃないかと安定性を確認。
25±2℃/60±5%相対湿度(RH)及び 2-8℃(機能試験のみ)で保管したサンプルについては 22 ヵ月間まで、また
40±2℃/75±5% RH(機能試験のみ)で保管したサンプル
については6ヵ月間まで、化学、機能及び微生物試験を実施した。本試験の結果は安定しており、20ヵ月間の規格に適合している。
上記はエピペン0.3mgでの試験だが、0.15㎎でも19か月間の規格に適合と記載されている。
2-8℃保存では機能試験のみ実施となっている。
機能試験とは簡単にいうと、注射器がちゃんと作動するか調べる試験。
以下はPMDAガイドラインより抜粋
投与システムの機能性試験
予め薬液を入れた注射筒、自己注射用カートリッジ、あるいはそれらと同等のものに充填され た注射剤には、投与システムの機能性についての試験方法と判定基準を設定する必要がある。
要は成分に関してみるものではないということ。
では、成分が冷所で不安定なのかというとそういう訳ではない。
成分の安定性についてIFに記載はないが、冷所でも問題なかったとの回答を得た。
インタビューフォームと添付文書に関してメーカーに質問
上記2つより、機能性も問題無く、有効成分も問題ないなら別に冷所でもいいのでは?? と質問すると、
2-8℃の保存でエピペン0.3㎎では100本中1本、エピペン0.15㎎では66本中12本に不具合が生じたとのこと。
なぜその情報が記載されていないのでしょう・・・
インタビューフォームの機能試験で問題なしという記載がおかしいことになる。
添付文書の記載は室温で、IFも機能性問題ないって書いてあるのは直さないのか聞くと、今後の参考にさせていただきますとのこと。
なんだかもやもやしたままでしたが、とりあえず15-30℃で保管しましょう。