スインプロイク:オピオイド誘発性便秘治療薬

スインプロイク(ナルデメジン)と普通の下剤は何が違う? カフコデやフスコデ処方時にも処方可能?

スインプロイクは2017.3.30に承認を得た新薬です。
2017.6月から発売開始になりました。

オピオイド鎮痛薬を服用している人の40~80%に便秘が見られるそうです。

これは末梢(消化管)にあるオピオイド受容体(μ2)を刺激してしまうことで、アセチルコリン遊離抑制による蠕動運動抑制及びセロトニン遊離促進による平滑筋緊張増加により引き起こされます。

オピオイドによる副作用のうち、呼吸抑制や吐き気は耐性ができるためだんだん良くなることが多いのですが、便秘は耐性が作られないため、患者さんによっては継続的な下剤の投与が必要になります。

スインプロイクは刺激系下剤や塩類下剤と異なり、オピオイド鎮痛剤による便秘に対してのみ適応をもった薬剤です。

基本情報

成分:ナルデメジン
適応:オピオイド誘発性便秘
用法:1日1回 1回1錠(0.2㎎)
副作用:下痢(21.9%)

作用機序

一言でいうと、中枢のオピオイド受容体は阻害せず、末梢のオピオイド受容体のみを阻害する薬剤です。

少し詳しく…

血液脳関門透過性

通常鎮痛作用は中枢のオピオイドμ受容体刺激により起こりますが、モルヒネやオキシコドンなどは同時に末梢のオピオイド受容体も刺激してしまいます。

そこで血液脳関門を透過しにくくし、末梢のオピオイド受容体のみを遮断すれば便秘のみを改善できるのではないか?と考え作られたのがスインプロイクです。

スインプロイクはその構造上に大きな側鎖を付けることで血液脳関門を通過しにくくしてます。

構造

実際、ラットによる放射性同位体を用いた分布試験において、脳内から放射能は検出されなかったとのことから、血液脳関門を通過する可能性は極めて低いと考えられています。

これにより、中枢には移行せず、末梢のみで作用するため、オピオイド鎮痛剤の鎮痛作用には拮抗せず、便秘を改善することができます
ラットを用いた実験でもスインプロイク投与による鎮痛作用低下は見られていません。

ちなみにスインプロイクはオピオイドμ、δ、κすべての受容体を遮断します。

臨床成績

オピオイド服用者で排便が周回以下の患者に対して行われた試験では、SBM(自発的排便)レスポンダー率※が、プラセボで34.4%、スインプロイクで71.1%の患者さんで見られた。

※:この試験では週3回以上排便があり、かつ服用により1回/週以上の排便回数増加がみられた人の割合。


副作用

下痢が各試験で19~22%と大半を占めています。
次が腹痛で6%です。

その他現時点では目に留まる部分はありませんでした。


薬物動態

CYP3A4で阻害されるためイトラコナゾール等は併用注意。

過量投与により、(血液脳関門を通過し?)オピオイド離脱症状がみられたため、不安、悪心、眠気等の症状がみられる場合には注意。

食後投与でCmax35%低下、Tmaxが2.5時間に延長(空腹時は0.75時間)したが、AUCは変化なし。


粉砕可否

麻薬が必要な患者さんということで、嚥下も難しい患者さんもいるかもしれないということで調べてみました。

25℃、湿度60%、褐色便(遮光)で1か月後
質量、含量は規格範囲内、類縁物質の増加が規格範囲外

これをもとに薬局で判断してくださいと言われました。
成分含量は規格内なので効果問題なさそうです。


現時点では刺激性下剤のように下剤に対する耐性もなさそうな感じですね。

オピオイド鎮痛剤による便秘で悩んでいる患者さんの救世主になりそうでしょうか?

まだ薬価収載されていないのですが、なんかとってもいい値段が付きそうで怖いですが…
薬価1錠272.1円(2017年)とのことでやはり高い。
リンゼスより高く、アミティーザより安い。
カマ、センナリドとかは比較になりませんね。


リンコデ、カフコデ、フスコデ処方時のスインプロイク

オピオイドによる便秘といわれると鎮痛剤のイメージですが、カフコデやフスコデにもオピオイドに分類されるジヒドロコデインが含まれている。

この場合の便秘に対してもスインプロイクは処方可能。
(スインプロイクの適応はオピオイド誘発性便秘となっており、オピオイドが何に使われているかは問わないそうです:メーカー確認)

 2017年4月23日

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