ケイキサレートとアーガメイトの違い

ナトリウム負荷のケイキサレートとカルシウム負荷のアーガメイトの使い分け カリウムの交換容量の違い


腎不全になるとカリウムの排泄ができなくなり、高カリウム血症になりやすくなります。

カリウムは神経伝達に関わっているため、高カリウム血症になると不整脈、しびれ、場合によっては心停止を起こす可能性があるので厳密なコントロールが重要です。

高カリウム血症の症状

・脱力感
・しびれ
・不整脈
・吐き気

※高度にならないかぎり無症候であることが多い。

このカリウム排泄を促進してくれる薬剤に、
ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを成分とするケイキサレートと、
ポリスチレンスルホン酸カルシウムを成分とするアーガメイト
があります。

高カリウム血症治療薬

ポリスチレンスルホン酸ナトリウム製剤
・ケイキサレート(散、76%ドライシロップ)

※ケイキサレート散1包=76%ドライシロップ2包=成分量5g

ポリスチレンスルホン酸カルシウム製剤
・カリメート(20%経口液、散、92.59%ドライシロップ)
・アーガメイト(20%ゼリー、89.26%顆粒)

※全て1包成分量が5gになっている。

カリウム交換容量の比較

ケイキサレート
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム1g当たりカリウム2.81~3.45mEqと交換
(ケイキサレートインタビューフォーム)

カリメート、アーガメイト
ポリスチレンスルホン散カルシウム1g当たりカリウム1.36~1.82mEqと交換
(アーガメイトインタビューフォームより概算)


アーガメイトゼリーはカリメートより薬価が高いが、分類は後発品。
でも剤形違うのでカリメートから変更は不可
→カリメート経口液からは変更可能。(こちらの記事にまとめました。)


交換容量はケイキサレートのほうが優れている
1日投与量は成分量として全て30g(PCPは15-30g)なので、ケイキサレートのほうが効果が高そうですが、後述するようにカリウム低下作用に大きな差はない。


それでは本題の違いです。

作用機序、電解質への影響比較

上記薬剤は両方とも陽イオン交換樹脂であり、腸管にてナトリウム又はカルシウムがカリウムと置き換わることでカリウムを糞便と共に排泄される。

ケイキサレート:ナトリウムがカリウムと置き換わる。

アーガメイト:カルシウムがカリウムと置き換わる。

なので、
ケイキサレートでは体内にナトリウムが残されます。
アーガメイトでは体内にカルシウムが残されます。

さて、どっちがいいんでしょう?

ナトリウム負荷とカルシウム負荷

ナトリウム負荷で問題になるのは血圧上昇。
カルシウム負荷で問題になるのは血管などの石灰化

腎不全によりリンとカルシウムが上昇すると石灰化が起こる。

だから高カルシウムの患者さんには沈降炭酸カルシウムに代わって、リオナ、キックリンとかレグパラが使用される。

ただし、腎不全によりビタミンD活性化ができず低カルシウムとなっている患者さん(その後、2次性副甲状腺機能亢進症となり高カルシウムとなることが多い)もいるため一概にカルシウム負荷を避けるほうが良いという訳ではないよう。


ナトリウム負荷による血圧への影響はどうなんでしょう。

副作用報告を見ても血圧上昇は頻度不明。

ってことでナトリウムやカルシウムの影響をもうちょっと詳しく調べてみました。


Compared effects of calcium and sodiumpolystyrene sulfonate on mineral and bone metabolism and volume overload inpre-dialysis patients with hyperkalemia.

PSP(ケイキサレート)とCSP(アーガメイト)を比較した試験

対象:20人の透析予備群
デザイン:ランダム化クロスオーバー試験
方法:PSP、CSPを4週投与後のK,Ca,Mgを比較。
結果:K値低下作用は両群で大差なし。Ca値はPSP(ケイキサレート)で優位に低下。Na値とANPはPSP(ケイキサレート)で上昇。



こっちはカリウムの他血圧やその他副作用について

Treatment of hyperkalemia in patients with chronic kidney disease: a comparison of calcium polystyrene sulphonate and sodium polystyrene sulphonate.

同じくPSP(ケイキサレート)とCSP(アーガメイト)を比較した試験

対象:97人のCKD患者
デザイン:ランダム化比較試験
方法:PSP、CSPを約1年間投与後のK値、副作用等の比較。
結果:K値低下作用は差なし(PSP:5.8→4.8、CSP:5.8→4.3)、拡張期血圧がSPS群で上昇(p=0.004)、収縮期は差なし。問題となる副作用は両群ともなし



ということです。
ナトリウム入ってるんだからSPSでNa上昇するのは当たり前なんでしょうが、血圧の影響は少ないようです。

これらの文献において主作用のカリウム低下作用は差ないようですね。


最後に副作用をササッと比較。

副作用の比較


問題となる副作用はなしってことですが、アーガメイトでは便秘(8.3%)が高頻度で見られます。
吐き気も6.3%と消化器系副作用が多いですね。

これに対し、ケイキサレートでは便秘1.9%とかなり少ないです。
でも論文にもあったように、低カルシウム血症が1.7%と結構見られています。

ケイキサレートはカリウム⇔ナトリウムの交換だけでなく、カルシウム⇔ナトリウムの交換も行ってしまうためカルシウムが低下することがあります。

カルシウムを下げたい人にはいいのかも。


透析患者さんだと水分制限や抗リン剤で便秘になっている人も多いので、この辺も考えられるといい気がします。



まとめ

カリウム値低下作用は両剤で大差なし。
(カリウム交換容量はケイキサレート1g=アーガメイト、カリメート2g)

ケイキサレートでやや拡張期血圧上昇の報告もあるが、大きな問題となるほどではない。

ケイキサレートの副作用:カルシウム値低下

アーガメイトの副作用:便秘、吐き気

 2017/04/29

関連記事