オパルモンとドルナーの違い

オパルモンとドルナーは使い分けされているのか?

先日オパルモン(リマプロストアルファデスク)からドルナー(ベラプロストナトリウム)に変更になった患者さんがいました。

この方はずっとオパルモンを継続していましたが、血流障害悪化により足に潰瘍ができてしまいドルナーに変更となっていました。

この2剤の使い分けは何かあるのでしょうか。


基本情報

オパルモン(リマプロストアルファデスク)

適応
1.閉塞性血栓血管炎に伴う潰瘍、疼痛および冷感などの虚血 性諸症状の改善
2.後天性の腰部脊柱管狭窄症(SLR試験正常で、両側性の間 欠跛行を呈する患者)に伴う自覚症状(下肢疼痛、下肢しび れ)および歩行能力の改善

用法
1日15~30μg 分3

ドルナー(ベラプロストナトリウム)

適応
1.慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善
2.原発性肺高血圧症

用法
1日60~120μg 分3


オパルモンには脊柱管狭窄症の適応、ドルナーには肺高血圧症の適応があるといった違いはあります。(ただし、それぞれ適応がないだけで有効性はある。)


臨床成績

オパルモン

二重盲検比較試験の成績
今回の患者さんでみられた潰瘍の改善は56.5%

ドルナー

二重盲検比較試験の成績

こちらは64%でオパルモンよりやや優勢。


作用機序の比較

オパルモン

末梢血管拡張による血流量増加作用及び血小板凝集抑制作用を有する生理活性物質プロスタグランジンE1PGE1を、経口で投与可能にしたPGE1誘導体製剤。

ドルナー

末梢血管拡張による血流量増加作用及び血小板凝集抑制作用を有する生理活性物質プロスタグランジンI2(PGI2を、経口で投与可能にしたPGI2誘導体製剤。


特に特徴はなさそうな…


冒頭で述べたように、ドルナーは肺高血圧への適応があり、肺血管の拡張も期待できるようですが、オパルモンでも同様の効果は見られると思われる。
(Br Heart J. 1991 Aug;66(2):175-8.)

逆に、脊柱管狭窄症に対してドルナーは有効とされている。
日大医誌71(2):116-122(2012)
ただ、これによると第一選択薬は3環系うつ薬、リリカだそうで


副作用に関しても、どちらも頻度の高いものや重篤な副作用は少ない。

潰瘍に対する有効性でややドルナー優勢ってことで切り替えたのでしょうか。

今のところ使い分けはそんなにないんじゃないかと思っています。

 2017年5月16日

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