カロナールとロキソニンの強さ比較

カロナール(アセトアミノフェン)はどの程度痛みや熱に効くのか?

カロナールは小児でも使えるマイルドな鎮痛・解熱剤というイメージが強いかもしれませんが、鎮痛作用は意外と優秀です。

今回はロキソニン(ロキソプロフェン)などのNSAIDsと比較してカロナールはどの程度痛み・発熱に有効なのか調べてみました。

鎮痛作用の比較

腰痛

腰痛に対するアセトアミノフェンの効果について、腰痛診療ガイドライン※1上では以下のようにまとめられている。


腰痛診療ガイドライン2012の記載

・NSAIDsと共に第一選択薬。
(海外のガイドラインではアセトアミノフェンが第1、NSAIDsは第2選択のものが多い)※8

・鎮痛作用はNSAIDsとの6つのRCT(ランダム化比較試験)中、急性腰痛に対する5つのRCTでNSAIDsと同等、慢性腰痛に対する1つのRCTでNSAIDsには劣るとの結果。

・腰痛に限らずすべての筋骨格系疾患に対して、アセトアミノフェンはやや劣るとの結果。

・副作用に関してはNSAIDsのほうがリスクが大きく、上記6つのRCTにおいてアセトアミノフェンによる肝機能障害の報告はなし。(NSAIDsは3-23%が副作用により中断)


※2019年にガイドライン更新
急性腰痛に対しNSAIDsは推奨1,エビデンスA、カロナールは推奨2,エビデンスD、慢性腰痛に対しNSAIDsは推奨2,エビデンスB、カロナールは推奨2,エビデンスDとなっており、NSAIDsのほうが推奨度、エビデンスともに高くなっている。





慢性疼痛治療ガイドラインの記載

2018年3月に厚生労働省行政推進事業として出されたガイドライン。

アセトアミノフェンは急性腰痛に対してQOL改善作用なし。(システマティックレビュー)

慢性腰痛に対しても有効性を示すエビデンスの高い試験(RCT)はない。

アセトアミノフェンの有効性はセレコキシブより低い※11、変形性関節症に対するアセトアミノフェンのシステマティックレビューでは、有効性は非常に低い※12と評価されている。


ガイドライン以外の文献も探してみるといくつか出てきました。


①カロナールVSロキソニン(腰痛)
アセトアミノフェンとロキソプロフェンの臨床試験を検索すると、2剤の比較試験が見つかりました。※6

対象:腰痛症(アセトアミノフェン64名、ロキソプロフェン63名)
介入:アセトアミノフェン2400mg/日(400㎎4回)又はロキソプロフェン180mg/日(60㎎3回)
試験:ランダム化(非盲検)非劣勢試験
結果アセトアミノフェンはロキソプロフェンに非劣勢、副作用の大きな差はなし

脱落者が多い(約50%)のと全例解析していない(脱落者は解析から除外)のでエビデンスとしては不十分な気がしますが、脱落の数はどちらのグループも同程度。

カロナールはロキソプロフェンに劣らないとの結果となっている。
副作用もかわらないのであればカロナールのメリットは?となりそうですが、投与期間は4週間までなので、それより長期になると消化器障害は差が出るでしょうか。


そもそもNSAIDsは、急性では有効とされているものの、副作用のリスクにより長期投与の有効性は支持されないといった報告もある(対象は腰痛でなく変形性膝関節症)※9




②カロナールとNSIADsのシステマティックレビュー(腰痛)
ロキソプロフェンのみ対象ではないが、NSAIDsとアセトアミノフェンの腰痛に対するシステマティックレビュ-によると、NSAIDsの有効性はアセトアミノフェンとかわらず、副作用はアセトアミノフェンのほうが少ないとの結論※10





変形性関節炎

変形性股関節症
アセトアミノフェンはNSAIDsと共に推奨グレードがBとなっているが、推奨Aの合意率がやや劣る。※2

アセトアミノフェン推奨B(合意率65%) 推奨A(合意率33%)
NSAIDs:推奨B(合意率34%) 推奨A(合意率63%)


やはりイメージ通り若干NSAIDsには劣るといったところでしょうか。

変形性股関節症診療ガイドラインのエビデンス

①セレコキシブVSアセトアミノフェン※5
変形性関節症1080例、6週間のRCT
有効性はセレコキシブ>アセトアミノフェン>プラセボ
安全性は差なし

②イブプロフェンVSアセトアミノフェン
変形性関節症222例
有効性はイブプロフェン>アセトアミノフェン
安全性は差なし

(股関節症に絞ると有効性に差がなくなる)



ロキソプロフェンとの比較をしたいのですが、ロキソプロフェンの記載はなし。→再度検索すると1件ヒットしました。


カロナールVSロキソニン(膝関節術後)
アセトアミノフェン、ロキソプロフェンの比較試験※7です。

対象:前十字靭帯再建または関節鏡視下の半月の修理/半月板切除術の後の内部の固定(計160名)
介入:アセトアミノフェン400㎎/回、ロキソプロフェン60㎎/回、(セレコキシブ200㎎/回も比較)
試験:ランダム化並行群間試験
結果アセトアミノフェンはロキソプロフェン、セレコキシブにやや劣る。(ロキソプロフェンとセレコキシブは同等)
問題となる副作用はどの群でもなし。


上記ガイドラインや臨床試験の結果からは、ロキソニン>カロナールであると考えられそうです。

また、よく日本のカロナール投与量は少なすぎるからNSAIDsより弱いという結果になってしまっているという意見を聞くが、上記①の試験はセレコキシブ200㎎/日とカロナール4000㎎/日の比較です。


次は解熱作用について。

解熱作用の強さ

添付文書・インタビューフォーム

カロナール
38℃発熱時に頓用させたときの有効率(有効以上)は解熱で71.4(15/21)


小児の発熱 49 例に対し、アセトアミノフェンをA群(7.9mg/kg以下)、B群(8.010mg/kg)、C群(10.1mg/kg 以上)の3群に分けて検討した。
解熱効果はA群 51.6%、B群 77.8%、C群 89.5%の有効率を示した。

ロキソニン
二重盲検比較試験2つにおいて、
上気道炎に対する有効率66%、69.8%となっている。


上気道炎への有効性が解熱のみで判断されているのかわからなかったのであまり比較できませんが・・・



アセトアミノフェン vs ケトプロフェン
6ヵ月から12歳までの小児に対するアセトアミノフェン、ケトプロフェンの解熱作用を比較したランダム比較試験※3の結果です。

対象:6ヵ月‐12歳 316人
方法:各薬剤服用後15-240分後の体温を測定し、37.8℃以下になっている患者の割合を調べる。
結果:37.8℃以下達成人数、解熱までの時間、39℃以下の人数全てにおいてケトプロフェン優勢。(オッズ比6.25 95%信頼区間3.03-12.99)


日本ではケトプロフェンは坐薬、注射しかないので処方見たことないですが…この試験は経口投与。

イブプロフェンとの比較試験も多くありますが、イブプロフェン>アセトアミノフェンでした。(別記事にまとめてあります)



まとめ

アセトアミノフェンは試験によってNSAIDsと同等の効果を得ていることもあるが、鎮痛、解熱ともにやや劣っているとする試験が多い。(日本のガイドラインはアセトアミノフェン<NSAIDs)

副作用に関してはアセトアミノフェンの安全性が高いとする報告が多い。

アセトアミノフェンの投与量を増やせば同等になるといった意見もあるが、セレコックス200㎎/日とカロナール4000mg/日でもセレコックスが勝っている試験がある。
(ロキソニン≒セレコックスと考えるとロキソニン>カロナール)

鎮痛剤の強さ比較一覧はこちら

※1 腰痛診療ガイドライン2012
※2 変形性股関節症診療ガイドライン2016
※3 Comparison of acetaminophen and ketoprofen in febrile children: a single dose randomizedclinical trial.
※4 同ブログ記事:https://www.phamnote.com/2018/10/blog-post_21.html 
※5 Ann Rheum Dis. 2004 Aug;63(8):931-9. 
※6 J Orthop Sci. 2018 May;23(3):483-487. 
※7 j Orthop Sci. 2016 Mar;21(2):172-7. 
※8 Eur Spine J. 2018 Nov;27(11):2791-2803.  
※9 BMJ. 2004 Dec 4;329(7478):1317.
※10 Cochrane Database Syst Rev. 2008 Jan 23;(1)[
※11 Arthritis Care Res (Hoboken). 2016 Jun;68(6):845-52. doi: 10.1002/acr.22753. 
※12 BMJ. 2015 Mar 31;350:h1225. doi: 10.1136/bmj.h1225. 
 2017/05/30

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