デパスとリーゼの違い

同じ短時間型の抗不安薬デパス(エチゾラム)、リーゼ(クロチアゼパム)の比較


デパスとリーゼはベンゾジアゼピン系の抗不安薬であり、共に短時間作用型に分類されます。


基本情報の比較

適応

デパス
神経症における不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・睡眠障害、うつ病における不安・緊張・睡眠障害、心身症(高血圧症,胃・十二指腸潰瘍)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害、統合失調症における睡眠障害、下記疾患における不安・緊張・抑うつおよび筋緊張(頸椎症,腰痛症,筋収縮性頭痛)

リーゼ
心身症(消化器疾患,循環器疾患)における身体症候ならびに不安・緊張・心気・抑うつ・睡眠障害、下記疾患におけるめまい・肩こり・食欲不振(自律神経失調症)、麻酔前投薬


適応が多くわかりにくいですが、大きく異なるのは赤字部分でしょうか。

デパスはリーゼと比べ筋弛緩作用が強いため、筋弛緩作用により腰痛を緩和する。

一方のリーゼは筋弛緩作用はそれほど強くないため、肩こりに適応があるが、これは自律神経失調を緩和することに由来する。

ただし、どちらも急性狭隅角緑内障、重症筋無力症には禁忌。

薬物動態

デパス
Tmax:約3.3h
半減期:約6.3h
代謝:CYP2C9,CYP3A4,グルクロン酸抱合

リーゼ
Tmax:約0.8h
半減期:約6.3h
代謝:CYP不明,グルクロン酸抱合

リーゼのほうが吸収が速やかで立ち上がりが早い。
このためか頓服としてよく処方されている気がします。

代謝はどちらも肝代謝。
添付文書上腎障害患者に対しては慎重投与になっているが、腎機能障害及び透析患者に対して減量の必要はなしとする文献、参考書が多い。

薬理作用の比較

抗不安作用

デパス:+++(作用強度:中)
リーゼ:++(作用強度:弱)

上記はレクサプロの勉強会の時に見た文献及び今日の治療薬から。

ジアゼパム換算表によると、デパス1.5㎎=リーゼ10㎎となっている。デパスのほうが少量で効くから強度大って考えるんでしょうか?

でも投与量考えたら…上記換算表をもとにするとリーゼ5㎎>デパス0.5㎎になりますが…

デパス>リーゼとなっている参考書が圧倒的なのでとりあえずそうやって覚えておきます。

睡眠作用

デパス:+++ 眠気3.6%(12328例中)
リーゼ:+   眠気2.8%(14032例中)

勉強会の時の資料だと上記の+の通り。

動物実験において、デパスはセルシンの1/4量で催眠作用を示したのに対し、リーゼはセルシンより弱いとされている。

副作用の眠気を比較してもデパスのほうが多いでまぁ何となく、デパスのほうが睡眠作用はやや強いのかなと覚えておきます。

筋弛緩作用

デパス:+++ 腰痛・頚椎症への有効率73.3%
リーゼ:± 

インタビューフォームの動物実験において、デパスは筋弛緩作用が認められている。
一方のリーゼは多少あるもののセルシンより弱いとされている。

副作用をみてもデパス(ふらつき;1.95%、脱力感:0.37%リーゼ(ふらつき:0.78%、脱力感:0.21%)となっており、リーゼの筋弛緩は弱いと思われる。


まとめ

筋弛緩作用:デパスはあり リーゼはほぼなし

抗不安作用:デパス0.5>リーゼ5の報告が多い印象

発現の速さ:リーゼ>デパス



 2017年5月30日

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