前立腺肥大に対するα1遮断薬と抗コリン薬の併用

前立腺肥大患者に見られる頻尿、過活動膀胱に対して抗コリン薬の併用は有益なのか

前立腺肥大では前立腺の平滑筋収縮を抑制するためにα1遮断薬が使われる。

膀胱収縮を抑制してしまう抗コリン薬は排尿障害を悪化させる可能性があるため注意が必要な薬剤です。(前立腺肥大には禁忌ではない、尿閉には禁忌)

しかし、前立腺肥大があると尿が完全に出切らないため残尿感が残り、頻尿などの過活動膀胱と同じ症状がみられる患者さんが多数います。

このような場合、適応外で抗コリン薬が併用されますが、果たして効果はあるのでしょうか。


前立腺肥大診療ガイドライン

ガイドラインでも抗コリン薬の単剤治療や併用について触れられています。


抗コリン薬単剤の使用

推奨グレード:保留(適応外)
過活動膀胱症状を伴う前立腺肥大患者に抗コリン薬の単独治療は有効かつ安全とする報告はある。しかし,抗コリン薬は排尿困難や尿閉を招く危険もあり,下部尿路閉塞や排尿困難のある前立腺肥大患者への使用は慎重投与とされている。また,前立腺肥大に対する保険適応もない。一般にはα1遮断薬に抵抗する過活動膀胱症状に併用治療で使用される。

α1遮断薬と抗コリン薬の併用

推奨グレード:A
過活動膀胱を伴った前立腺肥大症に対しては,α1遮断薬を初期治療薬とし,その無効例に対して抗コリン薬の投与が推奨される。ただし,排尿困難・尿閉などの有害事象が危惧されるので,慎重な投与(少量から開始・頻回の観察など)が推奨される。

9つのRCTのメタアナリシスの結果有効性が認められており、解析では尿閉は0.3%とまれであり、畜尿症状を優位に改善したとのこと。

ここで使われていた薬剤はデトルシトール、バップフォー、ベシケア、ポラキスと様々であるが、どれも尿意切迫感や残尿感などの何かしらの症状の改善がみられている。



前立腺肥大患者の50~75%は頻尿などの過活動膀胱症状を伴うため、抗コリン薬の併用は患者さんのQOL向上に有用そうです。

そもそも泌尿器科で使われる抗コリン(ベシケア、バップフォー、ポラキス、デトルシトール)などは禁忌ではないんですね。

ポララミンとかカフコデ、スピリーバなどは禁忌ですが。


 2017年6月19日

関連記事