トビエースとウリトスの違い

過活動膀胱に使用される2剤の違い 有効性は同じ?


過活動膀胱に対してよく処方されるのが抗コリン薬ですが、種類が結構あります。

今回はウリトスで改善がみられなかった患者さんで、トビエースに変更となった方がいましたので調べてみました。

先生的には薬を強くしたとのこと。


基本情報

トビエース(フェソテロジン)

適応:過活動膀胱に伴う尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
用法:1回4㎎ 1日1回経口投与 (MAX8㎎)
特徴:デトルシトール(トルテロジン)のプロドラッグ

ウリトス(イミダフェナシン)

適応:過活動膀胱に伴う尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
用法:1回0.1㎎ 1日2回朝夕食後 (MAX1回0.2㎎)


用法の違い

トビエース徐放性であり、活性代謝物の半減期は4時間だが、経口投与時の半減期は7-10時間(溶出過程が律速段階)のため1日1回。

ウリトスは1日2回(半減期2.9h)、また食後投与の場合絶食時のCmax1.3倍、AUC1.2倍となり、臨床試験も食後で行われているため食後投与。

薬理作用の違い

膀胱収縮はムスカリン受容体M1、M2、M3の遮断により抑制できる。

膀胱平滑筋にはM2,M3受容体がある。
M3受容体は膀胱の収縮に直接関わっており、M2受容体は交感神経刺激(β3)による膀胱平滑筋の弛緩抑制に関わっている。

トビエースは差はあるのもの全てのムスカリン受容体に対して抑制作用を持っている。(トビエースインタビューフォーム)

ウリトスM1、M3受容体に対して強い抑制作用を示すが、M2に対しては弱い。(ウリトスインタビューフォーム)

膀胱選択性の違い

ムスカリン受容体は様々なところにあるが、抗コリン薬でよくみられる口渇は唾液腺のムスカリン受容体遮断による副作用。

上記を見ると、ウリトスのほうがトビエースより唾液腺に対する抗コリン作用は弱い

臨床試験時の口渇の頻度を見ると、ウリトス(31.4%)、トビエース(40.9%)。

有効性の比較




共に12週間投与後、ウリトスは1回0.1㎎投与。
それぞれのインタビューフォームからもってきただけで、比較試験でもなく、ばらつきも多くわかりません。

以下はトビエースとウリトスの比較試験

A randomised, double-blind, parallel design, multi-institutional, non-inferiority phase IV trial of imidafenacin versus fesoterodine for overactive bladder.

( 2013 Dec;67(12):1317-26. doi: 10.1111/ijcp.12272.)

対照:3か月以上過活動膀胱の症状(1日平均排尿回数8回以上又は尿失禁2回以上)が続いてる患者
方法:ウリトス0.1㎎1日2回とトビエース4㎎1日1回で12週投与後の1日平均排尿回数改善状況を比較。
結果
ウリトス:-3.38±3.63
トビエース:-2.45±3.73

2剤間において効果は同程度、有意差なしとされている。


 2017年6月12日

関連記事