中心静脈栄養の混注やディスポーザブル注入ポンプへの充填は無菌施設がなくても行ってよいのか
先日ディスポーザブル注入ポンプを用いて麻薬を持続注入したいと在宅の先生から問い合わせがありました。扱ったことがなかったのでいろいろ調べていましたら、各ディスポーザブル注入ポンプの添付文書に「全ての操作は無菌的に調剤…」と書かれていたので、もしかして無菌室なきゃダメなの??
って思っちゃったんですが、普通に行っているみなさんはご存知ですかね。
この記載は無菌室等でやらなければならないという意味ではなく、無菌的に調剤してくださいって意味だそうで。
無菌製剤処理加算を算定するには「無菌室、クリーンベンチ、安全キャビネット」のいずれかが必要となっていますが、普通に調剤する場合はなくてもいいんですね。(もちろん推奨はされませんが)
無菌調剤に関する考え
日本薬剤師からは「薬局における無菌製剤(注射剤)の調製について」というものが出されている。
在宅が増える中、薬局における無菌調剤はどうあるべきか参考になる指標を示したものです。
この中ではTPN,注入ポンプへの充填はクリーンベンチ(抗ガン剤なら安全キャビネット)で行うことを推奨している。
上記資料抜粋
"薬局で考えられる無菌調剤は以下の6種類
①患者がそのまま使用することを前提とした無菌製剤(注射剤)の調剤
②患者が使用時に混合することを前提とした無菌製剤(注射剤)の調剤
③TPN基本液とその他注射剤の混合(薬局で混合して投薬)
③’ 市販されている無菌の医薬品を、無菌バック内に滅菌された連結管等を用いて閉鎖系で注入し、調製した製剤
③” 上記に該当しない調製した製剤(バイアル瓶内の凍結乾燥製剤を溶解液等で溶解した後、注射器で吸い上げ、それを基本液に注入する場合等)
④抗がん剤の混合(薬局で混合して投薬)
⑤粉末アミノ酸製剤等を生食に溶解させる等の注射剤の作成
⑥バルーン式持続皮下注入器への薬液充填
この中で、①と②については、薬局に無菌製剤を調製するための設備を要しない。
一方、③~⑥に関しては、薬局に何らかの無菌製剤を調製するための設備を必要とする。"
そしてこんな記載があります。
"調剤室等の内部ではあるものの、クリーンベンチ等を設置せずに無菌製剤を調製することは、病棟のナースステーション等での注射液調製に近いものであり、病院での調査結果として細菌汚染が高い率で報告されていることや、薬局の場合、病院に比べて、注射液調製から、実際に患者が使用するまでの期間が長いことが想定されること等を勘案すれば、薬局で無菌製剤を調製する場所(区画)として推奨できるものではない。"
ですが、なかなか設置してある薬局は少ないのが現状かと…
無菌製剤処理加算
ついでに無菌製剤処理加算についても軽く勉強。
厚労省「調剤報酬点数表に関する事項」抜粋
"(8) 注射薬の無菌製剤処理
ア 「無菌製剤処理」とは、無菌室・クリーンベンチ・安全キャビネット等の無菌環境の中で、無菌化した器具を使用し、無菌的な製剤を行うことをいう。
イ 注射薬調剤料の無菌製剤処理加算は、2以上の注射薬を無菌的に混合して(麻薬の場
合は希釈を含む。)、中心静脈栄養法用輸液、抗悪性腫瘍剤又は麻薬を製剤した場合に算定し、中心静脈栄養法用輸液又は抗悪性腫瘍剤又は麻薬を1日分製剤する毎にそれぞれ65点、75点又は65点(6歳未満の乳幼児の場合においては、1日分製剤する毎にそれぞれ130点、140点又は130点)を加算する。
~中略~
オ 無菌製剤処理を伴わない調剤であって、患者が施用時に混合するものについては、無菌製剤処理加算は算定できない。"
届出様式(H28年):様式88
ディスポーザブル注入ポンプに麻薬を希釈して注入すれば加算の加算とれると考えていいのでしょうかね。
もともとシリンジに入っているならいいけど、アンプルからあ抜いて調剤するのにクリーンベンチなしでやるのはさすがに…と思うんですが、実際は行ってしまっているんでしょうか。