アメナリーフとバルトレックスの違い

新規作用機序をもつアメナリーフ バルトレックスとの併用や耐性株への有効性について

厚労省はH29.5.30の薬食審にてアメナリーフの製造販売承認を了承しました。(追記:H29.7.3製造販売承認獲得、H29.8.30薬価収載予定1469.7円/200mg錠)


アメナリーフ(成分名:アメナメビル)は新規作用機序を持った抗ヘルペスウイスル薬であり、単純疱疹、帯状疱疹どちらにも有効とされている。

アメナリーフは既存の抗ヘルペス薬(ファムビル、バルトレックス、アシクロビン)とは違う作用機序でウイルスの増殖を抑制します。

現在アシクロビルに対する耐性ウイルスが確認されているため、新規作用機序の抗ヘルペス薬が必要となる場合が出てくると思います。

もちろんアシクロビルに耐性ということはプロドラッグのバラシクロビルにも耐性。


作用機序

アメナリーフはヘリカーゼ/プライマーゼ阻害薬と呼ばれ、DNAの複製段階のある過程を阻害する。

DNAの複製は2重らせん構造をほどくことから始まります。

この2重らせんをほどく為に働く酵素がヘリカーゼ、開いた部分にプライマーゼがきてヘリカーゼと結合し、プライマー(短いRNA鎖)を作り、複製が進んでいく。

アメナリーフはこのヘリカーゼプライマーゼ複合体を阻害するため、DNA複製の初期段階が阻害されることになる。

このため、バラシクロビルより増殖抑制作用が強く、効果が早いと考えられている。(現時点では4日目の効果は非劣勢)

適応・用法

アメナリーフ
適応:帯状疱疹
用法1日1回食後 1回400㎎

アメナリーフの適応は帯状疱疹のみ
空腹時だとAUC,Cmaxがそれぞれ0.64、0.52倍となってしまうため食後投与。

帯状疱疹の場合、バルトレックスで1日3回アシクロビルだと1日5回でしたが、アメナリーフは1日1回で効果が持続するとされている。

代謝経路

アメナリーフは肝代謝(CYP3A代謝)のため、腎機能障害があっても用量調整が不要

肝機能障害でも大きな差はなかったため用量変更はなし。

アメナリーフはCYP3A,2B6誘導作用もあるため併用注意薬剤も多数ある。
リファンピシンは併用により相互に血中濃度が低下してしまうため併用禁忌

バルトレックスは腎代謝のため、腎機能に合わせて細かな調整が必要。(添付文書参照)また、精神神経症状などの副作用に注意が必要。


副作用

承認時の主な副作用
β-NアセチルDグルコサミニダーゼ増加9例(2.8)
α1ミクログロブリン増加6例(1.9)
フィブリン分解産物増加5例(1.6)
心電図QT延長4例(1.3)

抗ウイスル作用の強さ

承認時の臨床試験においては、バルトレックスとアメナリーフは非劣勢とされている。

インタビューフォームでは既存薬より高い抗ウイルス活性を有することが示されている。

こちらの論文では、アメナリーフのほうがバラシクロビルと比べ抗ウイルス作用が強かったとの結果になっています。(ASP2151=アメナリーフ)



アシクロビル耐性ウイルスへの効果

アシクロビルはウイルスのチミジンキナーゼ(TK)を阻害することで抗ウイルス作用を示すが、耐性ウイルスはこのTKを元々もっておらず(TK欠損株)、それでも増殖できるウイスルとなっている。

このためTKを阻害するバルトレックスでは効果がない。

一方のアメナリーフは作用機序で述べたように、ヘリカーゼ/プライマーゼ阻害薬であり、TKとは全く別の部分に作用するため、TK欠損株の耐性ウイスルに対しても有効と考えられる。

実際、アシクロビル低感受性株に対してもアメナリーフは有効性を示している

通常のウイルスでのアシクロビルのEC50は1~5μmol/Lに対し低感受性株では30μmol/Lにもなってしまう。
一方アメナメビルは、通常のEC50が0.05μmol/L前後に対し低感受性株に対しても0.08μmol/Lと良好。(アメナリーフインタビューフォーム)

アシクロビルとの併用

アシクロビルと作用点が違うためアメナリーフはバルトレックスやアシクロビンと併用することが可能と考えられている。

ですが、さすがに保険は通らないと思われる。(メーカー解答)

帯状疱疹は早期にウイスルの増殖を抑えることが早期治癒、帯状疱疹後痛の予防に繋がるため、アメナリーフが発売されれば選択の幅が広くなりそうです。


薬価比較

帯状疱疹治療の場合(H28年改定版)

アメナリーフ
1回2錠なので1469.7円×2錠=2939.4円/day

バルトレックス
1回2錠1日3回なので405.6円×6錠=2433.6円/day



まとめ

アメナリーフはバルトレックスより速効性があるかもしれない。

抗ウイルス作用:アメナリーフ>バルトレックス

耐性株への有効性が期待できる。

肝・腎機能障害にも調整不要で使える。

1日1回食後の服用でよい。

参考:感染症学雑誌 第88巻 第4号 マルホホームページ


 2017/06/07

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